著者名: | 菱田博俊 著 |
ISBN: | 978-4-425-69082-4 |
発行年月日: | 2024/9/18 |
サイズ/頁数: | B5判 224頁 |
在庫状況: | 在庫有り |
価格 | ¥3,300円(税込) |
私たちの身の回りの全てのものは、何かの材料から成り立っています。本書は、その材料が何なのかをわかりやすく学ぶためのテキストです。
まず各節の「要点」を読んで概略をつかみ、「基本」ではその内容をじっくり読み込みましょう。「発展」では、理解を深めるための内容になっています。チャレンジして読んでみましょう。確証の冒頭のチェックシートは読み終わった後に、答えられるか試してください。繰り返し読めば、材料学の基礎はバッチリです。
改訂増補版では、全体の内容を見直し、表記表現を修正するとともに、材料強度の評価に関する補足を増補資料として追加しました。
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【はじめに】
●本書の目的
この本は、大学の教養過程において理工系の学生が材料の基礎について初めて学習するにあたり、できるだけ抵抗なく、取っ掛かりとしての広範囲の知識を得られる様にと企画構想した、言わば初心者用の「材料学」の教科書である。工学で用いられている材料全般を視野に、特徴を比較しながら、初めて材料を学ぶ際に先ずは知ってもらいたい内容を記載した。将来、こんな場面でこんな物を作りたいのだが、その時にこの様な材料をこの様な感じで使えば良いだろうか、と漠然とで結構なのでイメージを持てる様になってもらえれば嬉しい限りである。
その意味、この教科書はいわゆる専門書でもなければ、深堀した資料でもない。先ずは広く浅く材料を知る為のほんの土台であるので、この教科書を読んで興味を惹く材料があった場合には、従来から市販されているよりハイレベルな書籍で詳細に学習してもらえれば良い。一方で、中学生や高校生にももしかすると読んで理解してもらえる教科書でもあるので、大学講義に限らず活用して頂けると幸甚である。
●本書の構成
本書は目次、本文、付録、及び索引で構成する。また、本文は全11章としている。文部科学省が定める大学の半期1コマの講義日数は15日であり、試験をここに含めるかどうかは担当教官に一任される。著者は、試験のやりっ放しではなく、答案を返却し、誤答箇所を自覚させた上で試験の解説をする事で、学生の理解度とより一層の内容定着を図れるのではないかと考えた。即ち、15日の講義日の内終わりの2日を試験実施日と試験解説日に当て、2日程度の予備日を設け、1日1章ずつこなして11日で11章という構成である。第1章についてはオリエンテーション気味に編集した。
従って、各章の頁数をなるべく同じにする様努めた。各章の冒頭には、チェックシートを設けた。チェックシートに続く解説文は、内容毎に節でまとめ、各節においては「要点」、「基本」及び「発展」の順番に項を設けた。本文末尾には付録として、幾つかの白図表、各節要点の一覧、全般的な参考文献、及びチェックシートの解答例を用意した。
●本書で取り扱う内容
第1章は序章である。材料を先ず全体的にざっと把握する。第2章は材料を作る原子や元素について説明し、第3 章はその原子や元素がどう結合して材料ができているかを知ってもらう。第3章で、材料の微視的な欠陥について触れるので、その余勢を駆って第4章で材料の強度や評価について整理する。以上が、一般論である。
第5章以降は各論に入る。ここに、できるだけ多くの単体材料を押し込んだ。
鉄鋼材料を第5章で扱う。本来、鉄鋼材料学という学問がある程、鉄鋼材料の世界はそれだけで1冊あるいはそれ以上の紙面を要する膨大な広さと奥深さを持つ。本書では、専門的な知識を殆ど省略し、鉄Fe のトピックス的な内容を説明する。また、平衡状態図を読む訓練をし、炭素鋼の面白さに触れてもらおうと思う。鉄Fe、アルミニウムAl、銅Cu の3大金属材料を、第6章で扱った。これらは、比較しながら知ると面白い事や共通点も多い。またそれ以外の金属については、第7章で要点のみを簡潔にまとめた。
以上3章を金属材料学の為に割いたが、他方第8章で無機材料の要点を、第9章で有機材料の要点をまとめた。これらのバランスをもう少し均等となる様に取りたかったが、その思いは第10章の人間の材料の章で無機材料と有機材料を頻繁に登場させる事で我慢した。
第10章では人間の材料を、第11章では人間感性の材料を取り扱った。材料系の教科書でこれらが記載されている書籍は、珍しいと思われる。昨今の機械工学では、ストレスレスな機械やシステムが求められるので、人間や人間感性を省略して機械工学は語れない。本書の一つの特徴がこの2 章であるとも言える。この章を読んだ後に、材料と言う概念をより広義に持ってもらえる事を期待する。
複合材料については、上記の関係ある箇所で都度扱う。勿論、単体材料より話が複雑になるので、本書では取り扱う複合材料を厳選した。
●本書の使い方
断片的にはどの頁を見てもある程度解る様に努めたが、系統的な学習をするには1章から順番に、またチェックシート、要点、基本、発展の順番に学習するとより解り易い。
チェックシートはその名の通り、諸君が諸君自身で自分の出来をチェックする為の頁である。
チェックシートには問題を列挙した。これらの問題は、その章を勉強した後には少なくともできる様になってもらいたいと著者が考えるものである。学習する前、あるいは学習した直後等に先ず解答し、その正誤判定をして間違った問題には左端の□内に× 等を付し解答できる様になるまで何度でも挑戦してもらうと良いと思う。チェックシートの答えは、巻末に用意はしたが、続く章本文の中から見つけてもらうと一層力が付くだろう。
要点は、その節の内容を簡潔にまとめたものである。この教科書を読んでいる全員に覚えてもらいたい。基礎は、この教科書を読んでいる全員に読んでもらいたい内容である。著者が試験問題を作るとすると、8割方基礎から出すだろう。発展は、少し深掘りした内容をトピックス的に書いたもので、余力のある者に読んでもらえると良いと思う。
付録には、幾つかのパターンを用意したので、訓練や練習に活用してもらいたい。また、付録の最後には各節の要点を全て列挙したので、試験前等にでも復習してもらいたい。
【目次】
第1章 導入:身の周りの材料
1.1 節 材料の定義
1.2 節 身の周りの材料
1.3 節 材料の分類
1.4 節 人と人感性の材料
第2章 材料の源・・・原子の世界
2.1 節 原子と元素
2.2 節 周期律表
2.3 節 同位元素
2.4 節 イオン
第3章 ミクロの構造
3.1 節 結合
3.2 節 結晶と格子
3.3 節 欠陥
第4章 材料の評価
4.1 節 評価試験の総論
4.2 節 引張試験
4.3 節 SS 曲線
4.4 節 衝撃試験
4.5 節 疲労試験
4.6 節 クリープ試験
4.7 節 硬度試験
第5章 鉄と鋼
5.1 節 製鉄
5.2 節 鉄と炭素と平衡状態図
5.3 節 鉄鋼の種類
5.4 節 Fe の錆
5.5 節 ステンレス鋼
第6章 アルミニウムと銅
6.1 節 鉄とアルミニウムと銅
6.2 節 アルミニウム
6.3 節 アルミニウム合金
6.4 節 銅
6.5 節 銅合金
第7章 その他の金属材料
7.1 節 Zn とSn
7.2 節 Ti とMg
7.3 節 Co とNi
7.4 節 Pb とSb とBi とCd とBa
7.5 節 その他の元素
第8章 無機材料
8.1 節 無機材料総論
8.2 節 ガラス
8.3 節 陶磁器
8.4 節 コンクリートとセメント
8.5 節 無機化学薬品
第9章 有機材料
9.1 節 有機材料総論
9.2 節 木材
9.3 節 ゴム
9.4 節 紙
9.5 節 プラスチックス
9.6 節 布
第10章 人間の材料
10.1 節 生体のレベル感
10.2 節 七大栄養素
10.3 節 ゲノムの世界
10.4 節 人間の構成材料?水分
10.5 節 人間の構成材料?水以外
10.6 節 人間を作る・人間から作る
第11 章 視聴覚の材料
11.1 節 光
11.2 節 光と視覚感知
11.3 節 視覚認知
11.4 節 音
11.5 節 音と聴覚感知
11.6 節 聴覚認知
11.7 節 視聴覚と五感
(海事図書)
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