社長挨拶

社長挨拶


当社は1954年に創業者である小川實が、「日本は四方を海に囲まれた海洋国家。海、船は日本の繁栄のために必要なものであるから、出版を通じて社会に貢献したい」という想いから創業しました。創業時は、書店と出版社を併設しており店頭で本を販売、その奥の狭い事務所で企画を考え、著者と打ち合わせをして本作りを行っていたと聞いています。

当社では、船員の方、海事に携わるお仕事をされる方などに役立つ本作りから始まった会社ですので、海に関する様々な法令集、解説書、辞典等を発行してきました。1955年に、海事専門図書出版社を起業するきっかけになった海技国家試験問題集を発行しました。「船員法及び関係法令」は、運輸省(現・国土交通省)船員局労働基準課の編纂で発行、「和英・英和 船舶用語辞典」は、東京商船大学(現・東京海洋大学)の22人の教授・助教授陣に執筆していただきました。

1967年に刊行された「海事法令シリーズ」は、当時、運輸省(現・国土交通省)から出版の打診を受けた法令集です。このように海事の分野で数多くの本を出版してきました。私が生まれる前に作られた本もたくさんあり、永い歴史を感じます。四方を海で囲まれ、貿易のほとんどを海上に頼っている日本にとって、海事産業は不可欠な産業です。日本人船員、日本籍船の減少、または少子化による商船系学校の統合などで、海事図書の需要が増えることは難しくなっています。また、書籍の電子化で紙の書籍を読まれる方も減っているようですが、訪問先では「この本がなければ仕事ができない」「紙の本の方が使いやすい」というお言葉をいただくこともあり、嬉しく思うとともに、そのように仰っていただける方、海事図書を必要とされている方たちのためにも、今まで以上にお役に立てる本を発行していかなければ、という気持ちになります。

また、海事だけではなく多岐にわたる分野での専門図書を発行しておりますが、今までとは一味違う専門書作りに、全社員で取り組んでおります。「難しい専門知識を万人に」という理念を実現するために、読者・著者・書店の方たちとの関係性を築き、求められる専門図書出版社を目指し邁進しております。様々な荒波を乗り越え、苦労を辿ってきた創業者の想いを永遠に引き継ぎ、海事図書の歴史を守り、社会に貢献していくことが、今後の私たちの役目です。

創業者が残してくれた誇りを感じる書籍と多くのお客様、出版という仕事が好きで事業にすべてを傾けてきた思いが「成山堂書店」という木の下に集まっています。いつまでも「成山堂書店さんの本にはお世話になりました」と言ってもらえるような本を出版してまいります。

今後ともより一層のご支援、ご指導賜りますようお願い申し上げます。


本を出版したい方へ