日本の航空機事故90年 交通ブックス304


978-4-425-77731-0
著者名:大内建二 著
ISBN:978-4-425-77731-0
発行年月日:2003/7/28
サイズ/頁数:四六判 210頁
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90年に及ぶ日本の航空史の中、事故はどのように変遷していったのか?技術革新と共に様変りする航空機事故を時系列に沿って解説する。

【まえがき】より
世界で最初に航空会社が誕生したのは1909年で、ドイツに飛行船を使って貨客を輸送する会社が生まれ、10年後の1919年には飛行機を使用する本格的な航空会社が欧米で誕生した。しかし、第1次、第2次世界大戦中は、航空機は民間航空輸送よりも軍事用に開発が進められ、民間航空の本格的な発展は第2次世界大戦の終結を待つことになる。
第2次世界大戦の大勢が連合国側に圧倒的に有利になり、終戦はもはや時間の問題となった頃、米国と英国を中心に世界の各国は戦後の航空秩序のあり方を議論し始めた。これが1944年のシカゴ会議であり、同年末には民間航空に関する多国間条約(「シカゴ条約」とも「国際民間航空協定」とも呼ばれるもの)が署名された。1945年8月の戦争終結とともに欧米各国はシカゴ条約に基づいて民間航空の発展に力を入れ始め、民間航空用の航空機の開発も急速に進んだ。
民間航空が発展すれば、当然のことながら航空交通量が増加する。年々増加する航空交通の安全で秩序ある運航を確保するため、航空交通管制業務(以下、航空管制)の必要性がますます高まり、米国を中心にその整備が本格的に行われるなった。
戦後、連合軍の占領下にあったわが国では、民間航空事業の再開も1951年まで待たねばならなかったが、航空管制も米軍の手によって行われ、1959年になってようやく全面返還になり、以後、運輸省(現在は国土交通省)の業務として今日に至っている。
空港には管制塔があり、管制官が離着陸する航空機に指示を与えていることは一般に知られている。しかし、具体的にどのような場合にどのような指示が出されているのか、離陸した後、パイロットはどのようにして地上の航空管制の援助を受けて目的の空港まで安全な飛行を続けるのか、といったことまで知っている人はまだ少ない。
この本では、航空管制というものが、どのようにして生まれ、現在、どのように行われているのか、そして科学技術の進歩に伴ってどのように変化しようとしているのかを、関連する法律、規則、さらには施設や機器も含めて説明することとしたい。

【目次】
第1章 空港の基礎知識
 第1節 飛行への夢と初めての飛行
 第2節 初めての航空機事故への関心

第2章 航空機の離着陸と空港の施設基準
 第1節 日本で初めての飛行とその頃の飛行機
 第2節 黎明期の航空機事故 その1(最初の事故とその後の事故の姿)
 第3節 黎明期の航空機事故 その2(事故の実例)
 第4節 黎明期の航空機事故の原因
 第5節 次の時代への新しい息吹

第3章 日本の航空躍進期の航空機事故
 第1節 躍進期の航空機とその背景
  (1) 軽量金属ジュラルミンの出現
  (2) 日本の民間航空会社の誕生と航空法の制定
  (3) 航空交通安全対策
 第2節 躍進期前期の航空事故
  (1) 事故の数とその原因
  (2) この時期の事故の実例
   ・中島航空機試作旅客機N36型の墜落事故
   ・陸軍87式重爆撃機の墜落事故
   ・フォッカー小型旅客機の墜落事故
 第3節 躍進期後期の航空機事故
  (1) この時代の日本の航空機とその背景
  (2) 躍進期後期の事故例
   ・練習機の空中衝突事故
   ・ロッキード・スーパーエレクトラ双発旅客機の墜落事故
   ・三菱MC20型旅客機「妙高」号の東京湾墜落事故

第4章 戦後の日本航空再生と航空機事故
 第1節 日本の航空界の再出発
    (一からの出直しと新システムへの開眼)
  (1) 航空活動の禁止と再出発
  (2) 航空交通管制への戸惑いと新しい航空交通安全施設
  (3) 新しい民間航空会社の設立と運航の準備
 第2節 民間航空再生期の航空機事故
  ・日本航空「もくせい」号遭難事件
  ・全日空ダグラス双発旅客機の伊豆半島沖墜落事故
  ・全日空ヘロン4発小型旅客機の八丈富士山腹衝突事故
  ・東亜国内航空コンヴェア双発旅客機の大分空港着陸失敗事故

第5章 空港の評価
 第1節 進化した航空機と航空事故
  (1) ジェット化の波と航空交通量の増大
  (2) 新しい形の航空機事故の出現(金属疲労の認識)
  (3) 航空交通量の増大に伴う航空機事故の危険性
      グランドキャニオン上空の大型4発旅客機の空中衝突
 第2節 悪夢の連続航空機事故
    (ジェット旅客機による国内航空機事故の幕開け)
   ・全日空ジェット旅客機の東京湾墜落事故
   ・カナダ太平洋航空ジェット旅客機の羽田空港着陸失敗事故
   ・イギリス海外航空(BOAC)ジェット旅客機の空中分解事故
   ・全日空YS11型双発旅客機の松山空港沖墜落事故
 第3節 予期せぬ原因が招く現代の航空機事故
  ・東亜国内航空「ばんだい」号の函館郊外山腹衝突事故
  ・全日空ジェット旅客機と航空自衛隊戦闘機との空中衝突事故
  ・日本航空ジャンボジェット旅客機の迷走墜落事故
  ・中華航空ジェット旅客機の名古屋空港着陸失敗事故
  ・ガルーダ航空ジェット旅客機の福岡空港離陸失敗事故

第6章 飛行の安全への問いかけ
     (事故のない飛行への矛盾と問題点)


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