著者名: | ミニ新幹線執筆グループ 著 |
ISBN: | 978-4-425-76121-0 |
発行年月日: | 2003/11/28 |
サイズ/頁数: | 四六判 220頁 |
在庫状況: | 品切れ |
価格 | ¥1,650円(税込) |
山形及び秋田から東京までを結ぶミニ新幹線誕生の物語。在来線との直通運転や厳しい自然条件等の試練を乗り越えた技術者達の挑戦記。
【発刊に寄せて】より
80年代後半に入って、整備新幹線計画から外れた山形県では、既存のインフラを活用して、高速鉄道ネットワークに乗り入れようとの機運が盛り上がり、JR東日本とともに新幹線と在来線の直通事業を推進した。この結果、狭軌の在来線を標準軌に改築して、専用車両による直通運転を行うようになった。このようにして生まれた山形新幹線をはじめとする「ミニ新幹線」は、地方の発想で作られたものといえよう。画一的だった新幹線とは対照的に、駅や車両のデザインもその地域に根ざした個性ゆたかなものとなり、地方文化を東京へ送り込む役割を果たしている。
「ミニ新幹線」は画一的で異端を排除していた新幹線を、多様性を受け入れるものへと作り変え、新幹線の新たな可能性尾を開いた。すなわち異なる形式の電車の分割・併合を行い、多種類の列車を高密度で運行して、安定した輸送を実現していることは、世界に誇ってよいだろう。
ミニ新幹線の実現には、直通事業の枠組みつくりをはじめ、軌道、電気、信号、車両および列車運行の各分野における多くの課題を解決する必要があった。それらの貴重な経験を記録として残すべくそれぞれの開発および運用・保守に従事した中堅技術者が執筆し、海外の事例も含めてまとめた。執筆者のほとんどは仙台在住であり、本書は地方からの情報発信ともなっている。皆様の参考になれば幸いである。
【目次】
第1章 新幹線と在来線の直通運転のあゆみ
1 標準軌と狭軌の直通運転構想
(1)新幹線網
(2)スーパー特急と新在直通
(3)山形新幹線が生まれるまで
(4)新幹線の乗り入れ方法
(5)新在直通化の事業のしくみ
2 山形新幹線-初めて新幹線が在来線に乗り入れた
(1)設備・車両諸元
(2)線路形態と工事の順序
3 秋田新幹線
(1)プロジェクトのあらまし
(2)線路形態と工事の順序 4 山形新幹線新庄延伸
(1)山形からさらに北へ
(2)線路形態と工事の順序
第2章 直通列車の運行体系
1 山形新幹線「つばさ」運転開始
(1)山形新幹線の輸送体系
(2)山形新幹線の利用状況
(3)山形新幹線のウィークポイント
2 さらなる新在直通運転の構想
(1)秋田新幹線の輸送体系
(2)秋田新幹線の利用状況
(3)秋田新幹線のウィークポイント
(4)山形新幹線「つばさ」新在開業の輸送体系
(5)新在開業の利用状況
(6)新在開業のウィークポイント
3 到達時間の短縮構想
(1)新幹線における到達時間の短縮
(2)東北新幹線毎時275km運転
4 新在直通運転の課題
(1)新幹線区間の運行管理
(2)在来線区間の運行管理
(3)運行管理の課題
5 今後の直通運転の課題
(1)新幹線が変えた山形県
(2)新幹線が変えた秋田県
(3)今後の山形・秋田新幹線の取り組み
第3章 線路の改良
1 山形新幹線の改軌工事
(1)初めてのトライ
(2)軌道構造
2 秋田新幹線の改軌工事
(1)本格的な機械化施工
(2)改軌機械がプロジェクトの主役となる
(3)ビッグワンダー
(4)機械への愛着
(5)施工への結果
3 新庄延伸の改軌工事
(1)さらなる工期短縮を目指して
(2)新しい軌道締結装置の採用
(3)また新たな機械化施工
4 軌道の保守
(1)線路の保守
(2)検査の機械化
(3)保守作業の機械化
第4章 電気および信号設備
1 設備使用の制約
(1)新幹線鉄道と在来鉄道の違い
(2)新幹線が在来線に乗り入れるための設備の変更
(3)輸送を確保しながらの工事
2 ATSの改良と信号保安設備
(1)ATSと信号保安設備
(2)標準軌列車と狭軌列車に対する信号保安設備
(3)踏切設備の安全対策
3 電源品質の確保
(1)き電系統の検討
(2)電圧降下対策
(3)き電回路の高調波対策
4 列車運行管理システム
(1)新幹線と在来線を結ぶシステム
(2)山形・秋田新幹線の運行管理システム
(3)新幹線運行管理システム
(4)システム構築までの道のり
5 設備の保守
(1)メンテナンスの特徴
(2)電子機器の弱点
(3)雪との戦い
第5章 車両
1 制約条件−小さい断面で急こう配と高速走行の両立
(1)新幹線車両と在来線車両の違い
(2)車両の大きさ
(3)こう配条件
(4)走行安定性
(5)車両の機器
2 山形新幹線用試作車の開発
(1)開発スケジュールと開発要素
(2)分割併合装置
(3)走行装置
(4)ブレーキ装置
(5)耐雪構造
(6)走行性能試験
3 400系新幹線電車
(1)コンセプト
(2)営業開始へ向けて
4 秋田新幹線用電車の開発−速度向上への挑戦
(1)解決すべき課題
(2)技術の進歩
(3)サービスの向上(マン・マシンインターフェースの向上)
5 車両の保守
(1)車両の定期検査
(2)車両管理体制と対応
第6章 海外の事例
1 日本との違い
2 フランス−TGV
(1)ヨーロッパ最初の高速鉄道「南東線」の開業
(2)大西洋線の開業と高速列車網の発展
(3)フランス全土の高速列車網完成
3 ドイツ−ICE
(1)南北ルートの高速化−最初の高速新線
(2)東西ドイツ統合に伴う高速ネットワーク再構築
(3)電車方式の採用
4 国際的新在直通運転のはじまり
第7章 軌間可変車両
1 軌間可変の必要性と実際
2 スペインのタルゴシステム
3 軌間可変電車
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