著者名: | 鳥羽商船高専ナビゲーション技術研究会 編 |
ISBN: | 978-4-425-42373-6 |
発行年月日: | 2017/4/18 |
サイズ/頁数: | A5判 240頁 |
在庫状況: | 在庫有り |
価格 | ¥3,520円(税込) |
船員の職務や船舶の概要から運航に必要な知識や技術を豊富な図版とともにわかりやすく解説。船乗りをめざす人のための入門書。 新技術の導入、法令改正を反映させた改訂版。
【まえがき】より
我が国は、エネルギー資源をはじめとして国民の生活を支えるさまざまな物資を海外から輸入し、多彩な製品を輸出することで経済発展を遂げている貿易立国です。そして、その輸送のほとんどを担っているのが海運です。貿易量において、海外貿易が占める割合は2004年の統計で見ても金額にして68.1%、重さにして99.7%であり、海運が我が国にとって不可欠な輸送手段であることがわかります。海運の重要性は、外航海運だけではありません。国内の輸送にはトラック、鉄道そして航空機も利用されますが、産業基礎資材といわれる鉄鋼、石油、セメントなどの長距離・大量輸送は内航海運が担っています。すなわり、我が国において海運は、人々の生活はもちろん、国家の存続においても、重要なライフラインなのです。
我が国の海運企業は人件費を減らすために、外航船には多くの外国人船員を乗せるようになり、日本人船員の乗る船はずいぶんと減ってしまいました。だからといって、世界の海から日本人船員がいなくなるということは決してありません。むしろ、今日では、船を取り巻くあらゆる分野で活躍できる人材が求められていて、日本の船員教育を受けた優秀な日本人船員がそのキーパーソンとして大いに期待されています。
本書は、海と船にあこがれ、世界の海を航海することを夢見る若い人々のための入門書として執筆しました。船舶の運航には、幅広い知識と技術が必要です。専門的には航海学、運用学、法規に大別され、それぞれの分野に関する参考書も多く刊行されています。そこで本書は、船員を目指す人、また船や海に関心のある人々に、船長や航海士の仕事をイメージしてもらえることを念頭に置いて執筆しました。このため、船がどのように航海し、運航されているか、また船舶の運航にどのような人々が係わっているのか、そして船舶の運航を取り巻く条約などをわかりやすく説明するように努めました。しかしながら、航海に関する内容のすべてを網羅しているわけではありませんし、不備な点も少なくないと思います。読者からのご意見をいただきながら今後改訂していければ幸いです。
本書が、船員を目指す若者を増やし、海事思想の普及でいくらかでも役立てば望外の喜びです。そして、無冠の外交官として、世界の海で活躍する若者が数多く育っていくことを念願しています。
執筆にあたっては、先輩諸氏の多くの著書等を参考にさせていただくとともに、メーカーなどからも数多くの資料提供をいただきました。諸文献の著者および資料をご提供いただいた皆様に心からお礼申し上げます。
平成19年3月
著者一同
【2訂版発行にあたって】
平成19年4月に本書が刊行され、改訂版を平成24年4月に刊行してから早くも5年経過しました。その間に、法律の用語が変更になったり、GPSなどの航海計器関係でも進展がありました。そこで、新たな執筆陣を加え、できるだけ最新の情報に沿ったものにすべく改訂を行うことにしました。改訂にあたっては、これまでに頂きましたご意見を参考とさせて頂き、初版・改訂版同様、わかりやすく説明するように努めました。今後とも、読者からのご意見を頂きながら、より良いものにしていきたいと考えています。
平成29年3月
著者一同
【目次】
第1章 船員とは
1.1 船内組織
1.2 船員の職務
1.3 船員になるには
1.4 海上労働の特殊性
第2章 船舶
2.1 船舶の要件
2.1.1 船が走るためには
2.1.2 船が安定して浮くには
2.1.3 船が壊れないためには
2.2 船舶の用途と種類
2.3 船体各部の名称
2.4 船の大きさ
2.4.1 主要寸法(principal dimensions)
2.4.2 トン数(tonnage)
第3章 船舶の設備
3.1 推進装置
3.1.1 主機関とプロペラの組み合わせ
3.1.2 プロペラ
3.1.3 プロペラ回転方向の操船への影響
3.2 操舵装置
3.3 係船設備
3.3.1 錨泊時に使用する設備
3.3.2 停泊時に使用する設備
3.4 荷役設備
3.4.1 クレーン
3.4.2 荷役用ポンプ
3.5 通信設備
3.5.1 VHF無線電話装置
3.5.2 MF/HF無線通信装置
3.5.3 インマルサット衛星通信装置
3.5.4 衛星船舶電話
3.5.5 船上通信設備
3.5.6 GMDSS
3.6 救命設備
3.6.1 救命器具
3.6.2 信号装置
3.6.3 進水装置等
3.7 居住設備
第4章 船舶の運航
4.1 当直
4.1.1 航海当直の実施にあたって配慮すべきこと
4.1.2 航海当直の基準
4.1.3 停泊当直の実施にあたって配慮すべきこと
4.1.4 甲板部における停泊当直の基準
4.2 航海計器
4.2.1 方位を知る
4.2.2 速力を知る
4.2.3 水深を知る
4.2.4 天体の高度を知る
4.2.5 自船の位置を知る
4.2.6 周囲を知る
4.2.7 自動操舵
4.2.8 航海を記録する
4.2.9 情報の集約
4.3 航路標識
4.3.1 光波標識
4.3.2 音波標識
4.3.3 電波標識
4.3.4 その他の標識
4.3.5 浮標式
4.3.6 灯質
4.4 水路図誌
4.4.1 海図
4.4.2 特殊図
4.4.3 水路書誌
4.4.4 水路参考図誌
4.4.5 海図図式
4.4.6 水路通報
4.4.7 海図の使用法
4.4.8 潮汐表の見方
4.5 航海の方法
4.5.1 船位の種類
4.5.2 コンパスによる船位測定法
4.5.3 天体観測による船位測定法
4.5.4 電波計器による船位測定法
4.5.5 航程の線航法
4.5.6 大圏航法
4.6 交通のルール
4.6.1 海上衝突予防法
4.6.2 海上交通安全法
4.6.3 港則法
4.7 操船
4.7.1 機関操作・命令
4.7.2 操縦性能
4.7.3 操舵号令
4.8 通信
4.8.1 船内通信
4.8.2 船外通信
4.8.3 VHF無線電話装置による通信
4.9 気象・海象
4.9.1 大気と天気現象
4.9.2 気象要素
4.9.3 大気の還流
4.9.4 気団
4.9.5 高気圧
4.9.6 前線
4.9.7 低気圧
4.9.8 台風
4.9.9 天気図
4.9.10 天気予報
4.9.11 船舶の気象観測
4.9.12 船舶で利用できる気象情報
4.9.13 風浪とうねり
4.9.14 潮汐と潮流
4.9.15 海流
第5章 事故の防止と処置
5.1 海難事故
5.1.1 衝突
5.1.2 浸水
5.1.3 火災
5.1.4 乗り揚げ
5.1.5 舵故障
5.1.6 油汚染
5.1.7 人命救助
5.2 船内労働災害
5.2.1 船員災害の実態
5.2.2 船員災害の原因
第6章 船舶を取り巻く法律
6.1 海事法規
6.1.1 船舶法
6.1.2 船員法
6.1.3 船舶職員及び小型船舶操縦者法
6.1.4 水先法
6.1.5 海難審判法
6.1.6 船舶安全法
6.1.7 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律
6.1.8 検疫法
6.1.9 関税法
6.2 国際条約
6.2.1 海上人命安全条約(SOLAS条約)
6.2.2 1978年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約(STCW条約)
6.2.3 海洋汚染防止条約(MARPOL73/78条約)
第7章 船舶の運航を支える人々
7.1 運行形態と荷役
7.1.1 コンテナ輸送(container ship)
7.1.2 タンカー(tanker)
7.1.3 ばら積み船(bulk carrier)
7.1.4 自動車専用船(Pure Car Carrier:PCC)
7.1.5 木材専用船(general cargo ship, 雑貨船)
7.1.6 一般貨物船(general cargo ship, 雑貨船)
7.2 行政官庁
7.3 船級協会
7.4 パイロット(水先人)
7.5 港湾運送事業
(海事図書)
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