曳船とその使用法 【2訂版】


978-4-425-47063-1
著者名:山縣侠一 著
ISBN:978-4-425-47063-1
発行年月日:2003/12/2
サイズ/頁数:A5判 124頁
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価格¥2,640円(税込)
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大型船の港内操船から、外洋での曳船作業にも触れた新しい解説書。大型船船長や船渠長を対象とし、曳船の種類、性能、配置法等を説明。

【はしがき】より  船舶が急速に巨大化され、海上の船舶交通量が日増しに多くなってきている今日、一定の面積しか確保できない港湾では、相対的に操船水域はますます窮屈になってきている。こういう状態の中で大型船を安全に操船するためには、どうしても曳船の助けを借りる必要があり、操船者は、今まで以上に曳船を自らの手足のように使用する必要に迫られている。この傾向は、将来も変わることはないであろう。したがって、これからの巨大船の操船者は、曳船の性能とその使用法についての知識を持つとともに、これに習熟することが必要になっている。
 本書では、巨大船の操船者が曳船を直接使用されるときの参考に供するために、港内での曳船使用上、どうしても知っていなければならない事項についてのべたつもりであるが、特に次の諸項について、その目的と強調したい内容等の注釈を加えておくこととする。

【1】新鋭強力な港内曳航について
 現時の港内曳航は、船舶の急速な巨大化に一歩を先ずる勢いで急速な発展をとげ、協力にして軽快なる新鋭曳船が多数出現しているので、これら新鋭曳船の性能を説明しておいたが、シュナイダー曳船とダックペラ曳船のことを特に詳しく説明しておいたつもりである。

【2】指揮通信法について
 本船の船長方が、直接に曳船を使用されるときに当面する厄介なことは、曳船の指揮通信法であろうと思われる。本書では、現在の主要通信器であるトランシーバーによる通信要領と日本の港湾全部に通用すると思われた指揮用語を掲げて、船長方の当面の厄介さを軽減することに努めた。

【3】本書のハイライトは、曳船の使用例であろう。小は曳船1隻を使用する場合から、大は3千馬力の新鋭曳船を数隻使用する超巨大船の操船例まで揃えてあるから、船長方が自信で直接に曳船を使って操船されるときは、自己の担当船にあてはまる適当な例を選び出して、その例に近い形で操船されるとよいであろう。

【4】「曳船の現状」を設けた目的は、ある港又はその付近で、曳船を使って操船する必要が生じた際に、船長自信が直接曳船会社を電話で呼び出して曳船を注文できるようにするため、およびこのような場合に代理店等から配船される曳船名を本船に通知してきたときに、その曳船の性能をあらかじめ知ることができるようにするためである。この調査表には、日本の港にある現用の港内曳船はほぼ漏れなく掲載されているので、操船者の前記のような要望に応えることができるものと思われる。

1976年1月
著者識す

【目次】
第1章 曳船の種類とその性能

 1.1 港内曳船の特性
 1.2 港内曳船の分類
 1.3 レシプロ曳船
 1.4 コルトノズルラダー付CPP曳船
 1.5 シュナイダー型(VSP)曳船
 1.6 ダックペラ型曳船
 1.7 押船(Pusher Boat)

第2章 曳船の使用法
 2.1 曳船の配置
 2.2 曳索のとり方
  2.2.1 船尾曳き(フック曳き)のとり方
  2.2.2 頭付けのとり方
  2.2.3 横抱きのときのとり方
  2.2.4 舵船型のとり方
 2.3 曳索の種類と大きさの決め方
  2.3.1 曳索の種類
  2.3.2 曳索の大きさの決め方
 2.4 所要曳船の決め方
 2.5 曳船の指揮通信法
  2.5.1 トランシーバーによる指揮通信法
  2.5.2 言令による指揮用語
 2.6 曳船使用上の注意事項
 2.7 曳船の作業例
  2.7.1 曳船1隻を使って横付け(左舷横付け)
  2.7.2 曳船1隻を使って横付け(左右どちらでもよい)
  2.7.3 曳船1隻を使って横付け
  2.7.4 曳船1隻を使って離岸出港(入船横付けから)
  2.7.5 曳船1隻を使って離岸出港(出船横付けから)
  2.7.6 曳船2隻を使って横付け
  2.7.7 曳船2隻を使って離岸出港(出船横付けから)
  2.7.8 曳船1隻をつかって離岸出港(入船横付けから)
  2.7.9 D.W.10万トン型の横付け
  2.7.10 巨大船のドルフィンバースへの横付け
  2.7.11 巨大船のドルフィンバースからの離岸出港(出船横付けから)
  2.7.12 巨大船のドルフィンバースからの離岸出港(入船横付けから)
  2.7.13 尾鷲港東邦石油桟橋への出入港
  2.7.14 泉北港堺製油所ドルフィン桟橋出入港
  2.7.15 下津港東亜燃料K.K.,0-1 桟橋入港接岸
  2.7.16 下津港東亜燃料K.K.,0-1 
        桟橋入港接岸(検疫錨地にて投錨回頭し錨を引きつつ後進入港する場合)
  2.7.17 100〜200型の入港接岸(某造船所の例)
  2.7.18 100〜200型の出船回頭接岸(某造船所の例)
  2.7.19 100〜200型の離岸出港(某造船所の例)
  2.7.20 狭いところで出船回頭接岸(Power Tie Up法を有効利用した例)
  2.7.21 狭いところで出船回頭接岸(ステムを岸壁に当てて回頭の例)
  2.7.22 出船回頭後、長い距離を後進入港する例
  2.7.23 極めて狭い曲った水路を巨大船で後進入港する例
  2.7.24 造船所における入渠および出渠の例
  2.7.25 曳船使用の失敗例
  2.7.26 海洋構造物の曳航
  2.7.27 SEMI SUBMERGIBLE OILRIGの曳航
  2.7.28 東京港連絡橋ケーソン曳航
 2.8 進路警戒船としての曳船の使用法
  2.8.1 進路警戒船等の配備基準
  2.8.2 進路警戒船の活用

第3章 曳船の現状
 3.1 釧路港
 3.2 苫小牧港
 3.3 室蘭港
 3.4 函館港
 3.5 八戸港
 3.6 釜石港
 3.7 塩釜港
 3.8 小名浜港
 3.9 秋田港
 3.10 酒田港
 3.11 新潟港
 3.12 敦賀港
 3.13 日立港
 3.14 鹿島港
 3.15 東京湾
 3.16 清水港
 3.17 伊勢湾
 3.18 尾鷲港
 3.19 和歌山港
 3.20 大阪湾
 3.21 瀬戸内
 3.22 関門、北九州
 3.23 伊万里港
 3.24 長崎港
 3.25 大分港
 3.26 志布志湾
 3.27 沖縄

(海事図書)



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カテゴリー:船舶(航海・機関・運用) 
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