本書は、日本の気候に大きな影響を及ぼす偏西風をテーマに、その背景に潜む大気大循環の全体像や、異常気象発生のメカニズムを解き明かしたものです。著者は筑波大学での教養課程の講義と、専門の研究の経験を活かして、偏西風研究の最先端をわかりやすく紹介しています。
偏西風とは、地球を取り巻くように恒常的に吹き続ける西風のことである。世界の大都市の多くは温帯気候にあり、温和で四季の移り変わりが明瞭な地域にある。この温帯で恒常的に吹く風は偏西風である。温帯は、夏には温暖な亜熱帯気団に覆われ、冬には冷涼な寒帯気団に覆われる。この気団の境目には偏西風ジェットが形成される。日本上空の偏西風ジェットは世界で最も強く、そのため日本の気候の特徴として、四季の変化が特に美しい。
「朝焼けは雨、夕焼けは晴れ」ということわざに代表されるように、天気は偏西風にのって西からやってくる。夕焼けが美しい時には、その晴れ間をもたらしている高気圧が翌日には頭上にやってくるし、朝焼けが美しいときは、高気圧が去りつつあることを意味する。風は自然科学の対象であると同時に、古くから人間生活や文芸一般の関心事でもある。風は目で見ることができない。しかし、そんな風を、人々はいろんな形で目に焼き付けている。目に見えない風の存在を、夕焼けの中で美しくとらえた素敵な詩をひとつ紹介しよう。
これは愛媛県の川上マサエさんの作品で、吉野正敏著「風と人びと」の中で収録されたものである。赤とんぼの群れが、夕焼けを目指し、同じ方向を向いて優雅に舞う姿に、目には見えない目の前の偏西風を、この詩は実に生き生きと見せてくれる。
今日では、上空の偏西風の様子を、衛星画像により日々刻々と見ることができる。地球規模で循環する大気の流れを大気大循環という。東西にまっすぐ伸びていたかと思うと、急に南北に大きく蛇行して、各地に異常気象をもたらす偏西風ジェット。この偏西風にのって西から東へ次々に通り抜ける温帯低気圧の渦。インドシナ半島から中部太平洋まで一直線に、1万?も駆け抜けたかと思うと、縮んで中休みをする梅雨前線ジェット。これらはすべて、大気大循環のうごめく姿を映し出したものである。そもそも、どうして偏西風が吹くのか。その偏西風が時折大きく蛇行するのはなぜか、うごめく大気大循環のこのような謎を解明し、さらに予測することは、気象学の重要な目的のひとつである。
大気大循環のなかで、その中心的テーマのひとつである偏西風に対し、最新の研究成果のなかから興味深い話題を取り出して、わかりやすく解説することが本書の目的である。第1章と第2章では、偏西風の観測事実と理論的背景について説明する。赤道で高温。北極で低温であるとき、中緯度上空には偏西風が吹く。そのわけを理解するためには、温度風の概念を知ってもらう必要がある。これらの章は気象学の基礎知識であり、第3章以下の偏西風と関係する新たな知見を解説するため、最低限必要な基礎知識として執筆されている。
第3章では、偏西風が摩擦に対抗して恒常的に吹き続ける理由を知るために、大気中のエネルギーの流れについて説明する。ここでは、一見無秩序のように見える温帯低気圧などの大規模な大気擾乱が、実は極めて美しい秩序の中で発生消滅を繰り返していることを知る。第4章では、偏西風が大きく蛇行して、周辺地域に異常気象をもたらす原因となるブロッキングについて、今日わかっている範囲でその成因を解説する。第5章では、地球を取り巻く偏西風が強まったり弱まったりすることで、地球規模の異常気象の原因となる北極振動のメカニズムについて、研究成果の最前線を紹介する。そして、第6章では、偏西風の蛇行や強弱といった変動の予測を行う際に、予報官や研究者の前に立ちはだかるカオスの壁について、具体的な例を挙げて話題提供を行う。
本書は、著者が長年にわたり筑波大学の低学年を対象に行ってきた大気科学の講義をもとに執筆したもので、高校卒業から大学1年生程度の基礎知識を持った読者を対象としている。したがって、一般の読者には難しいと思われる内容も含まれるが、わかりにくい専門用語が現れたときには、その定義を書き添えるように努力した。
地球温暖化予測のような華々しい研究の一方で、地球大気の観測事実の中から、普遍的真実と法則を見出そうとする研究は、本来の科学の姿であり科学者の喜びの原点である。本書で紹介した大気大循環に観るE=mc2のエネルギーの法則や、北極振動の特異固有解理論などは、そのような意味で、気象学や大気科学に興味のある方の参考になれば幸いである。
「偏西風」と聞くと、「中学の授業でやったかな」と思う大人の方は多いでしょう。地球の自転に伴って、上空で西から東に向かって吹いている風、というのが大体の基礎知識です。この風のために天気は西から変わり、夕焼けがきれいな日の翌日は天気がいいだろう、という予測が成り立ちます。また日本はこの風の影響が大きいので、はっきりした四季があるのです。
もっとも、最近は「二季」と言いたくなるほどの急激な気温の変化に見舞われることが多いですね。こうした異常気象の原因も、偏西風が蛇行することによるものだといわれています。異常気象の原因として代表的な「エルニーニョ現象」でも、熱帯の海水温が上昇すると、結果として偏西風が蛇行します。しかしなぜ偏西風が蛇行するのか、そのさらに根本の原因については、まだわかっていないことも多いのです。
地球上の大規模な大気の流れを、大気大循環といいます。大気大循環には、赤道付近の「ハドレー循環」極付近の「極循環」その中間の緯度の「ファレル循環」があります。その循環が吹かせる風のひとつが、偏西風です。
今回ご紹介する『偏西風の気象学』では、偏西風が吹く理由、その偏西風が時折大きく蛇行するのはなぜかといった大気大循環の謎について解説します。偏西風は、大気大循環の中心的テーマです。偏西風の仕組みを知ることによって、異常気象の謎や長期予測に挑むことができるでしょう。
本書では、最初に偏西風の観測事実と理論的背景について解説します。これらの基礎を前提に、偏西風のエネルギーと力学について触れ、後半では異常気象の原因となる諸現象と、長期的予測の難しさについても解説します。
地球上の大規模な大気の流れが、明日の天気を運び、厳しい夏と冬をもたらします。その動きを知ることで、空の「機嫌」の変化や傾向を予測することができるかもしれません。
この記事の著者
スタッフM:読書が好きなことはもちろん、読んだ本を要約することも趣味の一つ。趣味が講じて、コラムの担当に。
『偏西風の気象学』はこんな方におすすめ!
- 気象を学んでいる方、興味のある方
- 大気の循環に興味がある方
- 異常気象の原因に興味のある方
『偏西風の気象学』から抜粋して3つご紹介
『偏西風の気象学』からいくつか抜粋してご紹介します。日本の気候に大きな影響を及ぼす偏西風。その背景に潜む大気大循環の全体像や、異常気象発生のメカニズムをやさしく解き明かします。筑波大学教養課程での講義をもとに、偏西風研究をわかりやすく詳解します。
偏西風と温帯低気圧
偏西風とは、地球を一巡りする恒常的な西風です。地球を一巡りする風を帯状風と呼ぶので、偏西風は地球の中緯度に見られる恒常的な帯状風ともいえます。偏西風帯の雲の動きは、滑らかで水平2次元的です。中高緯度の偏西風は赤道の偏東風よりも流れが速く、亜熱帯高圧帯が両者の境目になっています。
中高緯度の偏西風帯の最大の特徴は、温帯低気圧の渦が時折大きく発達しては衰退し、準周期的に偏西風帯の中を駆け抜けている点です。大きく発達した温帯低気圧の渦は、北半球では反時計回りで循環し、その水平スケールは台風の数倍程度です。温帯低気圧同士の距離は3000m(夏季)~6000m(冬季)程度で、低気圧の間の雲のない領域には移動性の高気圧があり、そこでの気流は時計回りに回転しています。
温帯低気圧周辺の雲の位置と暖気や寒気の動きを見てみましょう。コンマ型の雲の西側では大気下層に寒気が吹き込み、その前面で寒冷前線(D1)が形成され、これに沿って雲が発達します。寒冷前線の上部には上層ジェット(J1)が南西から北東に向かって吹き、亜熱帯の暖気を北上させます。その暖気の前面では温暖前線(D2)が形成され、南北の風の収束が東西の風の発散を作って変形場をなしています。
変形場とは、一方向で流れが収束し、それと直角な方向で流れが発散するような流れの分布のことです。変形場(D2)の西側では低気圧性(反時計回り)の渦を形成し、そこに低気圧中心がみられます。一方、東側では偏西風ジェット(J2)が変形場から遠ざかるように南東向きに吹いています。
温帯低気圧周辺の地上気圧分布および地上気温分布の特徴を、発達段階ごとに確認してみます。はじめ、中緯度には北に寒気、南に暖気があり、南北に温度勾配の大きな場所が東西に伸びています。北側に寒帯気団、南側に亜熱帯気団が存在し、それらの境は気候学的寒帯前線帯と呼ばれます。
気団とは、広域にわたり気温や湿度がほぼ一様で均質な空気の塊のことです。つまり気団の境目では空気の性質が急変します。このような温度勾配の大きい領域を、傾圧帯と呼びます。
3次元空間内で、気圧が等しいひとつの面(等圧面)と気温が等しいひとつの面(等温面)が平行でなく、傾いているような大気を傾圧大気といいます。等圧面に対して等温面が傾いているという特徴をもつ傾圧帯では、傾圧不安定により温帯低気圧が発達します。温帯低気圧は気団の境目で発達することから、寒気と暖気の境目に寒冷前線や温暖前線が形成されるのが大きな特徴です。
発達段階の最初は、傾圧帯の中で小さな低気圧が発生し、反時計回りの循環を生んで、低気圧中心の東に温暖前線、西に寒冷前線が発生します。次の段階は成長期で、中心気圧が下がり、反時計回りの循環が強まって北側の寒気が南下、南側の暖気が北上してΛ(ラムダ)型の寒冷前線と温暖前線の配置が明瞭に見られるようになります。最盛期になると、低気圧の中心気圧はさらに低下し、温暖前線が低気圧中心の北側に回りこむように東西に伸び、それを真ん中から串刺しにするように低気圧中心の東側から寒冷前線が南に伸びたような構造になります。骨付きステーキ肉の形状に似ているため、Tボーン構造と呼ばれます。衰退期になると、低気圧性の循環に巻き込まれるように、Tボーンの西側の温暖前線が螺旋構造に変化し、寒冷前線が東に去って、低気圧の渦がその背後に取り残されたような構造になります。
この低気圧の発達モデルは、1990年代にアメリカの気象学者シャピロ等により提唱されたもので、古典的低気圧モデルで説明された、進行速度の速い寒冷前線が温暖前線を追い越して閉塞前線になるという構造とは異なることが注目されています。このような低気圧モデルの概念によって温帯低気圧という重要な大気現象を多面的・総合的に把握することは、偏西風の気象学の第一歩といえます。
偏西風は、南北に波打ちながら西から東へ進んでいきます。偏西風が波打っているために、赤道付近の暖かい空気と極側の冷たい空気が混じり、地球の気温バランスが保たれています。このとき寒気と暖気がぶつかり合い、温帯低気圧が生まれるのです。
熱帯で発生しゆっくり西に向かっていた台風が温帯域にさしかかると急に東向きに進路変更して急激に進みだすのも、偏東風より流れの速い偏西風に乗ったからです。
エネルギースペクトル
地球大気においては、さまざまな空間スケールの現象が特徴的な時間スケール(ライフサイクル)を持って発生しては消滅しています。ここでいう渦あるいは擾乱とは、さまざまな大きさの渦巻きを含んだプルーム(キノコ形をした成長する流れ)が入り乱れた流れのことを指します。
空間スケールが大きくなると、それに伴ってライフサイクルも長くなります。海陸風は日周期で交代する風系で、代表的なメソスケールの現象です。さらにスケールが大きくなると、それまで3次元的だった流れも水平2次元的になり、数百kmの台風、数千kmの温帯低気圧(高低気圧波動)、数万kmのプラネタリー波等がそのスケールを代表する大気現象となります。
中緯度に東西に並ぶ高低気圧波動の典型的な波長は4000kmから6000km程度で、東西方向に地球を一周する間に気圧の波が5から7周期含まれるような特徴的なスケールを持っています。この温帯低気圧に代表される波動あるいは渦を、気象学では総観規模擾乱と呼びます。
プラネタリー波は、主にロッキー山脈やチベット高原などの力学的な影響で、偏西風が蛇行して形成される地球規模(マクロスケール)の波動であり、地球を取り巻く東西波数1から4程度のスケールを持ちます。モンスーン(季節風)もマクロスケールの現象です。
地球大気の中で最も空間スケールが大きい現象のひとつに、放射加熱の南北差が原因で励起されるハドレー循環が挙げられます。その他に、地球を東西に取り巻く中緯度の偏西風ジェット気流、低緯度の偏東風ジェット気流、高緯度の極ジェットなどの風系も、東西波数0のマクロスケールの現象です。
地球大気のどのスケールにどの程度の強さの現象が存在するのかを定量的に分析する最も古典的な手法に、東西波数展開(調和解析)があります。これはフーリエ級数展開に基づく解析手法です。東西方向に周期的な500hPa高度場を、調和解析の手法で各々の東西波数からの貢献に分解して、高度場を異なる波数のサインカーブの重ね合わせで表現してみると、どの波の振幅が最も大きいかを調べることができます。解析結果によると、プラネタリー波、特に波数2が最も卓越し、次いで総観規模波動、そしてメソ擾乱の順にスペクトル強度が落ちて行く特徴がわかります。
《スケール相互作用》
大気大循環のエネルギーを支えているメカニズムが何であるかを力学的に探るためには、エネルギー方程式を導いて、そのエネルギー収支を調べる必要があります。
総観規模波動に供給されたエネルギーの一部は、メソ擾乱などのより小さいスケールの渦へと流れます。これは大きな渦が時間と共に小さな渦に分裂し、その渦がさらに小さな渦へと細分化され、やがては無秩序な乱流と化して、最終的には粘性摩擦により摩擦熱に還元されるプロセスです。
大きい渦の運動エネルギーが小さい渦へと枝別れしてゆくプロセスのことを、エネルギーのカスケードといいます。このような乱流の形態の最小単位を見てみると、プルームの集合として認識することができます。渦が細分化され、相対的に粘性の効果が大きくなると、流れの前方で運動を阻止するようにプルームが姿を現してきます。
一方で、総観規模波動に供給されたエネルギーの一部は、プラネタリー波や帯状流などのより大きなスケールの現象へと流れます。これは水平的な2次元乱流の特徴であり、地球の自転効果がより強くなるプラネタリー波領域では流れは水平2次元的になっているためです。ここでは、細かい渦同士がぶつかり合い、融合を繰り返してより大きな渦へと成長します。この過程では、エネルギーが小スケールから大スケールに向かって流れるので、このプロセスをエネルギーの逆カスケードといいます。
中緯度の偏西風ジェットをブロックして長期間留まり、各地に異常気象をもたらすブロッキング高気圧も、総観規模波動からのエネルギーの逆カスケードで維持されていると考えられています。
3次元乱流としてのエネルギーのカスケードは、流れを無秩序な乱流へと遷移させるのに対し、2次元乱流としての逆カスケードは、乱流状の小さな渦から秩序だった巨大渦を形成する特徴があります。大気大循環から境界層乱流に至るまでのさまざまのスケールの現象は、エネルギーのカスケード・逆カスケードによりスケール相互作用を行い、お互いに影響を及ぼし合っているのです。
地球上で生まれる様々な大きさの渦は、細かい渦に分かれて散っていったり、逆に集まってより大きな渦になったりします。当社の『極端気象シリーズ』で解説している竜巻やダウンバースト、積乱雲が組織化されたクラウドクラスターなどもその中に含まれます。竜巻も、地球規模で見れば「マイクロスケール」での出来事です。大きな被害をもたらす激しい気象現象も、地球にとっては100m程度の大きさの、数分~数十分で終わる現象なのです。
偏西風とブロッキング
異常気象の原因は、偏西風ジェットの蛇行として説明される場合がほとんどです。では、なぜ偏西風は蛇行したのでしょうか。偏西風の異常な蛇行のほとんどがブロッキングによって引き起こされています。このプロッキングとは何で、どのようにして発生するのか、その答えを探ってみましょう。
《偏西風の蛇行とブロッキング》
ブロッキング高気圧とは、中高緯度対流圏にしばしば形成される背の高い高気圧のことです。背が高いということは、対流圏の下層で高圧のとき、その上層も高圧部であり、鉛直方向に一貫していることを意味します。
ブロッキング高気圧は、ひとたび出現すると、長い時には1か月近く同じ場所に停滞し続ける特徴があります。この持続性のある背の高い高気圧は、多くの場合切離低気圧を南方に伴った状態でジェット気流が位置する中緯度に出現するため、ジェット気流はこの高低気圧を迂回するように南北に分流しなければなりません。
ジェット気流に流されて通常西から東に移動する大気下層の高低気圧や前線が、この背の高い高気圧の出現により東進をブロックされることから、この高気圧はブロッキング高気圧(または単にブロッキング)と呼ばれているのです。ブロッキングが発生している時と、いない時の天気図を比較すると、一層その違いが明瞭となります。本来偏西風が卓越する中緯度にブロッキングが発生することにより、偏西風ジェットは大きく蛇行します。日本上空を通過する偏西風ジェットは、日付変更線付近でブロッキングにブロックされて南北に分流し、その北の支流は大きく迂回して北極海にまで達し、その後アメリカ西海岸に南下しています。一方、南の支流はほぼ東西に流れ、西海岸で北の支流と合流します。ブロッキング高気圧と切離低気圧の間には、東風領域が見られます。
ブロッキングは長期間停滞するため、このような気圧配置が持続すると、北の支流の先、北極海周辺では、猛烈な暖気移流により、氷が解けるほどの高温に見舞われます。一方、寒気が持続的に南下するアメリカ中西部ではブリザードが吹き荒れ、大雪を伴う低温となります。ブロッキングは冬季を中心とする寒候期に発生することが多く、寒候期の異常気象は、このブロッキングと関係して発生します。ブロッキング高気圧の発生予測は、週間予報や長期予報において中心的なテーマです。 週間予報を的確に行うためには、第一にブロッキングの力学的な成因を理解する必要があります。
ブロッキングの発生要因については、様々な説明が試みられていますが、根本的な原因は未だ解明されていません。この項目の後半でも、プラネタリー波の増幅や、ロスビー波の砕波といった側面からの解説が行われています。中緯度の偏西風帯で生まれ、地球の自転に伴って大気中を西に進む波をロスビー波といいます。この波に従って西へ移動していこうとする高・低気圧が偏西風に押しとどめられてその場に長く留まり続けると、偏西風が大きく蛇行することがあります。このとき、高・低気圧の渦は反時計回りに転倒しています。
『偏西風の気象学』内容紹介まとめ
地球を取り巻くように恒常的に吹き続ける西風、偏西風。世界の温帯地域に属する国を中心に大きな影響を与える偏西風について、どうして偏西風が吹くのか、なぜ恒常的に吹き続けるのか、その基礎知識としての大気の循環から始めて解説します。また後半では、偏西風の強弱が地球規模の異常気象を引き起こすメカニズム、予測の難しさについても解説します。
風と大気の動き おすすめ3選
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『風と風車のはなし』
世界にはさまざまな風が吹いています。毎日の気象情報では、気温、降水量の他に「風力・風向き」が予報されています。風を様々な切り口からとらえ、気象・気候学といった自然科学的な面にとどまらず、地理、歴史、民俗などの面から解説しました。後半では、エネルギーとしての風と風車に注目して解説しています。
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『越境大気汚染の物理と化学』
国境を越えて汚染物質が運ばれてくる「越境大気汚染」。PM2.5や黄砂などの微粒子を運んでくる上空の風はどのような構造と運動をしているのか?汚染物質は地球上でどのような広がり方をするのか?大気汚染物質の正体は何か?物理と化学の両面から、大気の動きと汚染物質の振る舞いを解説しました。
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『新 百万人の天気教室(2訂版)』
天気を学ぶためには、まず大気と風の仕組みと働きについて知る必要があります。気象学を学ぶ入門者向けのベストセラーの最新版では、1章で大気、2章で風について説明しています。「天気」「気象予報」の基本をわかりやすく解説した、これ一冊で天気の基礎がわかる本です。