著者名: | 倉田 亨 編著 |
ISBN: | 978-4-425-88291-5 |
発行年月日: | 2006/12/28 |
サイズ/頁数: | A5判 352頁 |
在庫状況: | 品切れ |
価格 | ¥4,840円(税込) |
近年、世界的に水産物の価値が見直される中で、日本の漁業は漁獲量の減少、担い手不足による高齢化、漁村地域の活力低下により衰退を余儀なくされています。水産物自給率が5割を下回り、水産業の立て直しが急務となるいま、水産業は転換期をむかえ、大きく変貌しようとしています。
本書はそうした中、漁業経済研究における各分野の第一人者が「日本水産業の復興」をテーマにそれぞれの専門分野から持論を展開しています。
内容は、資源管理、漁業経営、市場・流通問題、漁村の活性化、諸外国との関係等と多岐にわたっており、その主張には頷かされる点も多くあります。日本の水産業の再生、さらなる発展のために何をすべきなのか。本書はその答えを見つけるのに最適なテキストとなるでしょう。
【目次】
第1部 産業形成と政策転換
第1章 生物生産における人間と自然-形成均衡の世界-
1.1 はじめに
1.2 持続的農村社会への価値目標
1.3 人間的な「生の場」への構想
1.4 人間と動植物の「生の場」への構想
1.5 生物社会に関する二つの自然像
1.6 鳥獣害-生物生産と自然をめぐる現実-
1.7 形成均衡の世界
1.8 人間・自然関係と「小欲知足」の思想
第2章 水産政策への転換
2.1 はじめに-内容と構成-
2.2 水産物の安定供給
2.3 漁業経営
2.4 フィッシュビジネスとしての水産業
2.5 結語
第3章 海業(うみぎょう)の経済−漁業・漁村の危機と再生を考える−
3.1 経済発展と漁業
3.2 漁業の危機・漁村の危機
3.3 渡嘉敷村の地域振興と「海業(うみぎょう)」
3.4 漁業から海業(うみぎょう)へ-「危機」からの脱出をめざして-
3.5 結語
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第2部 資源利用と管理
第4章 漁村と農村の資源利用−コモンズの理解をめぐって−
4.1 コモンズとは何か
4.2 浜辺の利用と沖合の利用
4.3 農村における陸のコモンズとしての土地
4.4 コモンズの市民的拡大
第5章 現代の資源と漁業の管理
5.1 漁業管理の研究方法-実効の検証が必要-
5.2 資源管理と漁業の管理-漁業問題の大半は不合理漁獲-
5.3 これまでの漁業政策の概観
5.4 資源管理の不確実性と管理組織
5.5 資源の過剰漁獲(乱獲)の問題
第6章 東アジアにおける新海洋秩序の形成-日本を中心に-
6.1 はじめに
6.2 200カイリ体制と国連海洋法条約
6.3 日本の200カイリ体制の歩み
6.4 各国の漁業勢力の変化
6.5 漁業の削減と資源管理
6.6 今後の課題
第7章 多元的資源管理と産地価格分析の必要性
7.1 多元的資源管理について
7.2 産地価格分析の必要性
7.3 産地価格分析の具体的方法
7.4 産地価格分析実行上の問題点と対応方法
7.5 おわりに
第8章 沿岸域利用と漁業-コモンズの視点から-
8.1 はじめに
8.2 コモンズとしての沿岸域の性質
8.3 沿岸域利用の歴史的変遷
8.4 沿岸域利用の特徴と課題
8.5 持続的な沿岸域利用を実現するための方策
8.6 漁業の役割
8.7 おわりに
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第3部 漁業経営と流通
第9章 漁業経営における「安全管理」
−沿岸漁業での労働災害と海難事故を通してリスク管理を考える−
9.1 はじめに
9.2 未整備な労働災害及び海難事故統計
9.3 沿岸漁業での労働災害・海難事故発生状況
9.4 高齢者就業の問題点と課題
9.5 漁業の一環として「危機管理」を
9.6 まとめ
第10章 沿岸漁業の再生−小型底曳網漁業を事例として−
10.1 はじめに
10.2 庵治漁協の概要
10.3 再生への試み
10.4 課題と今後の展望
10.5 おわりに
第11章 ノリ養殖の現状とその可能性
11.1 はじめに
11.2 ノリ養殖生産の現状と史的展開
11.3 需要変化と市場対応
11.4 共同販売システムとしてのノリ共販
11.5 まとめ
第12章 水産物市場流通の変化と卸売業者の対応
12.1 水産物流環境の変化
12.2 水産物卸売市場流通の変容
12.3 卸売業者の業務内容と経営対応
12.4 市場間競争の強まりと卸売業者間の再編成
12.5 結語
第13章 水産物市場のゆくえ-島根県石見東部を事例に-
13.1 はじめに
13.2 石東の地域漁業と漁協の現状と課題
13.3 石東5漁協の産地市場の現状と課題
13.4 石東の買受人の構造と動向
13.5 水産物産地市場のゆくえ
第14章 トルコ共和国の水産物流通事情
14.1 はじめに
14.2 漁業の環境
14.3 水産業の現況
14.4 海面漁業
14.5 内水面漁業
14.6 魚類養殖
14.7 水産物供給量
14.8 冷蔵庫施設と機能
14.9 水産物加工
14.10 見聞した塩乾品
14.11 水産物冷凍
14.12 水産物流通
14.13 卸売市場の現況
14.14 小売販売
14.15 水産物の輸出
14.16 水産缶詰
14.17 青果物卸売市場
14.18 イスラム教と魚食
14.19 世界三大料理と言われる所以
14.20 おわりに
第15章 日本水産業の再生を求めて
15.1 日本水産業の再生を求めねばならぬ状況−漁業衰退化の兆候深まる−
15.2 「自給率向上」目標設定のねらい
15.3 水産物およびその販売方法の「個性化・独自化」への新たな工夫
−漁業衰退化抑止策としての可能性(その2)
15.4 漁場の水産資源の回復・維持への工夫
15.5 資源管理型漁業を目指すなら
−水産資源動態把握専門機関設置と漁協統合化・水産関係事業拡大に向けて−
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