著者名: | 石原伸志・合田浩之 共著 |
ISBN: | 978-4-425-92711-1 |
発行年月日: | 2010/1/28 |
サイズ/頁数: | A5判 320頁 |
在庫状況: | 品切れ |
価格 | ¥3,740円(税込) |
コンテナ物流の歴史と現状を膨大な資料と実務家に対する綿密な取材で的確に分析。理論と実務を兼ね備えたコンテナがこの1冊でわかる。
埠頭でコンテナ業務に携わっている方にも参考になります!
2010年「住田正一海事奨励賞」
2010年「日本物流学会賞」
2010年「北見俊郎賞」
を受賞しました。
【内 容】
1950年代、米国のトラック会社のオーナーであったマクリーンによって考案された海上コンテナは、「20世紀最大の物流革新」であるといっても過言ではない。
海上コンテナの普及は、国際複合一貫輸送を容易にしただけでなく、ロジスティクスやサプライチェーンマネジメントを急速に発展させた。コスト削減のためのグローバルなJust in time物流の導入や在庫の削減は、将にコンテナリゼーション抜きでは考えられない。
本書は、コンテナ船が日本にきた黎明期の頃のエピソードや苦労を知る方も少なくなりつつある今日、実務経験豊富な著者が膨大な資料を基に多くの黎明期のキーマンに取材し、その実像を明らかにし、海運分野だけでなく、銀行決済や貨物海上保険など海上コンテナが実務に影響を及ぼす広範囲の分野についても緻密な分析を行ったもの。
過去の歴史的経緯だけでなく、実務家が日々の業務の中でも参考になるよう過去、現在、未来を見通したコンテナ物流の基本図書になっている。
◆こんな方にオススメです!◆
海運業者、物流業者・物流企業入門者、埠頭業者(コンテナ業務)、物流研究者
【はじめに】より
1968(昭和43)年、日本最初の新造フルコンテナ船「箱根丸」が加州(カルフォルニア)航路に就航してから早40年が経ちました。その後、わずか10数年の間に世界の定期航路の90%以上がコンテナ化され、いまや定期航路の在来船を探すのは難しい状況になっています。
1950年代、米国のトラック会社のオーナーであったMr. Macleanによって考案された海上コンテナは、「20世紀最大の物流革新」であるといっても過言ではないと思います。
海上コンテナの普及は、国際複合一貫輸送を容易にしただけでなく、いま流行のロジスティクスやSCM(Supply Chain Manegement)を急速に発展させました。コスト削減のためのグローバルなJust in time物流の導入や在庫の削減は、将にコンテナリゼーション抜きでは考えられません。また、コンテナは港湾の慣習を一変させ、100年以上続いた海運同盟を崩壊させました。
ところで、1974(昭和49)年に三井倉庫に入社し倉庫の現業部門に配属された筆者(石原)が初めて「コンテナ」を知ったのは、香港の東海建業有限公司(三井倉庫の最初の海外現地倉庫会社)に応援でいかされた1975(昭和50)年2月のことでした。
その当時の倉庫業界は未だインターナショナル・フレイト・フォワーダーへと脱皮しておらず、ましてや新入社員が海外出張することなぞ想像することもできない時代でしたが、そこで、初めてコンテナというのも知り、今後はコンテナを活用した国際物流の時代だと確信いたしました。
わずか2か月間の短い香港出張でしたが、その後の筆者(石原)の一生を決定する意義深い出張でした。
帰国後、三井倉庫が業界の先駆者としてシーランドのコンテナ・ターミナルを運営し、それをセットアップしたのは元三井倉庫の鎌田敦氏であることを知りました。
当時東京支店の現場にいた筆者(石原)が、本店海上業務部にいた鎌田敦氏に師事し、指導を仰ぐようになったのは香港からの帰国後間もなくのことでした。汚れた現場服を着た筆者(石原)が、時間があれば鎌田敦氏の机を横のゴミバケツに座り、国際物流に関する指導を受けた日々が今でも懐かしく思い出されます。
1977(昭和52)年に調査室長に任じられた鎌田敦氏が定年前の最後のご奉公として、筆者(石原)を調査室に嘱望され、鎌田敦氏からマン・ツー・マンの直接指導を受けることができたことは非常に幸運なことでした。わずか2年という短い期間でしたが、筆者(石原)にとっては、大学院にいって専門教育を受けた以上の収穫の多い期間でした。
ちなみに今年84歳になる鎌田敦氏はいまもご健在で、相変わらず研究意欲は衰えず第一線で活躍されています。
ところで、本著を執筆する契機となったのは、成山堂書店様から、最近のコンテナに関する出版物が少ないというお話をお聞きしたからです。また、2008(平成20)年は箱根丸が就航してから40年という節目の年でもあります。さらに、1998(平成10)年3月末で日本海上コンテナ協会が解散したこともあり、コンテナ船が日本にきた黎明期の頃のエピソードやご苦労を知っている方も少なくなりつつあります。
そこで、合田浩之氏と相談して本著の執筆を思い至った次第です。
本著は、筆者(石原)の恩師である鎌田敦氏から聞いたエピソードや邦船社の社史などを参考にしながら、海運分野だけでなく、銀行決済や貨物海上保険など海上コンテナが実務に影響を及ぼした広い分野などに亘って合田浩之氏と考察してみました。
過去の歴史的経緯だけでなく、日々の業務の中でも参考になるよう執筆したつもりです。
微力ながら本著を通して、海上コンテナ黎明期の先駆者のご苦労を知り、日々の業務のご参考になればと願っております。
最後に、本書出版に際してご便宜・ご厚情を賜りました成山堂書店の小川實会長・小川典子社長、同社編集部、元三井倉庫の鎌田敦氏に深謝申し上げます。
2009(平成21)年12月吉日
東海大学海洋学部航海学科国際物流専攻 教授
石原伸志
目次
1 コンテナの概論
1.1 コンテナとは何か
1.2 国際海上コンテナの種類
1.3 日本固有のコンテナ
1.4 コンテナの標準化
コーヒータイム:米国でのコンテナの高さの決定について
2 コンテナリゼーションが与えた影響
2.1 コンテナリゼーションが定期航路に与えた影響
2.2 コンテナ運航者に与えた影響
2.3 荷主に与えた影響
2.4 コンテナ船運航会社への影響と将来
3 コンテナ船発展の経緯
3.1 コンテナ黎明期前「欧州の樽 日本の樽」
3.2 コンテナ黎明期
3.3 日本のコンテナ化の夜明け前
3.4 定期航路のコンテナ化の経緯と概況
コーヒータイム:国家安全保障(軍事)と国際海上輸送
コーヒータイム:箱根丸の建造
コーヒータイム:コンテナ船の速度
4 コンテナ船の運航・管理
4.1 コンテナを運ぶ船の種類
4.2 コンテナ船運航とコンテナの管理
4.3 コンテナ船事業の位置付け
4.4 コンテナ配船の決定要因
4.5 コンテナの管理
5 海運同盟とアライアンス
5.1 海運同盟
5.2 アライアンスの意義
5.3 海上運賃
コーヒータイム:同盟を巡る思い出
6 日本国内のコンテナ輸送
6.1 日本国内のコンテナ輸送
6.2 道路輸送に関する法規制度
6.3 道路法規に関する矛盾点
6.4 建築限界
6.5 9’6”コンテナの走行問題
6.6 9’6”コンテナの標準化と国内航行
6.7 海上コンテナの自動車運賃・料金
6.8 自動車重量税
コーヒータイム:日本で最初のトレーラーの建造
7 コンテナ・ターミナルとターミナル・オペレーター
7.1 コンテナ・ターミナルの仕組み
7.2 コンテナ・ターミナルの作業業務
7.3 日本のコンテナ・ターミナルの略史
7.4 ターミナル・オペレーターと港湾運送事業者
7.5 最近のコンテナ・ターミナル・オペレーターの位置付け
コーヒータイム:シーランド横浜入港とコンテナ・ターミナルを巡る秘話
8 コンテナと通関
8.1 海上コンテナ自体の通関
8.2 貨物の輸出通関手続き
8.3 輸入貨物の船降ろしと通関日配送手続き
コーヒータイム:L/Gの紛失
コーヒータイム:コンテナが人を運ぶ
9 フレイト・フォワーダーと国際複合一貫輸送
9.1 フレイト・フォワーダーの歴史
9.2 日本のフレイト・フォワーダー
9.3 日系フレイト・フォワーダーの業務内容
9.4 フレイト・フォワーダーとNVOCC
9.5 船会社と国際物流
9.6 フレイト・フォワーダーとバイヤーズ・コンソリデーション
9.7 フレイト・フォワーダーと国際複合一貫輸送
9.8 国際複合一貫輸送の課題と問題点
コーヒータイム:中国での複合運送
10 コンテナ輸送と貿易取引
10.1 コンテナ輸送とインコタームズ
10.2 コンテナ輸送と信用状取引
10.3 B/L(Bill of Lading)
10.4 B/L危機
10.5 SWB(Sea Waybill)に関する法的体系
11 コンテナ輸送と保険
11.1 外航貨物海上保険の基本条件
11.2 賠償責任保険の種類
11.3 第三者賠償責任保険
11.4 コンテナに係わるその他の保険
11.5 業界団体が付保している賠償責任保険
11.6 物保険と賠償責任保険の関係
コーヒータイム:保険クレームの思い出
12 リース・コンテナ
12.1 初期のリース・コンテナ
12.2 ファイナンス・リースとしてのメリット
12.3 リース・コンテナ特有のメリット
12.4 コンテナ・リース契約の種類
12.5 コンテナ損傷保険(Damage Protection Plan;DPP)
12.6 リース・コンテナ業界の現状
13 コンテナ輸送とセキュリティ
13.1 北米向け輸出船積みに関する安全対策について
14 コンテナ輸送と統計
14.1 コンテナ船の荷主
14.2 コンテナの動き
コーヒータイム:不定期船貨物のコンテナ化
15 海運会社の将来
15.1 長期的経済見通しについての一般的な状況
15.2 コンテナ船の大型化は進むか
15.3 高速化は進むか
15.4 構造変化やパラダイム変化の要因は何か
15.5 セキュリティの問題
15.6 北極海の解氷とコンテナ海運
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