新交通システム建設物語−日暮里・舎人ライナーの計画から開業まで−


978-4-425-96191-7
著者名:「新交通システム建設物語」執筆委員会 編
ISBN:978-4-425-96191-7
発行年月日:2011/3/25
サイズ/頁数:A5判 258頁
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価格¥2,640円(税込)
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公園下の車両基地、首都高速を跨ぎ、隅田川・荒川を横断する
橋梁の難工事など、建設のウラ側を徹底紹介!

平成20年3月30日に開業した新交通システム「日暮里・舎人ライナー」の建設の概要をとりまとめたものです。この路線を題材に、「新交通システム」とは何か、そして、導入における土木・建築、建設、軌道設備、技術、法手続きなどを全8部構成で紹介しています。
特徴的な建設手法であるCM(コンストラクション・マネジメント)方式についても詳細に解説。鉄道導入などに比べ経済性も高く、環境にやさしい都市交通機関として注目される「新交通システム」を、分かりやすくまとめた内容です。

【まえがき】より
東京の荒川・足立両区にまたがる区部北東部は、鉄道等の公共交通網が稀薄な地域でした。日暮里・舎人ライナーが開通するまでは、朝夕の通勤・通学時間帯には、都心から15kmの距離にある足立区舎人地区から、JR日暮里駅までバスで1時間もかかる、いわゆる交通不便地域でした。日暮里・舎人ライナーの開通によって所要時間も約20分となり、開業の平成20年3月30日は地域の住民の方にとって、まさに悲願の結実した日でした。
開業後3年を迎える現在、1日約6万人ものお客様に利用され、地域のシンボルとして広く親しまれる公共交通機関となっております。建設に携わった者にとりましては、嬉しい限りです。
開業までの道のりは決して平たんではなく、昭和61年11月に東京都の長期計画に位置づけられてから22年、そして平成9年12月に建設に着手してから10年と長い歳月をかけ、ひとつひとつの課題を解決しながらの開業でした。
日暮里・舎人ライナーの建設は、インフラ補助制度という事業のしくみから、基礎、支柱、桁、走行路、駅舎等のインフラ部の建設は道路管理者である東京都建設局が担当し、車両および車両を自動運転させるために必要な案内軌条、電気・信号通信施設等のシステム、車両基地等のインフラ外部の建設は東京都地下鉄建設株式会社が担当しました。また運営は東京都交通局が担当し三者それぞれの役割のなかで、相互に協力・連携しながら進めてまいりました。
そうしたなかで、建設に係わる事業手法やバリアフリー等に関する最新の制度等を積極的に取り入れるとともに、土木、建築、電子・電気、機械・設備等の多岐にわたる最先端の技術・工法を総結集して、人と環境にやさしい公共交通をめざして建設を進めてきた事業です。 本書は、計画から事業の完成までを、事業のしくみ、許認可手続き、設計・工事等、新交通事業のいっさいを『新交通システム建設物語−日暮里・舎人ライナーの計画から開業まで−』として約2年をかけてとりまとめたものです。

平成23年3月
「新交通システム建設物語」執筆委員会
野崎春己

【目次】
第1部 日暮里・舎人ライナー開業までの道のり
1.新交通システムとは
 (1)新交通システムとは
 (2)他の交通輸送システム
 (3)新交通システム等の整備状況
 (4)モノレールの整備状況

2.日暮里・舎人ライナーの事業概要
 (1)路線概要
 (2)ルートと駅位置
 (3)日暮里・舎人ライナーの設計基本仕様
 (4)建設の経緯
 (5)運輸政策審議会答申

3.建設着手までの法的手続きの流れ
 (1)都市モノレールの整備の促進に関する法律
 (2)軌 道 法
 (3)都市計画法と東京都環境影響評価条例
 (4)道 路 法

4.開業に向けた取り組みと運輸開始認可
 (1)「日暮里・舎人線開業準備委員会」の設置
 (2)特許の譲渡
 (3)運輸開始(開業)までの流れ

5.日暮里・舎人ライナーの開業とその後
 (1)日暮里・舎人ライナーの開業
 (2)駅前広場と自転車駐輪場の整備およびバス路線の再編
 (3)日暮里駅周辺再開発「ひぐらしの里」―新しい生活空間の創出―
 (4)舎人公園の整備―都民の憩いと潤いの広場―

第2部 インフラの建設―土木構造物を中心に―
1.構造物の設計
 (1)おもな仕様
 (2)設計基準
 (3)耐震設計
 (4)地形および地質
 (5)構造形式
 (6)上部形式
 (7)下部形式
2.インフラ工事の概要
 (1)基礎工事
 (2)支柱工事・鋼桁製作および架設工事
 (3)上部仕上げ(床板・走行路)工事
 (4)駅舎・連絡通路工事
 (5)関連街路工事
 (6)工事の特徴
 (7)事業用地の取得
 (8)全体工程

3.最初の基礎工事(舎人公園付近)

4.荒川横断橋梁下部工事
 (1)工事概要
 (2)周辺地盤への影響と対策(既設橋梁との近接施工)
 (3)仮設工
 (4)ケーソン躯体構築工

5.最後の基礎工事(環状第七号線交差部付近)
 (1)工事概要
 (2)地下埋設物調査
 (3)想定外の埋没物
 (4)止水対策

6.鋼桁架設工事(日暮里駅〜西日暮里駅間)
 (1)工事概要
 (2)曲率半径30mの曲線部(西日暮里二丁目交差点上架設)
 (3)京成本線上空のけた架設
 (4)西日暮里五丁目交差点付近

7.明治通り付近の鋼桁架設
 (1)工事概要
 (2)架設工法
 (3)送出し架設の特徴
 (4)自走運搬台車ベントと桁閉合設備

8.熊野前駅付近の鋼桁一括架設
 (1)工事概要
 (2)架設ステップ

9.都電荒川線上の送出し架設
 (1)工事概要
 (2)送出し設備及び降下設備

10.隅田川横断橋梁鋼桁架設
 (1)工事概要
 (2)架設方法及び部材輸送
 (3)中央径間大ブロック一括吊上げ架設

11.荒川横断橋梁鋼桁架設
 (1)工事概要
 (2)荒川横断橋梁の特徴
 (3)工事の特徴
 (4)首都高速上の鋼桁架設

12.上部仕上げ工事

第3部 駅舎・連絡通路の建設
1.駅の概要
 (1)駅の形式
 (2)駅の構成
 (3)標準駅と特殊駅
 (4)駅舎の形体
 (5)駅舎内部の構造
 (6)連絡通路の概要

2.インフラ部分とインフラ外部分(駅に関するもの)
 (1)インフラ部
 (2)インフラ外部
 (3)インフラ内外含めた標準駅の形

3.標準駅の概要とインフラ計画
 (1)駅舎の構造と外観
 (2)駅舎の意匠
 (3)連絡通路
 (4)標準液の連絡通路計画

4.特殊駅の概要とインフラ計画
 (1)日暮里駅の計画
 (2)西日暮里駅の計画
 (3)足立小台駅の計画
 (4)舎人公園駅の計画

5.駅のインフラ外部の計画
 (1)建築基準法・消防法上の取扱い
 (2)仕上げ工事
 (3)インフラ外工事の発注形態
 (4)内外装兼用材の多用

6.駅のバリアフリー計画
 (1)基本的な考え方
 (2)昇降機全般(エレベーター、エスカレーター)
 (3)エスカレーター
 (4)エレベーター
 (5)音声案内
 (6)トイレ
 (7)ホームと列車との離れについて

7.駅の安全のための設備
 (1)ホームドア
 (2)火災対策
 (3)駅監視システム等

8.案内サイン等
 (1)サイン計画
 (2)駅カラーと駅ナンバー
 (3)路線シンボルマーク

9.駅舎・連絡通路の施工
 (1)駅舎部の施工手順
 (2)駅舎部インフラ工事における他工事との調整
 (3)インフラ外工事の納まり上の苦労

第4部 電気施設
1.システム構成
2.総合管理システム
 (1)運行管理システム
 (2)電力管理システム
 (3)防災管理システム
 (4)駅務管理システム
 (5)車庫管理システム

3.受変電設備の概要
 (1)受電変電所
 (2)き電変電所
 (3)電気室
 (4)き電開閉所

4.電線路設備の概要
 (1)電車線設備
 (2)き電設備
 (3)高圧送配電線設備

5.タイヤパンク検知装置

6.信号保安設備の概要
 (1)自動列車制御装置(ATC)
 (2)列車検知装置(TD)
 (3)連動装置

7.通信設備概要
 (1)列車無線/非常発報装置
 (2)電話装置
 (3)ITV 監視装置
 (4)案内放送装置
 (5)インターホン装置
 (6)光LAN 装置
 (7)軌道モニタリングシステム

8.自動運転設備の概要

第5部 車両・検査修繕施設
1.基本条件
 (1)車両を製作する際の認可
 (2)路線特性による条件

2.車両の概要
 (1)主要諸元
 (2)車 体
 (3)台 車
 (4)ブレーキ
 (5)主回路
 (6)補助回路
 (7)運転・保安装置
 (8)車両の搬入・調整

3.車庫・検査修繕施設
 (1)車庫設備
 (2)保守に活躍する車両

4.参  考
 (1)車両製作工程
 (2)車両検修作業

第6部 軌道施設
1.軌道施設概要
 (1)案内軌条
 (2)分岐装置
 (3)ロードヒーター
 (4)車止め

2.軌道施設工事
 (1)案内軌条設置工事
 (2)本線分岐装置工事
 (3)ロードヒーター設置工事
 (4)走行路整正工事

3.車両入線までの流れ

4.保守車両

第7部 安全対策
1.列車運行に伴う安全対策
 (1)車両の非常通報器と非常停止ボタンの設置
 (2)車両の不燃化対策
 (3)車載カメラによる軌道モニタリングシステムの設置

2.駅施設の安全対策
 (1)ホームドアの設置による転落防止
 (2)駅非常列車停止ボタンの設置
 (3)駅モニターカメラの設置
 (4)駅の火災対策

3.自然災害対策
 (1)地震対策
 (2)風水害対策(台風等)
 (3)雪害対策
4.その他(テロ対策等)

第8部 車両基地の建設
1.舎人車両基地の概要
 (1)公園直下の車両基地
 (2)舎人車両基地の平面計画

2.CM方式による車両基地の建設
 (1)CM方式採用の背景と目的
 (2)事業受託者(CMR)の選定
 (3)CMRの業務

3.車両基地の設計
 (1)基本設計
 (2)実施設計―技術検討委員会による検討―
 (3)実施設計上の課題

4.車両基地の工事
 (1)工事概要及び工程
 (2)各工事の概要
 (3)開業後の車両基地上の舎人公園

5.CM方式による事業執行
 (1)CM(コンストラクションマネジメント)方式
 (2)CM方式による事業
 (3)CMRによる業務と執行体制
 (4)工事費の支払いにおける特徴
 (5)CM方式の成果と課題


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