世界鉄道探検記3−辺境をたずねて−


978-4-425-96181-8
著者名:秋山芳弘 著
ISBN:978-4-425-96181-8
発行年月日:2012/1/24
サイズ/頁数:四六判 210頁
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価格¥2,090円(税込)
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ラオス、イスラムの古都バクー(アゼルバイジャン)、リトアニア、エジプトなど、各国の鉄道事情などを専門家ならではの視点で紹介。鉄道旅行の醍醐味である、現地の雰囲気や人とのふれあいを、様々なエピソードを交えて綴る。

【まえがきー辺境鉄道の魅力ー】より 21世紀に入り、世界的な環境意識の高まりとともに、大量・高速輸送が可能で、環境負荷とエネルギー消費が少ない特性を持つ鉄道が、再び脚光を浴びています。つまり、「鉄道復権」(鉄道ルネッサンス)の時代の到来とも言えます。その背景には、化石エネルギーの使用料節減や都市交通環境の改善、大都市間を結ぶ経済成長回廊の整備、国によっては景気対策という目的があります。
また、趣味の世界に目を転じますと、老若男女の鉄道ファンが列車の写真を撮ったり、鉄道の旅に出かけたりと、様々な活動をしています。テレビでも国内の海外の鉄道を紹介する番組が多くなっています。このように鉄道への関心が高まることは、鉄道を生涯の職業としている者からすれば大変有難いことです。
この「鉄道復権」の流れに少しでも役に立てればという思いから、海外の鉄道に実際に乗車して『世界鉄道探検記』を執筆してまいりました。今までのシリーズでは、「ユーラシア」と「ヨーロッパ」という比較的身近な鉄道を取り上げてきましたので、今回の『世界鉄道探検記』(第3集)では、「辺境をたずねて」と題して、あまり知られていない鉄道を紹介することにしました。
「辺境」本来の意味は「中央の文化から遠くはなれた地方」(三省堂『新明解国語辞典(第4版)』)、「狭義では、国境地帯を指す」とありますが、本書では、一般の日本人にとって乗車する機会がほとんどない国や地域の鉄道を「辺境の鉄道」と定義して、その鉄道探訪記(鉄道ルポ)を収録しました。地域的には、中央アジアやカフカス地方・バルカン半島・東ヨーロッパの珍しい鉄道だけでなく、アフリカや南アメリカ・オセアニアまで範囲を広げました。
世界の先進国や経済成長国における都市の様相は、その中心部に業務用やホテルなどの高層ビルが立ち並び、郊外に住宅やアパート群が配置されているように、「近代化」とともに類型化してきています。それを反映して高速鉄道や都市鉄道は、国や都市・文化・習慣による多少の差はありますが、最新技術を採用した鉄道なので類似していて、さほど新鮮味を感じないのは私だけではないと思います。
そのような状況の中で、「辺境鉄道」は、庶民列車や路オーかる列車が主体なので、地元の人たちの日常生活に触れたり、交流したりすることができます。つまり、まだまだ土着性が強く、その国や地域の民族や文化・自然条件を色濃く反映しており、「異国感」を実体験できます。だからこそ、面白いのです。本書により、世界各地の「辺境鉄道の旅」を楽しんでいただければ幸いです。
なお、本書に収録している鉄道ルポは、乗車・執筆時点におけるデータや事実関係に基づいて書いています。中には今かや約30年前のザイール(現在のコンゴ民主共和国)での鉄道乗車記もあります。当然のことながら、その後の変化がありますので、重要な変更と思われるものには本文に(注)をつけて簡単に解説するようにしました。たとえば、訪問した時には鉄道がなかったラオスにも現在ではタイとの接続路線が完成しています。このことを念頭において読んでいただければと思います。
前置きはこれくらいにして、それでは新たな鉄道探検に出発しましょう。

2011年12月(世界の鉄道探検を開始して30年目の冬)
秋山芳弘

【目次】 ・冬のシベリア
・モンゴルを鉄道で縦断
・北朝鮮の地方都市
・緊張感ある北東アジアの国境通過
・中国西部の国境駅とシルク=ロードの町
・天山山脈が見えるアルマティでの出来事
・鉄道のないラオス探訪
・カンボジアの旅
・ジャワ島のバンドン線
・二重内陸国ウズベキスタン
・南カフカスの大都市バクー
・黒海に面したグルジア
・イスタンブールの鯖サンドとハマム
・バルカン半島のソフィア
・「地上の天国」ドブロヴニク
・ポーランドの光と影
・ショパンの生家を訪ねて
・杉原千畝がいたカウナス
・夏のアレキサンドリア
・約30年前のザイール(現コンゴ民主共和国)
・アメリカ南部のニュー=オーリンズ
・リオ=デ=ジャネイロの登山電車
・ケアンズのキュランダ鉄道
・世界鉄道探検の魅力
・経験的海外鉄道技術協力概論


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カテゴリー:鉄道 タグ:海外鉄道 鉄道 
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