海事・交通・水産・気象図書出版の成山堂書店

TOYOTAからGoogleまで、豊富な具体例から提示されるベストプラクティス！　多数の業界トップから寄せられた「まえがき」にも注目。
著しい変化に直面している航空業界。多彩なジャンルの異業種の経営への取組みを事例にして、現状の航空業界の経営体質や方針に一石を投じる。自動車産業、ネット産業、サービス業、小売業、娯楽産業などの異業種を幅広く分析、航空業界に、既存のままではない、新しい競争力のある営業戦略のヒントを提供。
現著者はオハイオ州立大学航空学科名誉教授、航空の産業・学界・公共政策で幅広い経験を持つ経済学者。業種・業界を超えて、経営に必要は“なにか”を見いだすことができる1冊である。

【監訳者のことば】 　ナウル・タネジャ教授と訳者が初めて面談したのは、日本航空（JAL）の破綻・再生の過程で、大手航空会社の再建実績がありJAL の債権者に対するアドバイザリー業務で来日したICF SH＆E 社の顧問として仕事をした際である。
　また、訳者が同時期に首相官邸の要請を受けて、JAL の再建を引き受けた稲盛会長と面談し、個人的なアドバイザーとなった直後であった。タネジャ教授の平易かつ明快な航空事業に対する考え方を目の覚める思いで聞いた。その折に、彼から英国で出版したばかりの著書『Looking beyond the Runway』を戴いた。
　彼の航空業界の将来に対する深い洞察力とともに、航空業界に限らず世界で傑出した企業がどのような戦略で事業経営を行っているか、航空業界が決して特殊な業界ではなく、他の産業と同じ土俵で事業革新を主導してゆくことの大切さ、重要さに深く感動した。
当時、世間では、航空業界は特殊な業界であり、JAL の再生は、業界人以外では難しいと考えられていた。稲盛会長に引き受けてもらっても、再建はとても無理で、倒産・解体すべきとの新聞論調が連日出回っていた時期であった。
　そのような時期にこの著書を読んで、是非、日本で航空業界だけでなく多くの産業界の人々に読んでもらう価値があると考え、日本での出版をタネジャ氏に打診したところ、快諾を戴いた。しかし、専門的、かつ、膨大な和訳作業をするに当っては、小生がOB でもある『日米学生会議』の後輩大谷翔君、高田修太君、竹内智洋君に相談し、彼らを中心としてその友人を加えて分担、和訳をすることとした。
　大学生、大学院生として本書の和訳と出版にかかわることで、学生時代の思い出深い経験となることに賛同を戴いた。今は社会人となった他の5 人は勤務先との関連で匿名とせざるを得ないことが残念である。訳者としても、彼らの協力なしでは、とても完訳には到達しなかったし、それでも、超多忙な毎日の仕事の合間を縫っての校正を繰返し行い、満足できるレベルに達するのに、ほぼ1 年半がかかった。いまは、大方社会人となっている8 人の訳者に深く感謝する次第である。
　訳者の経営する株式会社アイ・ティー・シー・アエロスペースおよび株式会社アイ・ティー・シー・リーシングの中山美梨香をはじめとする役員・社員にも協力して貰ったことにも感謝の意を表する次第である。
　さらに、日本での出版に当初より立ち会って戴いた成山堂書店の小川社長と編集グループの方々には、時間のかかる、根気の要る我々の作業を見守って戴き、出版に辿り着くことが出来たことに改めて感謝を申し上げたい。
　最後に、航空業界だけでなく、多くの経営者、さらに、起業を目指す方々に、是非本書をお読みいただき、事業経営の指針とされることを念願している。

平成26 年11 月
株式会社アイ・ティー・シー・アエロスペース　代表取締役
株式会社アイ・ティー・シー・リーシング　取締役会長
中山　智夫

【目次】 　発刊にあたって
　監訳者のことば
　日本語版出版にあたって
　謝　　辞
　前書き

アラスカ航空グループ 　会長兼CEO ウィリアム・アイヤー
コンチネンタル航空 　執行役副社長兼CMO ジム・コンプトン
ラン航空 　CEO エンリケ・クエト
ウエストジェット航空 　副社長・ストラテジー＆プランニング　ヒュー・ダンレビー
アジア太平洋航空センター 　会長　ピーター・ハービソン
フォレスターリサーチ社 　副社長・首席分析官　ヘンリー H．ハートベルト
コパエアライン 　執行役員兼社長　ペドロ・ヘイルブロン
エティハド航空 　執行役員　ジェームス・ホーガン
アマデウスIT グループ 　代表取締役社長　デイビッド V．ジョンズ
サウスウェスト航空 　執行役副社長　戦略企画担当　ボブ・ジョルダン
カンタス航空 　執行役員　アラン・ジョイス
エアベルリングループ 　ボードメンバー　ウォルフガング・カース
ロイヤルバンク・オブ・スコットランド 　エアラインアナリスト　アンドリュー・ロッペンバーグ
ガルフエア 　CEO サミール・マジャリ
エジプト航空ホールディング会社 　会長兼CEO フセイン・マスード
国際航空運送協会（IATA） 　法律顧問　ロバート・マックジョージ
ボンバルディア民間航空機 　社長　ギャリー R．スコット
アウトリガー・エンタープライズ・グループ 　専務取締役副社長兼CMO ロバート・ソロモン
ジョンズ・デイ法律事務所 　パートナー（元米国運輸省航空輸送・国際担当事務次官・元米国連邦
　航空局首席弁護士）アンドリュー B．スタインバーグ
韓国航空大学（KAU） 　社長　ジュンク・ユー

第1章　波乱要因の把握、戦略の立案、そして新標準 　波乱要因
　戦略の立案
　新標準
　まとめ

第2章　自動車業界の課題から学ぶ航空業界危機の深刻さ 　注目すべき競合他社
　航空会社への示唆
　戦略に失敗した企業
　航空会社への示唆
　ダイムラークライスラー合併の事例
　航空会社への適用
　自動車メーカーの展望
　潜在的な市場変革者
　航空会社への適用

第3章　他産業から学ぶ：顧客経験産業 　顧客グループ
　顧客経験
　従業員の能力
　プロセスとシステムとインセンティブ
　顧客経験の事例
　航空会社が学ぶべきこと

第4章　航空会社の現実に即したイノベーション 　イノベーションのおもな原動力
　ビジネスモデルのイノベーション
　イノベーションのケーススタディ
　航空会社への洞察

第5章　フルスピードで業界をリードする 　ビジネスインテリジェンスとアナリティクスとアジリティの向上
　価値と価格
　航空会社についての洞察

第6章　変わりゆく世界地図を見渡して 　【グローバルな経済】
　アフリカのパラドックス
　ラテンアメリカのパラドックス
　航空会社が学ぶこと

第7章　追い風に乗って逆風に立ち向かう 　市場変革を起こす技術
　競争を変えるリーダーシップ
　おわりに
　
　監訳者・訳者紹介