著者名: | ヤンマーパワーテクノロジー株式会社 編著 |
ISBN: | 978-4-425-62102-6 |
発行年月日: | 2024/3/28 |
サイズ/頁数: | A5判 180頁 |
在庫状況: | 在庫有り |
価格 | ¥2,860円(税込) |
メーカーが書いた、エンジンとうまく付き合うためのメッセージ。
・船舶用ディーゼルエンジンの構造から保守・整備までコンパクトに収録
・使用頻度、検査、運転手順や関連法規などユーザー向けの情報を提供
・難しい理論を略し、具体的な作業の詳細を豊富な図面で記述
・整備士や海技士の実務と勉強に役立つテキスト
・環境規制や電子制御に対応した最新版
【まえがき】
本書の題目にもある“船舶用ディーゼルエンジン”は、推進用、発電用、作業機駆動用など、その動力源として、令和時代となった現在でも多くのお客様のもとで活躍していることは、ご存知だろうと思います。
その船舶用ディーゼルエンジンに関連した教書のひとつとして、私どもヤンマーパワーテクノロジー株式会社のOBである藤田護氏の著書「舶用エンジンの保守と整備」がありますが、その著書も5訂版として平成10年3月に出版以来、20年以上の月日が経過しており、例えば、電子制御についての追記など、その内容の一部を令和の時代にも合わせるべきと考えました。そこで、本書は、その前身である「舶用エンジンの保守と整備」をベースに、進化した技術として時代に合わせて変えるべきところは変えて、基礎技術として変えてはいけないところは変えることなく、さらに新たに加わった技術は追加するなどといった改訂を行い、新たに『舶用ディーゼルエンジン ─構造・保守・整備─』と題して、執筆しました。
ところで、本書を手に取って読んでくださる方々は、主には船舶関係の業務に就くプロフェッショナル、あるいはプロフェッショナルを目指そうとしている皆様であろう、と思います。私どもヤンマーパワーテクノロジー株式会社は、船舶用も含めた産業用ディーゼルエンジンなどを製造、販売するメーカーであり、船舶関係という大きな業界においては、そのなかのイチ部品メーカーに過ぎません。しかし、そのディーゼルエンジンは、船舶の推進を担う重要部品であること、そして、私どもが気持ちを込めて生み出した製品でもある、ということから、ディーゼルエンジンを大切に扱ってほしい、実際の業務のなかでディーゼルエンジンをパートナーとして永く仲良く付き合ってほしい、と切に願っています。そのディーゼルエンジンを読者の皆様にも大切に扱っていただくには、さらにパートナーとして仲良く付き合っていただくには、保守、整備はもちろんのこと、ディーゼルエンジンとは何なんだ、ということを知っていただき、興味を持っていただくことが重要だろうと考えております。例えば、親友、あるいは家族との付き合いのごとく、実際の船舶関係の業務においては、ディーゼルエンジンもその仲間に加えていただきたい、という想いをもって、本書を執筆しました。
ぜひ、この本をきっかけに船舶用ディーゼルエンジンを知っていただき、そしてこの本をディーゼルエンジンをパートナーとしてうまく付き合っていただくための愛読書のひとつに加えていただけると大変うれしく思っております。また、本書の執筆において資料の引用や提供など、ご協力いただいた皆様に、この場をお借りして感謝申し上げます。
2021年5月
ヤンマーパワーテクノロジー株式会社 井口 克之
【改訂にあたって】
今回の改訂では、重要な整備のひとつである芯出し、デフレクションの項目に船舶特有の浮うきしん芯、陸おかしん芯という状況を加味した船舶の実働状態を想定したうえでのチェックについての記述を追加しました。これにより船舶の特性にあわせた整備にも着目していただけるとうれしく思っております。
2024年2月
ヤンマーパワーテクノロジー株式会社 井口 克之
【目次】
第1章 ディーゼルエンジンの原理
第2章 ディーゼルエンジンの構造
2-1 ディーゼルエンジンの全体構造
2-2 主体部
2-2-1 シリンダブロック
2-2-2 主軸受、同ベアリング
2-2-3 シリンダライナ
2-2-3-1 ウェットライナ構造
2-2-3-2 ドライライナ構造
2-2-3-3 スリーブレス構造
2-2-4 シリンダヘッド
2-2-5 燃焼ガスのシール構造
2-2-5-1 ヘッドパッキン構造
2-2-5-2 ヘッドガスケット構造
2-3 主要運動部
2-3-1 クランクシャフト
2-3-2 コネクティングロッド、同ベアリング
2-3-3 ピストン、ピストンリング、ピストンピン
2-4 動弁装置
2-4-1 ギヤトレイン
2-4-2 カムシャフト
2-4-3 プッシュロッド、ロッカーアーム
2-4-4 吸気弁、排気弁
2-5 過給機
2-6 補機類
2-6-1 潤滑油装置
2-6-2 冷却水装置
2-6-3 始動装置
2-7 機械式から電子制御へ進化した構造
2-7-1 機械式燃料装置
2-7-1-1 燃料噴射ポンプ
2-7-1-2 燃料噴射弁
2-7-2 ガバナ(調速装置)
2-7-2-1 独立型機械式ガバナ
2-7-2-2 燃料ポンプ付き機械式ガバナ
2-7-2-3 油圧機械式ガバナ
2-7-2-4 電子制御式ガバナ
2-7-3 コモンレール噴射装置
2-7-3-1 サプライポンプ
2-7-3-2 コモンレール
2-7-3-3 インジェクタ
2-7-3-4 エンジンコントロールユニット(ECU)
2-8 減速逆転機
第3章 船舶用ディーゼルエンジンの主な種類と用途
3-1 船舶主機関用ディーゼルエンジン
3-1-1 ディーゼルエンジンにおける出力とトルク、正味平均有効圧力との関係
3-1-2 プロペラ推進における機関回転速度と出力の関係
3-1-3 船舶主機関用ディーゼルエンジンにおけるトルク変動率と回転速度変動率
3-2 船舶補機駆動用ディーゼルエンジン
3-2-1 船舶発電機用ディーゼルエンジンの所要出力
3-2-2 船舶用発電機の回転速度
3-2-3 船舶発電機用ディーゼルエンジンに要求される回転速度変動率
第4章 整備の準備と方法
4-1 整備工事の準備
4-2 整備について
4-3 分解時の注意点
4-4 分解整備用工具
4-4-1 一般工具
4-4-2 特殊分解組立工具
4-5 部品の洗浄方法
4-5-1 燃焼カーボン清掃
4-5-2 各部品の洗浄
4-5-3 潤滑油冷却器などの洗浄
4-5-4 海水通路部のスケール落とし
4-6 部品の検査方法
4-6-1 外観検査
4-6-2 寸法計測、精度検査
4-6-3 非破壊検査
4-6-4 硬度検査
4-7 再組み立て時の注意点
第5章 主要部の整備方法
5-1 分解の準備
5-2 シリンダヘッド関連
5-2-1 シリンダヘッド分解
5-2-2 点検、整備
5-2-3 組立
5-3 ピストン関連
5-3-1 ピストン分解
5-3-2 点検、整備
5-3-3 組立
5-4 コネクティングロッド関連
5-4-1 コネクティングロッド分解
5-4-2 点検、整備
5-4-3 組立
5-5 シリンダライナ関連
5-5-1 シリンダライナ分解
5-5-2 点検、整備
5-5-3 組立
5-6 シリンダ本体関連
5-6-1 シリンダ本体分解
5-6-2 点検、整備
5-6-3 組立
5-7 クランクシャフトと主軸受関連
5-7-1 クランクシャフトと主軸受分解
5-7-2 点検、整備
5-7-3 組立
5-8 カムシャフトおよび動弁装置関連
5-8-1 カムシャフトおよび動弁装置の分解
5-8-2 点検、整備
5-8-3 組立
第6章 関連装置の整備方法
6-1 ボッシュ型燃料噴射ポンプ関連
6-1-1 点検、整備
6-1-2 ポンプの圧力試験方法
6-1-3 組立時の注意点
6-2 燃料噴射弁
6-2-1 点検、整備
6-2-2 噴射圧試験
6-3 機械式ガバナ関連
6-4 潤滑油装置関連
6-4-1 歯車式潤滑油ポンプ
6-4-2 トロコイド式潤滑油ポンプ
6-4-3 その他の潤滑油装置
6-5 冷却水装置関連
6-5-1 往復式冷却水ポンプ
6-5-2 渦巻式冷却水ポンプ
6-5-3 ヤブスコ式回転ポンプ
6-5-4 その他
6-6 始動装置関連
6-6-1 圧縮空気直入れ方式
6-6-2 電気始動方式
6-6-3 バッテリ
6-7 排気ガスタービン過給機
6-8 減速逆転機
6-8-1 油圧式減速逆転機
6-8-2 機械式減速逆転機
第7章 主要部品の使用限度と調整
7-1 主要部品の使用限度
7-2 再組立後の調整
7-3 芯出し調整法
7-4 クランクアームの開閉量(デフレクション)
第8章 船舶用ディーゼルエンジンの運転手順
8-1 運転準備
8-2 燃料油の点検、給油
8-3 潤滑油の点検、給油
8-3-1 エンジン潤滑油の点検、給油
8-3-2 油圧機械式ガバナ潤滑油の点検、給油
8-3-3 減速逆転機潤滑油の点検、給油
8-4 清水の点検、給水
8-5 始動装置の点検
8-6 計器装置および警報装置の点検
8-7 エンジン始動
8-8 ならし運転
8-9 暖機運転
8-10 負荷運転および前進、中立、後進の切換操作
8-11 各部確認
第9章 初期故障とその対応
第10章 船舶用ディーゼルエンジンの保守、整備の重要性
付録 船舶用ディーゼルエンジンに関わる主な法令
付録-1 船舶安全法
付録-2 船員法
付録-3 船舶法
付録-4 漁船法
付録-5 IMO(国際海事機関)による環境規制
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