ISMコードの解説と検査の実際(三訂版)【復刊】


978-4-425-27055-2
著者名:国土交通省海事局検査測度課 監修
ISBN:978-4-425-27055-2
発行年月日:2024/6/18
サイズ/頁数:A5判 508頁
在庫状況:在庫有り
価格¥22,000円(税込)
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ISMコード(国際安全管理規則)はヒューマンエラー(人為的ミス)による海難事故を防止するために作成され、船舶・陸上を含めた全社的な「安全管理システム」の構築と、その確実な実施を義務づけたものです。
船上におけるコミュニケーションを「マニュアル化」「システム化」して、国際的な安全管理基準に合わせることにより、誰が担当になっても、一定に安全を維持できるようにすることがISMコードの目的です。
本書は、ISMコードの概念から、安全管理システムの構築方法、受検までの準備、実際の受検の流れ、判定のポイント、ISMコードに関するQ&Aなどを船舶所有者の立場で解説したものです。そのほか、SOLAS条約第9条やIMO総会決議など、関連の条約・法令・通達なども収録しています。
三訂版では、2007年3月公布の「運輸安全一括法」(鉄道・陸運・航空・海運を対象として、運輸安全マネジメント体制の作成、実施、維持を義務付けたもの)とISMコードの関係性についてと、この法律で定める安全管理規定ガイドラインの手引きを収録しています。
ISMコードを正しく理解し、適切な安全管理システムを構築・維持する上で、不可欠な一冊です。

【はしがき】より 本書は、1974年の海上人名安全条約の1994年改正により平成10(1998)年7月1日から国際航海に従事する旅客船、タンカー等に強制されることとなった国際安全管理規則(ISMコード)について、船舶所有者・運航者の視点に立って同コードに基づく検査について解説を行ったものである。
ISMコードは、1987年3月のヘラルド・オブ・フリーエンタープライズ号の転覆事故(原因:水密扉閉鎖不良、188人死亡)、1989年3月のエクソン・バルディズ号の座礁事故(原因:不適切な見張り、原油2万トン流出)、スカンジナビアン・スター号の火災事故(言語の相違による避難誘導不良により158人死亡)等最近の海難事故の多くが人的要因により生じているとの認識から、海難防止のためには船舶だけでなく陸上の管理部門も含めた全社的な取り組みが必要と判断し、船舶・陸上を含めた全社的な「安全管理システム」を構築し、これを確実に実施することを義務付けるものである。同コードは、平成14(2002)年7月1日からは上記の船舶のほかに国際航海に従事する総トン数500トン以上のすべての船舶に対しても、強制化されることとなっている。
わが国においては、この改正条約の規定を実施するため、船舶安全法規規則を改正し、船舶安全法に基づく検査の一環として同コードへの適合性に関し、船舶及び管理会社について審査を行うこととしている。
また、ISMコードの趣旨に鑑み、同コードに規定されている保守管理システムと同等以上の保守管理体制を有しこえrを実施している船舶については、機器等の定期的検査において、乗組員等による自主的保守整備の結果を広く活用することとし、船舶検査官の立会を省略するなどの運用を行うこととしている。
本書を通じ、ISMコードの適用対象船舶の関係者の方々のみならず広く船舶の安全に携わる方々がISMコードの考え方について理解を深められ、海難の減少に役立つことを願ってやまない。

平成11年3月
編者一同識

【目次】
第1章 ISMコードの概要
 1.ISMコード制定の経緯
 2.ISMコード制定の契機になった海難事故
 3.国際安全基準の多様化
 4.ISMコードの目的
 5.ISMコードのスキーム
 6.ISMコードとISO9000シリーズの関係
 7.ISO9000シリーズの2000年改訂

第2章 ISMコードの解釈
 ?.「国際安全管理規則解釈通達」に関する概要説明
 ?.ISMコードの解釈と説明
 A部 – 実施
  1.一般
  2.安全及び環境保護の方針
  3.会社の責任及び権限
  4.管理責任者
  5.船長の責任及び権限
  6.経営資源及び要員配置
  7.船内業務計画の作成
  8.緊急事態への準備
  9.不適合、事故及び危険の発生の報告及び解析
  10.船舶及び設備の保守
  11.文書管理
  12.会社による検証、見直し及び評価
 B部 – 証書及び検査
  13.証書及び定期的検査
  14.仮証書
  15.検査
  16.証書の様式

第3章 ISMコードの関連知識  1.ISMコードの意義と本章の必要性について
 2.船舶管理とは
 3.船舶管理会社
  3.1 ISMコードにおける「会社」とは
  3.2 用船形態からみた「会社」(Company)の位置付け
  3.3 船舶管理と契約
  3.4 船員派遣契約(Manning Agreement)
 4.船舶運航の仕組み
  4.1 船荷証券(Bill of Lading)
  4.2 裸用船契約(Bareboat Charter : B.B.C)
  4.3 定期用船契約(Time Charter)
  4.4 運航委託契約
  4.5 船舶管理契約(Ship Management Agreement)
 5.事故と保険
  5.1 単独海損と共同海損
  5.2 海難救助契約
  5.3 船舶保険(Hull Insurance)
  5.4 内外の船舶保険市場
  5.5 P&I保険
  5.6 ISMコードをめぐる保険業界の動向
 6.船舶の運航
  6.1 船内組織と船内業務
  6.2 航海の概要
  6.3 水路図誌
  6.4 保守及び修理
  6.5 安全及び環境保護
  6.6 特殊航海及び特殊作業
  6.7 緊急対応   
  6.8 訓練
 7.旅客及び貨物取扱い
  7.1 旅客船
  7.2 油タンカー及びケミカルタンカー
  7.3 ガスキャリアー
  7.4 バルクキャリアー

第4章 関係条約・法令
 1.本章の目的
 2.適用範囲
 3.概要
 [国内法令]
  3.1 船舶安全法
  3.2 船員法
  3.3 船員災害防止活動の促進に関する法律
  3.4 船舶職員及び小型船舶操縦者法
  3.5 海上衝突予防法
  3.6 海上交通安全法
  3.7 港則法
  3.8 水先方
  3.9 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律
  3.10 国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律
 [条約]
  3.11 SOLAS条約
  3.12 LL条約
  3.13 STCW条約
  3.14 COLREG条約
  3.15 MARPOL条約
  3.16 DUMPING条約
  3.17 ILO条約(第16号、第69号、第73号、第134号、第147号)
 4.重要な事項
 [STCW条約]
  4.1 STCW附属書第?章第14規則[会社の責任]
  4.2 STCW附属書第?章第1規則[タンカーの船長、職員及び部員の訓練及び能力に関する最小限の要件]
  4.3 STCW附属書第?章第2規則[Ro/Ro旅客船の船長、職員、部員及びその他の者の訓練及び能力に
     関する最小限の要件]
  4.4 STCW附属書第?章第1規則[すべての船員に対する習熟、基本安全訓練及び教習のための最小限の要件]
  4.5 STCW附属書第?章第2規則[救命用の端艇及びいかだ、救助艇並びに高速救助艇に関する技能証明の
     発給のための最小限の要件]
  4.6 STCW附属書第?章第3規則[上級消火訓練のための最小限の要件]
  4.7 STCW附属書第?章第4規則[応急手当及び医療のための最小限の要件]
  4.8 STCW附属書第?章第1規則[任務への適合]及び第2規則[当直体制及び遵守すべき原則]
 [SOLAS条約]
  4.9 SOLAS附属書第? ? 2章第40規則6[火災巡視、火災探知、火災警報及び船内通報の装置]
  4.10 SOLAS附属書第?章第18規則[非常時のための訓練及び操練]
  4.11 SOLAS附属書第?章第51規則[訓練手引書]
  4.12 SOLAS附属書第?章第53規則[非常配置表及び非常時の指示]
  4.13 SOLAS附属書第?章第13規則[人員の配置]
  4.14 SOLAS附属書第?章第19規則[自動操舵装置の使用]
  4.15 SOLAS附属書第?章第19 ? 1規則[操舵装置の作動]
  4.16 SOLAS附属書第?章第19 ? 2規則[操舵装置(試験及び訓練)]
 [船員法]
  4.17 船員法第18条(書類の備置)
  4.18 船員法第50条(船員手帳)
  4.19 船員法第80条(食料の支給)
  4.20 船員法第81条(安全及び衛生)
  4.21 船員法第82条の2(衛生管理者)
  4.22 船員法第83条(健康証明書)

第5章 ISM検査の実際  1.本章の目的
 2.検査の打ち合わせ
 3.陸上検査
  3.1 検査実施前準備
   別紙1 陸上検査日程表
   別紙2 安全管理マニュアル(SMM)チェックリスト
    別紙3 管理記録確認事項(例)
   別紙4 法令要求管理記録(陸上)確認事項(例)
  3.2 陸上検査の実施
   別紙5 初回会議/最終会議 出席者名簿
   別紙6 陸上初期検査報告書・指摘事項(例)
 4.船内検査
  4.1 検査実施前準備
   別紙7 船内初期検査日程表
   別紙8 管理記録確認事項(例)
   別紙9 法令要求証書等の確認
   法令10 法令要求記録、掲示及び備え置き等の確認(船上)
  4.2 船内検査の実施
   別紙11 初回会議/最終会議 出席者名簿
   別紙12 船内初期検査報告書
 5.ISM検査に関する記録
 6.ISM陸上年次検査(指針)について
  6.1 ガイドライン3.2.6及び3.3を踏まえて確認する事項
  6.2 ISMコード規定要求事項のうち、主要な確認事項
  6.3 SMSと関係なく特に確認を必要とする事項
  6.4 ISM陸上年次検査の具体的手法
 7.是正確認検査

第6章 ISMの判定基準
 1.ISM検査実施に当たっての留意事項
  1.1 ISM検査の目的
  1.2 システムの検査
  1.3 判定基準を意識した検査
 2.不適合、オブザベーションの解説
  2.1 重大な適合
  2.2 その他の不適合
  2.3 オブザベーション
 [ISM検査判定フロー]
 3.ISM検査判定の例
  3.1 重大な不適合の例
  3.2 その他の不適合の例
  3.3 オブザベーションの例

第7章 ISM検査の準備と手続き  1.受検までの手順等について
 2.マスタースケジュールの決定
 3.社員教育の実施
  3.1 教育の対象
  3.2 教育の方法
  3.3 教育の記録
 4.ISM検査受検のためのチーム作り
 5.社内の実態把握
 6.社内文書の整備
 7.安全管理システムに必要な文書
 8.安全管理手引書の作成
  8.1 文書化の意義
  8.2 手引書作成の留意点
  8.3 業務手順書の作成
  8.4 記録類の作成
 9.内部監査の実施
  9.1 内部監査とは
  9.2 内部監査の手順
  9.3 内部監査員
  9.4 内部監査の留意点
 10.管海官庁との事前相談
 11.ISM検査の申請
 12.予備審査
 13.陸上検査
 14.船内検査
 15.受検の際の注意点
 16.不適合を指摘されたら
 17.小規模な会社の安全管理システム構築について

第8章 ISMと運輸安全マネジメントとの関係性  1.運輸安全一括法の概要
  1.1 法律改正に至る経緯
  1.2 改正された事業法の範囲
  1.3 法律の骨子
  1.4 施行期日
  1.5 安全管理規程
 2.ガイドラインの概要
  2.1ガイドラインに影響を与えたヒューマンエラー事故防止対策検討委員会
  2.2 ガイドラインの位置付け
 3.ISMコードとガイドラインの比較
  3.1 目的と比較
  3.2 ISMコードとガイドラインの項目比較
 4.ISMコードをベースに安全管理体制を構築した企業における運輸安全マネジメントほか
   4.1 経営トップの役割
   4.2 解説

第9章 ISM一問一答
 第1節 ISMコードに関する基礎知識
  1.ISMコードとはどのようなものですか?
  2.ISMコードは、いつからどのような船舶に適用されるのでしょうか。
  3.ISMコードで要求される安全管理システムとISO9000による品質管理しすてむとの関係を教えて下さい。
  4.ISMコードでいう「会社」(カンパニー)とは何ですか。
  5.DOCとはどのような証書ですか。
  6.SMCとはどのような証書ですか。
  7.仮DOCとはどのような証書ですか。
  8.仮SMCとはどのような処暑ですか。
  9.世界中でどこの国でもISMコードに適合することが要求されるのでしょうか。
 第2節 ISM検査の手続き
  1.ISM検査は船舶安全法の定期検査や中間検査と別の時期に受けることができるのでしょうか。
  2.海外でISM検査を受けることは可能でしょうか。
  3.ISO9000の認証を受けている会社であればISM検査の省略、軽減はしてもらえるのでしょうか。
  4.ISM検査は誰が行うのですか。
  5.ISM検査の手続き等に関する問合せ窓口はどこになるのでしょうか。
 第3節 ISM検査の実際
  1.安全管理手引書の雛形は用意されていないのでしょうか。
  2.ISM検査には誰が立ち会えばよいのでしょうか。
  3.「重大な不適合」(メジャー・ノンコンフォミティー)及び「その他の不適合」(ノンコンフォミティー)
    とはどのような不具合を指すのでしょうか。また、その是正のための手続きはどうすればよいのでしょうか。
  4.「検査に関する記事」(オブザベーション)とはどのような不具合を指すのでしょうか。    
    また、その是正のための手続きはどうすればよいのでしょうか。
  5.陸上初期検査と陸上年次検査とはどのように違うのでしょうか。
  6.船内初期検査と船内中間検査とはどのように違うのでしょうか。
  7.陸上検査及び船内検査ではどのような内容のインタビューを受けるのでしょうか。
 第4節 こんなときどうする?
  1.船舶所有者が安全管理会社を変更したとき。
  2.安全管理会社は変わらないが船舶所有者が変わったとき。
  3.安全管理会社の住所が変更になったとき。
  4.安全管理会社の経営者が交替したとき。
  5.人事異動等で安全管理手引書に記載された人の名前が変わるとき。
  6.ISMコード適用対象船を新造するとき。
  7.内航の旅客船が一時的に国際航海をするとき。
  8.運輸安全マネジメント評価を受けるとき。
   8.1 運輸安全マネジメント評価のインタビューを受けるとき。

巻末資料 条約、法令、通達
 資料1 SOLAS条約附属書第11章(1974年の会場における人命の安全のための国際条約附属書第11章)
 資料2 IMO総会議決A.741(18):ISMコード(船舶の安全航行及び海洋汚染防止のための国際管理コード)
     一部改正 決議MSC.104(73)
 資料3 IMO総会決議A.913(22)(主管庁による国際安全管理(ISM)コード実施のための改正ガイドライン)
     Revised Guidelines on Implementation of The Inernational Safty Manegement(ISM)
     Code by Administration
 資料4 運輸省告示第274号(平成12年7月27日)「船舶安全管理認定書等交付規則」
     最終改正 国土交通省告示第458号(平成18年3月31日)
 資料5 海査第318号(平成12年7月27日付)「船舶安全管理認定書等交付規則及び同運用通達の制定について」
 資料6 海検第23号(平成12年7月31日付)「船舶安全管理認定書等交付規則の審査に係る不適合等の種類及び
     その取扱いについて」
 資料7 運輸省令第50号(平成9年8月1日付)「船舶安全法施行規則の一部を改正する省令」
 資料8 海査第756号(平成9年12月26日付)「国際安全管理規則の国内法制化に伴う安全管理手引書の検査等
     について」
 資料9 海検第4号(平成10年1月13日付)「安全管理手引書の検査に係る不適合の種類及びその取扱いについて」
 資料10 運輸安全一括法に規定する安全管理規程に係るガイドラインの手引

(海事図書)


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