海事・交通・水産・気象図書出版の成山堂書店

わが国の鉄道営業史を表している日本の時刻表の今昔を、時代背景の移りかわりと共に興味深く語った本。

【まえがきより】
　わが国における月刊時刻表の刊行の歴史は100余年を有するわけだが、「時刻表」は各時代の鉄道の時刻のんみではなく、その時代の社会情勢や経済状態を示す貴重な史料の一つである。すなわち「時刻表」は「旅行用品」のカタログとして、明治・大正・昭和・平成４代の歴史の一断面を今日まで伝えている一次史料としての価値を有しているように思う。たとえば各年代の上野−札幌間の所要時間、東京−大阪間の運賃、箱根の旅館の宿泊料金などなど、バックナンバーはこれら旅のデータを的確に答えてくれる。
　筆者が時刻表に興味を持ったのは今から40年以上前のことである。今回、月刊時刻表100年の歴史をまとめ、交通ブックスの1冊として『時刻表百年のあゆみ』を上梓できたことを光栄に思っている。この『時刻表百年のあゆみ』では筆者が長年収集してきた時刻表をもとに、日本の鉄道とともに歩んできた鉄道時刻表の歴史を時代を追って述べることにする。私は時刻表を単にコレクションするのみに止めず、日本の近・現代の社会・経済の盛衰とともに歩んだ鉄道が記録された一つの史料として活用することだと思っている。
　なお、本文中の時刻表名等は基本的には旧字体を使用しないこととした。当時の表記については写真・史料をごらんいただきたい。
　本書の内容は1995年12月までのデータを収録している 。

【目次】
第1章　明治時代
　1　鉄道創業時代
　2　官報掲載の時刻表
　3　東海道線全通時期の時刻表
　4　月刊時刻表の創刊
　5　鉄道作業局・鉄道院発行の時刻表

第2章　大正時代
　1　「三本松の時刻表」
　2　ポケット時刻表の創刊
　3　『汽車時間表』の創刊

第3章　昭和時代（戦前）
　1　その後の『汽車時間表』
　2　民間時刻表のその後
　3　地方版の時刻表および旧外地の時刻表
　4　戦時体制下の時刻表

第4章　昭和の時代（戦後）
　1　終戦直後の時刻表
　2　戦後創刊の月間時刻表
　3　弘済出版社の創立
　4　高度経済成長時代の時刻表
　5　月刊時刻表の大型化
　6　時刻表復刻版がベストセラーに

第5章　平成時代
1　JR時代の時刻表
2　地域版の時刻表
3　JR発行の時刻表
4　私鉄の時刻表
5　新企画の時刻表