体系海商法 【2訂版】


978-4-425-20025-2
著者名:村田冶美 著
ISBN:978-4-425-20025-2
発行年月日:2007/12/18
サイズ/頁数:A5判 336頁
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価格¥3,740円(税込)
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本書は、著者が甲南大学や神戸商船大学などで、長年続けてきた海商法の講義の内容を体系的にまとめたものです。海商法は広範囲の法令に及ぶため、その解説書は理解困難な学説・判例や、法理論を収めた書物が多く、もっとわかりやすい解説書はないか、という声をよく聞きます。
本書はもっぱら、内容理解の容易化に努め、船舶、船長の職務権限、船主等の法的地位、海上物品運送、海難処理などについて、通説・判例や基本事項を一通り概説しています。また、船舶の停泊、船積・陸揚に関する諸問題についても配慮しています。
主な特長としては、海商法の体系に関する著者なりの見解をもとに、論述・解説を試みている点にあります。すなわち、海商法は航海商法(商法第三編海商、国際海上物品運送法、船主責任制限法など)と、非航海商法(漁労活動、海底電線布設・海洋浚渫活動などに関する固有な法)に大別されるとの見地に立ちつつ、本書は主に航海商法全般について解説していることです。
今回の改訂では、小型船舶の登録に関する法律、船舶職員及び小型船舶操縦者法など、最近約10年の関係諸法令の改正を取り入れ、新たに解説を加えています。
難解といわれる海商法全般を体系的に、かつ具体的に簡潔化した内容は、海運・保険関係の実務者に、また学生のテキストとして最適です。

【はしがき】より  本書は、昭和59年発行の『海商法テキスト』に大幅な加筆と、かなりの訂正を加えたものである。この意味で、本書は『海商法テキスト』改訂版の実質をもつが、書名は『体系海商法』とすることにした。
 書名に体系という形容詞をつけたのは、海商法の体系に関する私なりの見解を、本書の第一章第一節『海法および海商法の両概念』で主張し、その他の章節でも、そうした見解のもとに論述・解説を試みるという姿勢を貫いているからである。
 海商法を講義する場合、講義すべき分量が多い割には与えられる時間数が少ないため、月に一度とか、夏休み等に大小の宿題を出して受講生諸君に自学自習をして貰うことが多くなるが、そうした自学自習を期待するには、そのための資料・手引きを提供する責任が当方にあり、いつの頃からか私は講義用のテキストをこのような意味でも利用するようになり今日に至っている。
 海商法の解説書というと、理解困難な学説・判例や法理論を収めた書物が多いが、もっと分かりやすい解説書はないか、という声を聞くことがある。本書は、右に触れたように自学自習用の手引きでもあること等にかんがみ、水準を下げずに解説し、しかも容易に理解のゆく内容のものとすることに私なりに腐心した。ただ、理解しやすくすることと、仮名を多用した口語調を用いることとは違うとする観点から、専ら内容理解の容易化に努めた。さらに、具体例を多くすれば、理解の迅速化・容易化には役立つかもしれないが、冗長に陥りかねないので、具体例は適当にしぼり内容を簡潔にすることにも留意した。
 右に述べた、海商法の体系に関する私なりの見解というのは、要するに、海商法には、?航海法である海商法すなわちいわば航海商法と、?そうでない海商法すなわちいわば非航海海商法(例えば漁海商法)との別があるとする構想である。こうした私見によると、例えば海上漁業(企業)が供用する漁船は、その行う航海活動については航海商法(例えば海商編・船主責任制限法など)の適用を受けるが、その行う海上漁労活動については航海商法ではなく漁海商法の適用を受ける、と解される。
 私にとって嬉しいことは、現場の方々から質問や教示をいただくことである。中には商船大学の卒業以来一回の音信もしていないのに突然質問をするのは恐縮だが等と断りを述べて質問を下さった向きもあるが、そんな遠慮は無縁に願います。講義をしたからには、また本書のような解説書で講釈をするからには、言いっ放しは無責任のそしりを免れますまい。どうぞ遠慮なく電話なり手紙なりで質問をよこしてください。お願いできれば、さらに実務について何かと教示いただければ有り難いのですが・・・。
 本書の、企画・発行については、(株)成山堂書店の小川實社長その他の方々のご高配をいただいた。この機会に厚くお礼を申し上げます。

平成2年4月
村田治美

【目次】
第一章 序論
 第一節 海法および海商法の両概念
  第一款 海法と交通法
  第二款 海商法の意義
  第三款 航海商法および非航海海商法
 第二節 海商法の沿革
 第三節 現行の海商法

第二章 海商法の対象  第一節 序
 第二節 船舶の概念

第三章 企業航海活動の組織  第一節 船舶
  第一款 船舶の法的性質
  第二款 船舶の種類
  第三款 船舶の所有権に関する特則
  第四款 船舶抵当権
  第五款 船舶の登記
  第六款 船舶の差押・仮差押
 第二節 企業航海活動の主体
  第一款 総説
  第二款 自船運航者
  第三款 他船運航者
   第一項 船舶賃借人
   第二項 その他の他船運航者
 第三節 企業航海活動の補助者
  第一款 船員の概念
  第二款 船長
   第一項 船長の選任・解任
   第二項 船長の私法上の地位
    第一目 船長の私法上
    第二目 積荷利害関係人のための船長の職種
    第三目 船主のための船長の職権
  第三款 水先人
 第四節 責任制限制度
  第一款 総説
  第二款 責任制限権者
  第三款 制限債権
  第四款 責任の制限
  第五款 責任制限手続の概要

第四章 海上運送  第一節 総説
 第二節 海上物品運送
  第一款 総説
  第二款 海上物品運送に関する法律関係
   第一項 船舶に関する法律関係
   第二項 運送品の船積・受取および積付に関する法律関係
   第三項 航海に関する法律関係
   第四項 運送品の陸揚および引渡に関する法律関係
   第五項 運賃その他の費用の支払
   第六項 運送人の損害賠償責任
  第三款 海上物品運送契約の終了
 第三節 海上旅客運送
  第一款 総説
  第二款 海上旅客運送に関する法律関係
  第三款 運賃の支払
  第四款 運送人の損害賠償責任
  第五款 海上旅客運送契約の終了

第五章 共同海損  第一節 総説
 第二節 共同海損の要件
 第三節 共同海損の精算
  第一款 総説
  第二款 共同海損額の算定
  第三款 共同海損分担金の算定
  第四款 同一航海における数回の共同海損
 第四節 共同海損分担関係の決済
 第五節 準共同海損

第六章 船舶の衝突  第一節 総説
 第二節 船舶衝突の要件
 第三節 衝突責任
 第四節 準衝突

第七章 海難救助  第一節 総説
 第二節 救助料請求権の成立要件
 第三節 救助料
 第四節 救助料請求権

第八章 船舶先取特権
(海事図書)


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カテゴリー:法令 
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