著者名: | 辻 稔・航海学研究会 共著 |
ISBN: | 978-4-425-42016-2 |
発行年月日: | 2018/8/28 |
サイズ/頁数: | A5判 280頁 |
在庫状況: | 在庫有り |
価格 | ¥4,400円(税込) |
水路図誌、航程線航法、大圏航法、潮汐潮流などの地文航法とGPS、レーダなどの電波航法を解説。計算器を使った例題付。海技士(航海)1〜3級向。
【はしがき】より
航海学の専門図書としては多数の名著が出版されていますが、学生の能力に応じた適当な教材または参考書の発刊を望む声も少なくありません。
このような要望にこたえて本書が発刊されて以来20数年の年月が過ぎました。
この間、航海学の分野においても科学技術の進歩に伴い、各種電波計器の自動化、船位表示のデジタル化、自動衝突予防装置の開発、NNSS、GPSの普及等目覚ましいものがあります。
このような状況下で、今回四訂版を発刊するに当たり、特に意を用いたのは次の諸点であります。
1.新しい時代に対処するため、最新の資料に基づいて内容の一部訂正を行った。電波航海計器の細部については型式により若干の差異があり学術的体系としても航海計器の分野にわたる事項が多いので原則的なもののみにとどめた。
2.表現については、学生自身の学力によっても十分理解し得るよう努めて平易な解説を行い、かつ、所要の水準は確保した。
3.練習問題は基礎的なもののみにとどめ、巻末に各章に関連のある1〜3級海技士およびW/O(航海)(平成元年.2〜平成7年.2)の国家試験問題の抜すいを掲載した。
4.航海算法は主として電卓を使用したが、基礎的な理解を深めるため、一部の問題についてはトラバース表または対数計算を使用した。
本書は以上のような主旨により系統的な取りまとめを行ったもので、大学、高専の学生にとって適切な教材となるのみでなく、海技従事者国家試験受験者にとっても絶好の参考書となることと確信します。
本書が航海学を習得しようとする方たちの良き伴りょとなり、海運・水産界の発展に幾分なりとも寄与することができれば著者の望外の幸せと存じます。
最後に、初版発刊に当たり種々御助言を賜った東京商船大学豊田青治名誉教授、数々の資料を参照させて頂いた先輩諸兄および海上保安庁当局並びに四訂版発刊について種々ご尽力頂いた(株)成山堂書店社長小川實氏のご厚意に対し深甚の謝意を表します。
平成8年2月
著者
【六訂版発行にあたって】
かつて航海学の計算は対数計算や数表を用いた計算が主流でしたが,現在は簡便な関数電卓を用いた計算が中心となっています。今回の改訂では,大圏航法や集成大圏航法で使用する球面三角形の計算部分については全て電卓の計算に置き換えました。対数計算については付録にまとめてありますので,興味のある方は参考にして下さい。また,航路標識の部分や電波航法,巻末の海技試験問題等についても一部修正を行いました。著者の力量不足や時間的な制約か
ら十分な改訂ができたとは言えませんが,読者諸氏のご叱正,ご指導を賜りながら内容の充実を図っていくつもりです。
2018年7月
航海学研究会
【目次】
第1章 用語の解説
第1節 航海学
1 航海用語、航路標識および水路図誌
2 航法
3 船位の決定法
4 船位の誤差
5 付随算法
6 最適航路の選定について
第2節 船位、航程等に関する用語
1 地球の形状および大きさ
2 地極および地軸
3 大圏および小圏
4 緯度および経度
5 船位
6 航程の線および航程
7 海里
8 東西距
第3節 針路および方位に関する用語
1 磁気子午線
2 偏差
3 自差
4 コンパス違差
5 風圧差および流圧差
6 針路
7 方位
8 針路および方位の読み方
第4節 針路および方位の改正
1 コンパス針路を真針路に改める法
2 真針路をコンパス針路に改める法
問題
第2章 航路標識
第1節 灯光、形象、彩色によるもの
1 種類
2 灯質
3 光達距離
4 明弧・分弧
5 浮標式
6 水源
7 注意事項
第2節 音響によるもの
1 霧信号所
2 注意事項
第3節 特殊なもの
1 潮流信号所
2 船舶通航信号所
3 注意事項
第4節 電波によるもの
1 種類
第5節 その他
1 付属装置
2 飛行場灯台
3 航空無線標識局
4 船舶気象通報
第3章 水路図誌
第1節 海図(Chart;Natutical charts)
1 使用上の分類
2 図法上の分類
第2節 海図図式
第3節 海図の取扱いおよび精度
1 海図の選択
2 海図の格納
3 海図の取扱い
4 海図の精度
第4節 その他の水路図および水路書誌
1 その他の水路図
2 水路書誌
第5節 水路通報および水路図誌の改補
1 水路通報
2 管区水路通報
3 航行警報
4 水路図誌の改補
第6節 航海上重要な事項等の報告
1 水路報告
2 航海報告
第4章 航程の線航法
第1節 平面算法
1 平面算法
2 卓上計算器またはトラバース表による算法
問題
第2節 中分緯度航法
1 距等圏航法
問題
2 中分緯度航法
問題
3 真中分緯度航法
4 連針路算法
問題
5 日誌算法
第3節 漸長緯度航法
問題
第4節 流潮算法
1 推測位置と実測位置との差により、流向、流程、流速を求める法
2 流潮を加味した対地針路、速力または推定船位を求める法
3 流潮を予測し、予定地に直航するためにとるべき針路、速力を求める法
4 例題
問題
第5章 大圏航法
第1節 用語の説明
第2節 卓上計算器による解法
1 大圏距離を求める法
2 出発針路、到着針路を求める法
3 針路の符号のつけ方
4 頂点を求める法
5 変針点を求める法
第3節 天測計算表および大圏図による解法
1 天測計算表を併用し、対数計算または卓上計算器により求める法
2 大圏図および天測計算表を使用して求める法
3 大圏図の使用について
4 大圏図の特殊な使用法について
第4節 集成大圏航法
1 概説
2 対数計算または卓上計算器による集成大圏航法の解法
3 大圏図による集成大圏航法の解法
第6章 位置の線
第1節 位置の線の種類
1 方位による位置の線
2 重視線による位置の線
3 水平夾角による位置の線
4 水平距離による位置の線
5 水深による位置の線
6 無線方位による位置の線
7 ロランCによる位置の線
8 天体観測による位置の線
9 転位線
第2節 位置の線の利用
1 船位の決定
2 避険線としての利用
3 針路線としての利用
4 コンパスの自差、器差の測定
第7章 陸測位置の線による船位の決定
第1節 同時観測による船位決定法
1 交差方位法(Fix by cross bearing)
2 一標の方位と他標との水平夾角による法(Fix by bearing and angle)
3 三標両角法(Fix by horizontal sextant angles)
4 重視線と、他標との水平夾角または他標の方位線による法
(Fix by transit and horizontal angles or transit and bearing)
5 二本の重視線による法(Fix by transit lines)
6 一標の方位と水平距離による法(Fix by bearing and distance)
7 二標の水平距離による法(Fix by distance)
8 測深と他の一の線による法
第2節 隔時観測による船位決定法
1 ランニング・フイックス(Running fix)による船位決定法
2 ランニング・フイックスの特殊な利用法
第8章 誤差概説ならびに陸測、推測および推定船位の誤差
第1節 誤差概説
1 定誤差(系統的誤差;Constant error or System error)
2 偶然誤差(Random error or Accidental error)
3 錯誤(Mistake or Blunder)
第2節 交差方位法における船位の誤差
1 二本の方位線に定誤差があるときの船位の誤差
2 二本の方位線に偶然誤差があるときの船位の誤差
3 三本の方位線に定誤差があるときの船位の誤差
4 三本の方位線に偶然誤差があるときの船位の誤差
5 観測時間差による方位線の微少転位を行わないために生じる船位の誤差
第3節 その他の陸測船位に含まれる船位の誤差
1 仰角距離法において、眼高および物標の位置により生じる船位の誤差
2 三標両角法における測角誤差による船位の誤差
3 隔時観測において、流潮の影響により生じる船位の誤差
第4節 推測船位、推定船位および推定船位の誤差
1 推測船位
2 推定船位
3 推定船位の誤差
第9章 潮汐および潮流
第1節 潮汐、潮流の概要
1 潮汐および潮流
2 高潮、低潮および上げ潮、下げ潮
3 潮差および大潮、小潮
4 潮令
5 月潮間隔
6 潮良
7 同時潮図
8 潮流
9 各地の潮流
10 潮汐に関係のあるいろいろな現象
第2節 起潮力(潮汐力)、潮汐論および潮汐の調和分解
1 起潮力(潮汐力)
2 静力学的潮汐論
3 動力学的潮汐論
4 潮汐の調和分解
第3節 潮時、潮高および潮流の潮時、流速を求める法
1 潮時、潮高を求める法
2 潮流の転流時、最強時および最強流速を求める法
3 平均水面、水深の基準面、海陸境界面および潮升
4 例題
第10章 電波航法
第1節 電波を利用した航法装置
1 電波の航法利用について
2 ロランC(Loran-C)方式
3 ロランC の特徴
4 双曲線航法
5 船位測定の原理
6 ロランC の局配置
7 ロランCの送信方式と故障信号
8 ロランC 電波の伝播経路と受信波形
9 位置測定の表示
10 ロランC の精度
第2節 衛星航法システム
第3節 GPS(Global Positioning System)
1 概 説
2 GPS の測位原理
3 GPS のシステム構成
4 GPS の測位誤差
5 受信装置(GPS 航法装置)
6 DGPS(Differential GPS)
第4節 レーダ
1 レーダの原理および特性
2 舶用レーダの性能
3 レーダによる方位および距離の測定
4 レーダによる船位の決定,避険線の設定,レーダ見張りおよび
5 レーダプロッティング
問題
6 その他のレーダ
7 自動衝突予防援助装置(Automatic radar plotting aids ; ARPA)
第11章 電波利用による船舶の識別
第1節 AIS(船舶自動識別装置)
1 AIS の概要
2 AIS の種類
3 AIS のシステム構成
4 AIS からの送信情報
5 AIS の通信方式
6 AIS の搭載義務について
7 AIS の利用について
8 航海者が知っておくべきAIS の問題点
付録 海技従事者国家試験問題抜すい(? N 〜 ? N)
(海事図書)
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