著者名: | 中井 昇 著 |
ISBN: | 978-4-425-61333-5 |
発行年月日: | 2010/4/5 |
サイズ/頁数: | A5判 230頁 |
在庫状況: | 在庫有り |
価格 | ¥3,850円(税込) |
電動機を含めた各種原動機による推進システムの運転について、基礎理論から障害(事故など)発生の原理までを平易に解説。機関士、学生向。
【はしがき】より
本書は船舶の機関管理者のみならず舶用推進動力しすてむの運転管理の基礎を勉強したい人が、理解の糸口をつかむことを目的として著した。筆者は商船および練習船のエンジニアとして勤務した経験から、機関システムに関する基礎的な事象を早い時期に把握しておくことが大切であることを痛感している。
楽しく機関システムの管理を勉強するため、高等学校卒業または大学1年生程度の理化学の知識をもって理論的な解析が理解できるよう配慮し、やや難しい理論式の誘導はできるかぎり注で詳細に行った。発生する現象についても、1〜3シリンダの簡単なものに絞り、多段のものは単段として簡単に取り扱い、独力で理解できることを念頭においた。
工学の基本を総合的に説明したのち、舶用主機関の性能、プロペラの負荷変動とそれに対する各種原動機の特性および運転保守・管理について解説し、さらに熱機関の排気が環境におよぼす影響と対策についても触れた。
貴重な著書や論文、あるいはメーカの取扱説明書から参考にさせて頂いた箇所も多く。脚注や巻末に主な文献を挙げさせていただいた。引用についての許可願いに対して快く承諾し、また、ご教示をいただいた著者および諸会社の方々に対してお礼を申し上げます。
本書出版にあたり、貴重な示唆および協力をいただいた株式会社成山堂書店小川實社長に謝意を表します。
平成7年1月
著者
●2訂版発行にあたって
初版発行以来15年、改訂以来9年を経過した。その後も各種機関の構造やエネルギー変換に大きな変化はなく、本書の内容を大きく改訂するところまでには至っていない。しかし、環境保全については、船舶に対しても厳しい制限が設けられ、一部港内で停泊中に原動機を停止し、陸上からの電力供給が強制され、燃料油は、燃焼過程で発生する有害物質の低減はもとより、硫黄分などを搭載時点で抑制するように規制されるまでになっている。
2訂版では、巻末「補遺」に、燃料油についての硫黄分規制、Dual Fuel機関に対する問題点や電気理論を捕捉する事項を加筆している。また、本文ではコモンレール式機関の燃料油系統について触れるなど、加筆しておけば分かりやすくなる部分の捕捉説明を行った。本書は、機関の概要を学ぶ学生には教科書として、船舶機関士として活躍している方達には知識の確認をする意味で、目を通していただけるものと確信している。
平成22年3月
著者
【目次】
第1章 機関システムの意味
第2章 トルクとねじり
2.1 往復動機関のトルク
2.2 慣性による1次不釣合モーメント
2.3 固定軸まわりの剛体の運動
2.4 エネルギー、仕事および動力
2.5 弾性体の力学
2.5.1 物体のひずみ
2.5.2 棒の曲げモーメントとたわみ
2.5.3 ねじりとねじり振動
2.5.4 特殊な応力
第3章 流体の移動
3.1 流れの連続性
3.2 オリフィスと口金
3.3 管の圧力損失
3.4 乱流の管摩擦
3.5 圧力損失と水頭の計算
3.5.1 油圧配管の圧力損失
3.5.2 ポンプの揚程
3.6 ジャーナル軸受の圧力分布
3.7 軸受の所要動力
3.8 転がり軸受
第4章 動力用電気
4.1 電磁力と誘導起電力
4.2 交流電力
4.2.1 直列回路
4.2.2 並列回路
4.3 三相交流電力
4.3.1 星形結線(Y結線)
4.3.2 三角結線(デルタ結線)
4.3.3 三相電力
4.4 誘導電動機
4.4.1 誘導電動機の原理
4.4.2 すべり
4.5 同期電動機
4.6 電動機の始動トルクと始動時間
第5章 熱力学の基礎
5.1 熱
5.2 エンタルピと完全ガス
5.3 仕事と比熱
5.4 状態変化
5.5 エントロピ
5.6 カルノーサイクル
5.7 容積型機関の理論熱効率
5.8 速度型機関のサイクル
5.8.1 ガスまたは蒸気の流動
5.8.2 ガスタービンサイクルの理論熱効率
5.8.3 蒸気タービンサイクルの理論熱効率
第6章 熱の移動と燃焼
6.1 熱の移動
6.1.1 伝導
6.1.2 熱伝達
6.1.3 放射(輻射)
6.2 燃焼
6.2.1 必要空気量と温度
6.2.2 燃焼の形態
6.2.3 ガソリンノックとディーゼルノック
第7章 燃料油と潤滑油の取扱い
7.1 燃料油
7.1.1 製法と用途
7.1.2 燃料油の性状
7.1.3 燃焼性保持上の管理
7.1.4 消費量の計算
7.2 潤滑油
7.2.1 潤滑の基礎
7.2.2 潤滑油の作用
7.2.3 潤滑油の種類と性状
7.2.4 潤滑油の管理
7.2.5 添加剤
第8章 熱機関の出力と負荷
8.1 ディーゼル機関
8.1.1 ディーゼル機関の出力
8.1.2 機械効率
8.1.3 燃料消費率
8.1.4 熱勘定
8.2 ガスタービン
8.2.1 図示熱効率
8.2.2 比出力
8.3 蒸気タービン
8.3.1 線図効率と内部効率
8.3.2 正味熱効率
8.3.3 出力調整法
8.4 機関の出力特性(運転特性)
8.4.1 容積型機関
8.4.2 速度型機関
8.5 プロペラと船体の関係
8.5.1 プロペラの出力特性
8.5.2 推進力と船体抵抗
8.6 原動機と負荷の結合(重ね合わせ)
8.6.1 容積型機関とプロペラ
8.6.2 速度型機関とプロペラ
8.6.3 オールスピードガバナ付ディーゼル機関とプロペラ
8.6.4 交流電気推進装置の緊急後進特性
第9章 機関プラントの運転保守
9.1 ディーゼルプラント
9.1.1 始動シーケンス
9.1.2 管系統
9.1.3 ディーゼル機関の性能
9.1.4 運転性能の管理
9.2 蒸気タービンプラント
9.2.1 蒸気タービンサイクルと管系統
9.2.2 ボイラ水の処理
9.3 ガスタービンプラント
9.3.1 航空転用型ガスタービン
9.3.2 複合システム
9.3.3 陸上施設のコ・ジェネレーションシステム
第10章 排気ガスと環境保全
10.1 石油燃焼機関の排気
10.2 排気エミッションの低減
10.2.1 硫黄酸化物(SOx)
10.2.2 窒素酸化物(NOx)
(海事図書)
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