初等ディーゼル機関 【改訂増補版】


978-4-425-62033-3
著者名:黒沢 誠 著
ISBN:978-4-425-62033-3
発行年月日:2008/6/18
サイズ/頁数:A5判 282頁
在庫状況:在庫有り
価格¥3,740円(税込)
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船用ディーゼル機関の理論、構造、作動、及び事故例について、挿絵と写真によって詳述。商船校、水産校等の教科書、3〜5級(機関)向。

【まえがき】より 発明以来60有余年、現今20世紀の我々文化生活の中に、ディーゼル機関はなくてはならない存在であります。陸に海に、その進歩と利用度は正にすさまじいものがありますが、しかしその中にあって舶用ディーゼル機関の取扱者、特に漁船機関士の方々には、漁撈上の分野までも負う多忙の中にある関係で、なかなかに、その原理や構造上まで理解する暇もなく、唯機関を運転するだけの不安な気持ちを有しておられる方もある事を考え、ここに基礎となる理論と実際を全く平易に解説して、機関取扱者の為に少しでも御役に立つところがあればと考えた次第です。
したがって、本書はディーゼル機関を研究しようとする初歩の方、海技国家試験を受験されようとする方の良き伴侶となり、また高等学校の教科用参考書として適するように、出来るだけ多くの図面と写真を挿入し、しかも図面海に説明を加えてありますので、本文を読まなくとも、おおよその構造と作動については理解がいただけることと存じます。
なお、各項目毎に起こり易い故障とその対策について述べましたが、この点について普段からの注意を怠る事がなければ、故障の未然防止にも十分役立つことが考えられ、また、一旦故障となっても、その程度を最小限に止どめ、しかも速やかな修理が出来るものと信ずる次第です。
本書は昭和38年に刊行されたが、その後の舶用ディーゼル機関は更に進歩をしているので、ここに出来るだけ新しい装置の構成や規格を十分に取り入れて内容を更新した次第です。
この間、著者は文部省において高等学校用教科書の編集にも参加をしたので、その知識を生かして本書についても正しい機関用語を全面的に採用し、書き改めました。
本書により、舶用ディーゼル機関の本質を解し、研究されようとする方が多少でも得る処があれば望外の幸です。
SI単位表の添付について
今後の機械工学では、従来の工学単位が改められて全面的にSI単位(国際単位)に統一されることになった。その移行に対応出来るように前の見返しにその新旧単位の比較表を掲載したので、単位換算の時など大いに活用してSI化に慣れるように心がけて戴きたい。

平成9年1月
著者

【目次】
第一章 ディーゼル機関の概要
 1・1 ディーゼルの物語
 1・2 ディーゼル機関の原理
 1・3 4サイクル機関と2サイクル機関
 1・4 4サイクル機関と2サイクル機関との比較
 1・5 ディーゼル機関の分類
 1・6 ディーゼル機関の利点と欠点

第二章 ディーゼル機関における燃料の燃焼  2・1 燃焼に必要な空気量
 2・2 ディーゼル機関における燃焼の順序
 2・3 ディーゼル機関のノッキング
 2・4 ディーゼル機関の発火性

第三章 インジケータとインジケータ線図  3・1 インジケータの役目
 3・2 インジケータの構造
 3・3 インジケータ線図を採る装置
 3・4 インジケータ線図の種類とそれを採る方法
 3・5 線図によるシリンダ内の状態の検討
 3・6 線図に記入する事項

第四章 ディーゼル機関の性能  4・1 仕事と馬力の関係
 4・2 平均有効圧力
 4・3 図示出力
 4・4 軸出力
 4・5 機械効率
 4・6 熱効率
 4・7 燃料消費量
 4・8 性能曲締

第五章 ディーゼル機関の弁線図  5・1 弁線図
 5・2 4サイクル・ディーゼル機関の弁線図
 5・3 2サイクル・ディーゼル機関の弁線図
 5・4 ディーゼル機関の弁調整方法

第六章 各種ディーゼル機関の作動概要と各部の名称  6・1 4サイクル無空気噴射式ディーゼル機関
 6・2 4サイクル空気噴射式ディーゼル機関
 6・3 無気噴射式と空気噴射式との比較
 6・4 2サイクル無気噴射式ディーゼル機関
 6・5 予燃室式ディーゼル機関
 6・6 過給機付4サイクル・ディーゼル機関
 6・7 排気慣性方式4サイクル・ディーゼル機関
 6・8 高速ディーゼル機関
 6・9 大型2サイクル無気噴射式ディーゼル機関
 6・10 クロス・ヘッド型複動2サイクル大型ディーゼル機関

第七章 ディーゼル機関の主要固定部  7・1 シリンダ
 7・2 シリンダ・カバー
 7・3 燃焼室
 7・4 フレーム
 7・5 台板及び主軸受

第八章 ディーゼル機関の主要動作部  8・1 ピストン
 8・2 ピストン・リング
 8・3 油かきリング
 8・4 ピストン・ピン
 8・5 連接棒及びその上下軸受
 8・6 ピストン棒
 8・7 クロス・ヘッド,滑り金及び滑り座
 8・8 クランク軸
 8・9 フライ・ホイール

第九章 ディーゼル機関の燃料油装置及び調速機  9・1 燃料ポンプ
 9・2 燃料噴射弁
 9・3 調速機
 9・4 燃料ポンプと調速機との関係
 9・5 燃料油ろ過器

第十章 ディーゼル機関の吸排気弁及び始動弁  10・1 吸気弁及び排気弁
 10・2 始動弁
 10・3 始動空気補給弁

第十一章 ディーゼル機関の弁を動かす装置  11・1 弁腕及びローラ
 11・2 カム及びカム軸

第十二章 ディーゼル機関の潤滑油装置  12・1 潤滑油の作用と,その循環経路
 12・2 潤滑装置

第十三章 ディーゼル機関の冷却装置  13・1 冷却装置の効用とその水管経路
 13・2 冷却水の種類とその温度
 13・3 ピストンの冷却
 13・4 冷却装置
 13・5 淦水装置

第十四章 ディーゼル機関の掃気装置  14・1 シリンダ内の掃気作用
 14・2 2サイクル・ディーゼル機関の掃気方法と掃気ポンプ

第十五章 ディーゼル機関の過給気法  15・1 過給機の役目と種類
 15・2 排気タービン過給機の構造と作動
 15・3 過給機を装置したときの利点
 15・4 過給機を装置する場合の機関の改造
 15・5 過給機を運転中の注意
 15・6 過給機の故障

第十六章 ディーゼル機関の逆転装置  16・1 逆転装置の種類
 16・2 間接逆転装置
 16・3 直接逆転装置

第十七章 ディーゼル機関の推進装置  17・1 推力軸及び推力軸受
 17・2 プロペラ軸及び船尾管
 17・3 プロペラ

第十八章 圧縮空気装置  18・1 空気圧縮機
 18・2 始動空気だめ

第十九章 燃料及び潤滑油  19・1 燃料及び潤滑油に関する用語の説明
 19・2 ディーゼル機関の燃料
 19・3 ディーゼル機関の潤滑油

第二十章 ディーゼル機関の運転,取扱い法  20・1 ディーゼル機関の運転要領と注意
 20・2 過給機の運転要領と注意
 20・3 ディーゼル機関の整備要領
 20・4 ディーゼル機関の運転中の故障とその対策


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カテゴリー:船舶(航海・機関・運用) 
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