蒸気タービン要論


978-4-425-68014-6
著者名:角田哲也・斉藤 朗 共著
ISBN:978-4-425-68014-6
発行年月日:2005/3/8
サイズ/頁数:A5判 240頁
在庫状況:在庫有り
価格¥3,960円(税込)
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蒸気タービンは,船舶ではLNG船の主機関や、ディーゼル船におけるターボ発電システムに利用され、陸上では発電所や大工場の電力供給源として採用されています。海上・陸上問わず蒸気タービンには一定の需要があり、これを学ぶための関連書籍も多くありますが、内容が高度であったり、古いなどして、新たに蒸気タービンを学ぶ人に適当なテキストは意外と多くありません。
本書は、蒸気タービンの基礎的かつ重要事項を重点的に取り上げ、初学者でも自学自習できるよう豊富な図を用いてわかりやすく解説しています。蒸気タービンの概要から理論・作動原理・取り扱いに至るまで、エンジニアにとって必要となる知識を一通り網羅しています。また、受験対策として、最新の海技試験問題を約180問抽出し、巻末に収録しています。本書で扱っているタービン機関の構造・原理は海上・陸上問わず普遍的な内容であり、陸上用のテキストとしても使える構成となっています。
海事教育機関・工業系各種教育機関の教科書,新入社員研修用テキスト、海技試験の受験図書として最適であるのはもちろん、タービンの設計や運転に携わる実務者にとっても基本図書として備えておきたい一冊です。

【まえがき】より  蒸気タービンは、船舶ではLNG船の主機関やディーゼル船におけるターボ発電システムに利用されている。一方、陸上産業では大型発電所や大工場の発電供給源として採用されている。これらのことから、蒸気タービンの運転や設計に関わるエンジニアにとって蒸気タービンの理論、作動原理、運転取り扱いなどの知識は、海陸を問わず必須である。
 蒸気タービンに関する書籍は多数あるが、とりわけ西野先生(当時、大島商船高等専門学校教授)が執筆された「舶用蒸気タービンの基礎」は、出版された当時学生であった著者らに多大な影響を与えた。その本の特徴は初学者用に平易に記述されていることと、先生独自の説明がなされていることである。このたび、著者らは成山堂書店の好意により西野先生の本を元に蒸気タービンの本を出版する機会を得た。その加筆・修正点は次の通りである。
1.時代の流れに伴い、単位系をSI(国体単位系)に変更した。
2.専門的に高度な内容を削除し、より初学者向きのテキストにした。
3.巻末の演習問題は近年出題された海技試験問題を採択した。
 なお、本書で記述されているタービン機関の構造、原理は基本的に海上、陸上問わず、普遍的な内容である。
 最後に、出版にご理解とご指導をいただいた株式会社成山堂書店の小川實社長に感謝します。

平成17年2月
著者

【目次】
第1編 蒸気タービンの基礎理論
第1章 序説  1.1 蒸気タービンの定義
 1.2 蒸気タービンの基礎理論の範囲
 1.3 蒸気タービンの沿革

第2章 蒸気タービンの概要と分類  2.1 蒸気タービンの主要構成部分
 2.2 蒸気タービンの分類
  2.2.1 蒸気の作用による分類
  2.2.2 タービン車室の数および軸の配置による分類
  2.2.3 タービン軸の数による分類
  2.2.4 蒸気の流れの方向による分類
  2.2.5 蒸気の使用法による分類

 2.3 蒸気タービンの基本形式
  2.3.1 段(段落)
  2.3.2 衝動タービン
  2.3.3 反動タービン
  2.3.4 混式タービン
  2.3.5 衝動タービンと反動タービンとの比較

第3章 蒸気タービンの熱サイクル  3.1 ランキン サイクル
  3.1.1 ランキン サイクルの意義
  3.1.2 ランキン サイクルの熱効率
  3.1.3 ランキン サイクルの熱効率を向上させる方法とその影響
 3.2 再生サイクル
  3.2.1 再生サイクルの意義とその特徴
  3.2.2 再生サイクルの熱効率
 3.3 再熱サイクル
  3.3.1 再燃サイクルの意義とその特徴
  3.3.2 再燃サイクルの熱効率
 3.4 再熱再生サイクル

第4章 ノズルおよび羽根と蒸気の流動  4.1 ノズル内の蒸気の流動
  4.1.1 ノズル内の蒸気の速度
  4.1.2 ノズルを通過する蒸気の臨界圧力および臨海速度
  4.1.3 ノズルの断面積
  4.1.4 ノズルの断面積と蒸気の圧力、比容積および速度との関係
  4.1.5 ノズルの形状の種類
  4.1.6 ノズルの過膨張(過大膨張)と不足膨張(過小膨張)
  4.1.7 ノズル内における蒸気の過飽和(または過冷)
 4.2 羽根内の蒸気の流動
  4.2.1 蒸気の速度線図(速度三角形)
  4.2.2 回転羽根に対する蒸気の仕事
  4.2.3 回転羽根の速度と段効率

第5章 蒸気タービンの諸損失  5.1 内部損失
  5.1.1 ノズル損失
  5.1.2 回転羽根損失
  5.1.3 排気残留エネルギ損失(残留排気エネルギ損失、流出損失)
  5.1.4 内部漏えい損失
  5.1.5 円板羽根車の回転損失および通風損失
 5.2 外部損失
  5.2.1 グランドの漏えい損失(外部漏えい損失)
  5.2.2 機械損失(機械的損失、回転損失、空転損失)
  5.2.3 最終段(最後段落)の排気損失
  5.2.4 伝導および放射損失

第6章 蒸気タービンの諸効率と性能  6.1 蒸気タービンの諸効率
  6.1.1 内部損失を表わす効率
  6.1.2 外部損失を表わす効率
  6.1.3 内外両損失を表わす効率
  6.1.4 プラントの全熱効率(推進機関の全熱効率)
 6.2 蒸気タービンの性能
  6.2.1 蒸気消費率
  6.2.2 熱消費率および燃料消費率(燃費)
  6.2.3 パーソンス数(パーソンス係数)

第2編 蒸気タービンおよび関連装置の構造と作用
第7章 蒸気タービン各部の構造と作用  7.1 ノズル(噴口)
  7.1.1 構造によるノズルの種類
  7.1.2 ノズルの材料
  7.1.3 ノズル弁
 7.2 羽根(翼)
  7.2.1 作用による羽根の種類
  7.2.2 回転羽根の形状と各部の名称
  7.2.3 回転羽根各部の寸法と性能との関係
  7.2.4 形状による羽根の種類
  7.2.5 羽根の固定法(植付け法)
  7.2.6 囲い輪、とじ金およびシーリング ストップ
  7.2.7 羽根に生ずる応力
  7.2.8 羽根の材料
  7.2.9 羽根の腐食、浸食とその防止法
 7.3 車室(ケーシング、シリンダ)
  7.3.1 車室の構造
  7.3.2 車室フランジと締付けボルト
  7.3.3 車室のすえ付け固定
  7.3.4 車室の材料
 7.4 ロータ(羽根車)および軸(ロータ軸、タービン軸)
  7.4.1 ロータの種類
  7.4.2 ロータの危険速度、危険回転数(限界速度)
  7.4.3 弾性軸(たわみ軸)と剛性軸
  7.4.4 ロータの材料
 7.5 仕切板(隔板、ダイアフラム)
  7.5.1 仕切板の構造
  7.5.2 仕切板の中心線支持(保持)方法
  7.5.3 車室内(仕切板など)のドレン排除装置
  7.5.4 仕切板の材料
 7.6 気密装置
  7.6.1 ラビリンス パッキン
  7.6.2 仕切板の気密装置
  7.6.3 車室の気密装置
  7.6.4 炭素パッキン(カーボン リング)
  7.6.5 封水パッキン(水封じパッキン)
  7.6.6 グランド パッキン蒸気
 7.7 スラストつり合わせ装置および方法
  7.7.1 タービンのスラスト
  7.7.2 スラストつり合わせ装置および方法
 7.8 タービン軸受
  7.8.1 軸受(ジャーナル軸受)
  7.8.2 スラスト軸受
 7.9 後進タービン
  7.9.1 後進タービンの構造
  7.9.2 後進タービンの配置
  7.9.3 後進タービンの材料
  7.9.4 後進タービンの出力の基準
 7.10 舶用蒸気タービンの1例

第8章 復水装置  8.1 復水装置の効用
 8.2 復水装置に要求される条件
 8.3 表面復水器の構造および材料
 8.4 復水器の付属装置
 8.5 復水器の性能に影響する諸要素

第9章 減速装置  9.1 減速装置を設ける理由
 9.2 歯車減速装置に必要な条件
 9.3 歯車減速装置に用いる歯車
  9.3.1 インボリュート歯車
  9.3.2 やまば歯車(ダブル ヘリカル歯車)
 9.4 減速段数、減速比および歯車効率
 9.5 減速歯車K値
 9.6 歯車の配置
  9.6.1 大小両歯車の配列による分類
  9.6.2 歯車舷側装置およびタービンなどの平面的配置による分類
 9.7 たわみ軸(可とう軸、クイル軸)
 9.8 たわみ継手
 9.9 その他の減速装置
  9.9.1 液体減速装置
  9.9.2 電気減速装置(電気推進装置)
  9.9.3 遊星歯車装置

第10章 タービンの付属装置  10.1 調速装置
  10.1.1 蒸気タービンの出力調節(加減)装置(速度制御装置)
  10.1.2 加速度調速機(加速度防止装置)
 10.2 安全装置(保護装置)

第3編 蒸気タービンおよび関連装置の運転と管理
第11章 蒸気タービンおよび関連装置の取扱いと保全  11.1 タービンおよび関連装置の取扱い
  11.1.1 暖機
  11.1.2 回転暖機および試運転
  11.1.3 航海中(運転中)の注意事項
  11.1.4 オート スピニング
  11.1.5 運転中に発生する故障
 11.2 タービンおよび関連装置の損傷
  11.2.1 車室の損傷
  11.2.2 軸(ロータ軸)の損傷
  11.2.3 タービン軸受(ジャーナル軸受、スラスト軸受)の損傷
  11.2.4 歯車減速装置の損傷

(海事図書)


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カテゴリー:船舶(航海・機関・運用) 
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