流体力学と流体抵抗の理論


978-4-425-71361-5
著者名:鈴木和夫 著
ISBN:978-4-425-71361-5
発行年月日:2006/3/18
サイズ/頁数:B5判 240頁
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水や空気という流体の流れの現象を扱う流体力学、その応用である流体抵抗。この二つを盛り込んだ、初学者も技術者も使えるテキスト。

【まえがき】より  流体力学は水や空気と言う流体の流れの現象、すなわち流体の運動を扱う学問ですが、その重要な使命の1つに、流体機械、自動車、航空機、船舶といった流体に関係する物体に加わる流体を推定し、かつそれらのデザインに応用するということがあげられると思います。本書はそのタイトルに「流体力学と流体抵抗の理論」と銘打っていますように、単に流体力学について紹介するだけではなく、一様な速度で前進している物体に加わる進行方向と逆向きの流体力もしくは一様流中の物体に加わる一様流方向の流体力(これを抵抗とか抗力と呼びます)を求める考え方についても紹介しようとするものです。といっても主に本書の後半で紹介している流体抵抗論の部分は、先人の方々による流体力学のテキストやハンドブック等に散見される流体抵抗に関係する記述を整理して示したもの、と考えていただいた方がよいかもしれません。従って、本書の内容は流体力学の初歩を学ぼうとする学部生の方々から、その応用である流体抵抗の考え方についても学びたいという大学院生や技術者の方々まで、広く読んでいただけるものと考えています。
 流体力学は本文の最初にも述べますように極めて半井の広い学問ですから、非常に多くの方々がこの学問および関連する仕事に関わっていると思います。筆者なその中の海事流体力学とか船舶流体力学と呼ばれる分野の教育研究に携わる者で、たぶんその他の分野の方々にとっては無名の輩にすぎません。若い頃にある先生から、一流の研究者は教科書なんか書かない、というようなニュアンスのことを聞いたことがあります。もう先が見えてきたから本書をまとめてみたというわけではないのですが、何年間か流体力学や流体抵抗論の講義を担当する中で、自分自身が学生時代に見えていなかったものが何かということを掴めてきたような気がします。また、流体力学に関するテキストの類は数多く刊行されていて大著・名著はあるのですが、その応用である流体抵抗を扱ったテキストにはなかなかめぐり合うことができません。流体抵抗の把握には、特に、自動車、航空機、船舶といった輸送システムの流体(空力)デザインには必要不可欠ですが、実用的な知識への橋渡しとなる入門書的な流体抵抗に関するテキストが見当たらないということです。ちょっと長くなってしまいましたが、以上のようなことが本書をまとめた動機になっています。

【目次】
第1章 流体力学の基礎

 1.1 流れの記述と未知数
 1.2 静止流体の圧力と浮力
 1.3 利用する数学の基礎
 1.4 流れを記述する方程式
  1.4.1 連続方程式
  1.4.2 完全流体の運動方程式
  1.4.3 状態方程式
 1.5 運動方程式の積分
  1.5.1 流線
  1.5.2 ベルヌーイの定理
 1.6 流れと変形
 1.7 運動量理論の基礎

第2章 次元理想流体の力学
 2.1 渦なしの流れ
  2.1.1 速度ポテンシャル
  2.1.2 一般化されたベルヌーイの定理
 2.2 非圧縮性流体の3次元渦なし流れ
 2.3 軸対称流れとストークスの流れ関数

第3章 次元理想流体の力学
 3.1 非圧縮性流体の2次元渦なし流れ
  3.1.1 流れ関数
  3.1.2 複素速度ポテンシャル
 3.2 複素速度ポテンシャルによる2次元流れ
 3.3 等角写像の応用
  3.3.1 複素関数による写像
  3.3.2 ジューコフスキー変換

第4章 渦理論および翼理論の基礎
 4.1 回転運動と渦糸
 4.2 2次元渦糸系の運動と渦列
 4.3 3次元渦糸とビオ・サバールの法則
 4.4 渦定理
 4.5 マグナス効果
 4.6 翼理論の基礎

第5章 自由表面波の力学
 5.1 トロコイド波の理論
  5.1.1 ラグランジュの運動方程式
  5.1.2 トロコイド波
 5.2 渦なし2次元水波
  5.2.1 重力波
  5.2.2 表面張力波
  5.2.3 波速と群速度
 5.3 3次元の水波
  5.3.1 コーシー・ポアソン波
  5.3.2 ケルビン波

第6章 粘性流体の力学
 6.1 粘性流体と応力
 6.2 粘性流体の運動方程式
 6.3 ポアズイユの流れ
 6.4 ストークス近似
 6.5 境界層理論
 6.6 乱流理論の基礎
  6.6.1 乱流の発生
  6.6.2 管路内の乱流

第7章 流体抵抗の基礎理論
 7.1 流体抵抗と抵抗係数
 7.2 流体抵抗の分類
  7.2.1 流体現象と流体抵抗
  7.2.2 物体構成要素と流体抵抗
 7.3 応力積分に基づく抵抗の評価
 7.4 保存則に基づく抵抗の評価
  7.4.1 運動量保存則の応用
  7.4.2 エネルギー保存則の応用
 7.5 次元解析と相似則
  7.5.1 流体抵抗の次元解析
  7.5.2 相似則

第8章 粘性抵抗
 8.1 平板の摩擦抵抗
  8.1.1 摩擦抵抗の評価
  8.1.2 層流の場合の摩擦抵抗公式
  8.1.3 乱流の場合の摩擦抵抗公式
 8.2 曲面状物体の粘性抵抗
 8.3 粘性による圧力抵抗
 8.4 粗度および汚損の影響

第9章 自由表面の影響
 9.1 自由表面波による造波抵抗
  9.1.1 エネルギー保存則による考察
  9.1.2 造波抵抗理論
  9.1.3 造波抵抗の低減
 9.2 浮体に働くその他の抵抗
 9.3 水槽試験
  9.3.1 試験水槽と模型試験
  9..3.2 抵抗試験の解析

第10章 誘導抵抗
 10.1 誘導抵抗の発生原理
 10.2 揚力線理論

第11章 圧縮性の影響
 11.1 圧縮性流体中の物体と流れ
  11.1.1 圧縮性流れの特徴
  11.1.2 簿翼理論
  11.1.3 亜音速流
 11.2 衝撃波による造波抵抗
  11.2.1 衝撃波の発生
  11.2.2 遷音速流および超音速流
 11.3 超高層飛行と極超音速流
 11.4 風洞試験

演習問題

(海事図書)


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カテゴリー:造船 
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