著者名: | 金田禎之 著 |
ISBN: | 978-4-425-88361-5 |
発行年月日: | 2007/5/28 |
サイズ/頁数: | A5判 224頁 |
在庫状況: | 品切れ |
価格 | ¥3,080円(税込) |
本書の著者は、主として水産関係の法令に関する専門書を多く著してきたことで知られていますが、この本はそれらとは少し趣が違っています。半世紀にわたって水産行政と漁業の現場に立ち会ってきた著者が、そのなかで出会ったさかなにまつわる忘れられない出来事や事件の顛末をまとめたのが本書であり、酸性度の強い湖にウグイを移植する苦労話、全盛期の頃の捕鯨の様子、密漁の現行犯逮捕の話など、興味深い話題が多くあります。
また、これらの出来事や事件とともに、それぞれのさかなについて、名前の由来から種類、形態、分布、日本人の生活とのかかわり、漁具・漁法、利用・加工、料理まで、幅広い事柄を解説しています。さかなにまつわる伝説や昔の漁業の様子、さかなを題材にした俳句など、読んでゆくと日本人とさかながいかに深くかかわってきたかがよくわかります。
図鑑でも写真集でもない普通の水産図書でカラー印刷というのはあまり例がなく、この点でも漁業関係者だけでなく、漁業とはあまり縁のない一般の読者にも読んで欲しいという著者の意欲が伝わってきます。
【はしがき】より
わが国は四方を海に囲まれ、また内陸部にも河川湖沼が多いことからも、古くから日本人ほど魚介類との関わりの深い国民はいない。
日本では南から北の魚介類まで、その種類に恵まれているだけではなく、魚類・貝類・海藻類・鯨類のほかウニ・ナマコ・ホヤなど広範囲な水産動植物を好んで食べるのも日本人特有の食性である。
これらの魚介類を採捕する技術も多種多様で、零細・単純のものから大規模・複雑巧緻を極めたものまですこぶる変化に富んでいる。
また、魚介類の名称も多様で、土地ごとの方言も少なくないが、これらを題材とした多くの和歌や俳句など、あるいは伝説などもいろいろと多くのものが今に残されている。
最近、魚介類に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)、タウリンなど多くの成人病予防に良いとされる新しい栄養素が見直され、日本人だけではなく外国人にも魚介類を中心とする日本型の食事が普及しつつある。
本書は、このような水産動植物のなかでいくつかの主なるものを取り上げ、その概説と筆者が直接関係した事柄の回顧などについて記述したものである。
なお、各章の冒頭に掲載した魚介類の画はすべて妻の金田多世子が書いたものである。また、参考文献については巻末に一括して記載したが、特に回顧などに関する出典(著者名を記載してないものは、すべて筆者の著述である)については各章末に記載した。
平成19年3月
金田禎之
【目次】
第1章 ウグイ
1 概説
2 田沢湖のウグイの由来
第2章 クジラ
1 概説
2 捕鯨の沿革
3 南氷洋捕鯨の回顧
第3章 ハタハタ
1 概説
2 秋田県のハタハタ
第4章 コイ
1 概説
2 稲田養鯉
3 八郎湖の増養殖
第5章 サケ
1 概説
2 サケの一生
3 人工ふ化事業
4 さく河魚類の通路の保護
第6章 イカ
1 概説
2 八戸沖のイカ・サバ漁業紛争
第7章 サバ
1 概説
2 利根川沖の釣り・まき網の漁業紛争
第8章 イサキ
1 概説
2 まき網によるイサキ採捕事件
第9章 タイ
1 概説
2 鯛網
第10章 ブリ
1 概説
2 瀬戸内海の赤潮とハマチの斃死
第11章 イワシ
1 概説
2 イワシ漁業の歴史
第12章 アユ
1 概説
2 アユと漁業権
第13章 ヒラメ
1 概説
2 ヒラメと資源管理型漁業
第14章 アワビ
1 概説
2 江戸時代のアワビ漁
3 アワビと漁業権
4 アワビ密漁の現行犯逮捕例
第15章 サンマ
1 概説
2 サンマとTAC法
第16章 キス
1 概説
2 江戸前の魚
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