著者名: | Romola & R.C. Anderson 著/松田常美 訳 |
ISBN: | 978-4-425-95322-6 |
発行年月日: | 2004/6/28 |
サイズ/頁数: | A5判 208頁 |
在庫状況: | 品切れ |
価格 | ¥3,080円(税込) |
古代エジプトからの6000年にわたる帆船の歴史を,豊富で多彩な図・写真でわかりやすく解説した名著。待望の翻訳。
【訳者 まえがき】より
本書の翻訳は、1963年版に基づいて行われた。
原則として、地名、人名を除き、訳語はすべて日本語を使うようにした。
しかし、言語綴りが必要なことを考えて、主要な語には*マークをつけ、巻末の用語一覧にまとめ、言語を添えてある。
帆船のマストその他の名称については、神戸商船大学名誉教授杉浦昭典先生のご指導に従い、日本の商船で使用されている名称を使用した。ただし、発音その他にそのままでは一般読者に理解しがたい点があるので、*記号を付した単語については、巻末の用語一覧にカナ表記と言語綴りを付してある。固有名詞である船名については括弧〈・・・〉を用い、カタカナ表記とした。
国名、都市名については、原書の英語綴りから日本で一般的に使われている読み方を選んだ。
図については、関連する船あるいは事物の記述の直後に、括弧( )で図の番号を記入してある。
まえがきで原著者も述べているように、本書は6000年にわたる帆船の歴史を概観したもので、読み物としても手頃なものである。
【原著者による1963年版への序文】
この本の初版は1926年に出版され、それ以後、海事考古学の分野では幾多のみるべき進歩発展があったが、ほぼ40年前に書かれたこの本に修正すべきことはほとんどない。
トライリームにおける3組の漕手の一に関する間違いと、スクーナーのマストとブリガンティンのマストとの相違についての間違いについては、1947年の再版の折りに修正され、この新版では、p.133の挿入図はオールの配置に関して修正が施された。しかし、p.207に述べた、異様な帆装をしたドイツの船が、先例に倣ったという事実を別にして、帆船の歴史に関する我々の記述は、依然として正確であると信じる。
しかしながら、比較的最近の幾つかの発見については触れておきたい。サザンプトン近くのハンブル河で見つかった、1418年に建造された〈グラース・デュー〉についての調査が1933年に行われ、そのキールは少なくとも125フィートあり、当時バヨンヌで建造された船よりも大きかったことを明らかにした。また、この船は、リベットで締めた3層の板からなる各外板を、よろい張り方式にして造られたことが判明した。バヨンヌの船も、おそらくこの方法で建造されたと思われる。ハンバー河畔ノース・フェリビーで、1937年に発見された2隻の注目すべきボートは、組立式丸木舟と記述するのが最適であり、どの発達系列にも当てはめることが難しい。ただし、この舟はブリッグで発見された船および同地区で発見された奇妙な筏状の構造物と、何らかの関連があるように見える。残念なことに、この2隻の舟はグリニッチへ移動の後、完全に分解してしまい、我々に残されたのは発見者たちの作成した記録だけである。この他に、スウェーデンとデンマークでも重要な発見がある。1934年には、スウェーデンのカルマーで多数の中性の小艇が発見され、1961年には、1625年に建造され、処女航海に出た途端にストックホルム港内で沈没したスウェーデン海軍の大戦艦〈ヴァーサ〉が、ほぼそのままの状態で引揚げられた。デンマークでも、バイキング時代の舟が幾つか引き揚げられ、保存されている。これらは、これからの研究者が初期の北方船についての知識の間隙を埋めてくれるのに、非常に役に立つであろう。
地中海については、我々は記念碑の絵から、縦帆がそれまでいわれていた時期よりずっと古くから使われていたことを知った。スプリットスルが遅くとも西暦紀元の始まった頃には存在しており、ラティーンもしくは類似の帆も、ほぼ同時期にさかのぼることを知っている。同時に、進んだ水中探査の手段が古代の舟の構造に関する情報を提供できるようになった。数年以内に、その詳細を記述することが可能になり、我々の考えの幾つかは、新知識により修正されることになろう。
R.A
R.C.A
目次
序言
第?章 エジプトとクレタ(紀元前4000年〜紀元前1000年)
第?章 フェニキア、ギリシャおよびローマ(紀元前1000年〜紀元400年)
第?章 ローマ以前の北方船
第?章 船首尾同型船の時代(200年〜1200年)
第?章 最盛期の1本マスト船(1200年〜1400年)
第?章 中世の南方船(紀元400年〜1400年)
第?章 全装帆船の勃興(1400年〜1600年)
第?章 17世紀
第?章 戦列艦とその補助艦たち(1700年〜1840年)
第?章 帆船時代の終焉
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