著者名: | 山田淳一 著 |
ISBN: | 978-4-425-95381-3 |
発行年月日: | 2005/8/28 |
サイズ/頁数: | A5判 224頁 |
在庫状況: | 在庫有り |
価格 | ¥1,980円(税込) |
誰もが頭を悩ますエンジンの仕組や動きを、多くの図を用い易しくわかりやすく説明。苦手意識克服に役立つ。水上バイク愛好家にもお薦め。
【まえがき】より
エンジンがわからないと悩んでいる初心者のための、この本を書きました。
エンジンを知らなくて損をしている人のためにこの本を書きました。
ガソリンが燃えるとなぜ車が走るのか?
ディーゼルエンジンはなぜ燃料消費量が少ないのか?
エンジンオイルはなぜ交換しなければならないのか?
冬になると車の排気管から水滴が落ちるのはなぜか?
下り坂で車のエンジンブレーキがかかるのはなぜか?
上り坂ではローギヤに落とさないとエンストが起こるのはなぜか?
電気の正体は一体何であるのか?
・・・・・・・・・・
このような疑問の答えを知りたい人のためにこの本を書きました。
皆さんの家のマイカーの中には、複雑なエンジンが詰まっています。外見は複雑であっても、エンジンの原理は意外とカンタンなものです。 私は、ボートの免許講習の講師になって10年が過ぎました。ボートのエンジンもマイカーのエンジンも原理は同じものです。
受講生は、若い女の子から70歳の年配者まで、実にバラエティーに富んでいます。その人達に、5時間の講義でエンジンの知識を詰め込み、最終日の試験で合格点を取ってもらうことが、私に課せられた任務でした。
講義の初めには、受講生の9割まで、エンジンが分からないと言っていますが、5時間の講義のあとでは「エンジン初めて分かった」と言ってくれるようになりました。
最初のうちは、どうすれば生徒が授業に集中してくれるのか、どうすれば全員が合格点をとってくれるのかと、思考錯誤の連続でした。この本は初心者と向き合ってきた私の経験をもとにして書いたものです。
エンジンがわかるようになると、車やボートの運転が楽しくなる上に、無謀な運転は避けるようになります。反対に、エンジンを理解していなければさまざまなトラブルに巻きこまれます。
私が親戚の人の車に乗せて貰ったときん、オイルの赤ランプが点灯していたので慌てたことがあります。運転手は「以前から点灯しているが、運転に支障はないから」とすました顔をしていました。高速道路を走れば大事故になりかねません。また、オーバーヒートを起こした車が、高速道路の出口でボンネットから水蒸気を吹き出して止まっているのを見たことがあります。
ボートの場合は、オーナーのエンジンの知識の多少によって、ボートの寿命が左右されます。冷却水系統の腐食によって寿命が決まるからです。
知識不足は、経済的な損失を招くばかりでなく、操縦者の生命が危険にさらされることもあります。沖縄で一本釣りをしていた小型漁船が、一か月半も漂流して銚子沖で助けられたことがあります。バッテリーの知識が足りなかったからでしょう。
初心者にエンジンの講義をするときは、やさしい言葉と分かりやすい図面を使って説明しなければ理解して貰えません。授業の途中で、エンジンの歴史やさまざまなエピソード、あるいは私の経験談などを交えて授業に変化をつけなければ居眠りを誘発します。
今では、授業後にアンケートを取ると、全員が講義が面白かったと言ってくれるようになりました。
この本は、エンジンに対する疑問を解消することを第一目標にしていますから、一般の解説書とはかなり内容が異なっています。
項目別に配列はしてありますが、どの頁から読み始めても構いません。理解できるところから気軽に読み進んで下さい。難しいと思われるところには、【中級者向け】と記しました。飛ばしてよんでいただいても結構です。
私は、機関士として船に乗っていた頃から「原理を知らなければエンジンの故障を防ぐことはできない」と思っていました。
この本によって、エンジンを理解する人が増えることを私は願っています。
その願いに適っている内容かどうか、判定するのはあなたです。
平成17年7月
山田淳一
【目次】
第1話 なぜエンジンは複雑か
1 エンジンの勉強に基礎はいらない
2 石油が燃えるとなぜ力が出るのか
3 ガス爆発を科学する
4 “おでんを食う年齢”がエンジンを複雑にする
4 見えないものを見る努力
6 わかりやすいボートのエンジン
7 エンジンからプロペラまで
8 複雑そうでも意外と簡単
9 ディーゼルエンジンの吸・排気弁の開閉装置
第2話 エンジンの理論が面白い
1 4サイクルエンジンの原理
2 圧縮比を上げるとなぜ効率も上がるのか
3 火災の温度を上げるとなぜ効率も上がるのか
4 2サイクルガソリンエンジンの原理
5 2サイクルガソリンエンジンの長所と短所
6 エンジンの出力は空気の消費量で決まる
7 ディーゼルエンジンとガソリンエンジン、爆発の違い
第3話 ガソリンエンジンの燃料系統
1 ガソリンエンジンの燃料系統
2 昔の人が苦労したシリンダー内のガス点火
3 キャブレターは気化器ではない
4 スロットル弁でスピード調節
5 筒内噴射ガソリンエンジンとは何か
6 稀薄燃焼(リーンバーン)ということ
第4話 ガソリンエンジンの電気系統
1 始動装置の改良
2 始動装置の知識があれば
3 始動モーターが回らない場合の処置
4 数万ボルトの高電圧を発生されるには
5 電気をタイミングよく分配するには
6 船外機のCDI点火装置
第5話 ガソリンエンジンの運転
1 もしクラッチがなかったら
2 登り坂でローギアに落とす理由
3 トランスミッションのからくり
4 下り坂でエンジンブレーキがかかる理由
5 オーバーヒートの経験談
6 排気管から水が出るのはエンジン快調の証拠
第6話 ディーゼルエンジン
1 高い効率、高い出力。ディーゼルエンジンの長所
2 燃料噴射系統の分配型と列型の違い
3 燃料噴射ポンプのからくりがわかれば卒業だ
4 燃料を高い圧力で噴射する理由
5 噴射時期を調節するタイマー
6 ディーゼルエンジンが始動しないときは
7 エンジンの整備を怠ると
8 燃料は爆発と沈殿物に注意する
9 燃料系統の水抜きとエア抜き
10 ディーゼルエンジンから黒煙が出る理由
11 黒煙を出さない運転方法
第7話 排気タービン過給機の凄さ
1 B29に対抗できなかった日本の戦闘機
2 排気タービン過給機の原理
3 空気を燃やすための過給機
4 オイル管理が重要
第8話 エンジンオイルが支える高速回転
1 お城の巨石はどのように運んだか
2 エンジン内部にはオイルのしぶきが充満している
3 エンジン内部のオイルの循環経路と劣化の進行
4 エンジンの摩耗は腐食が原因である
5 オイル添加剤の効果
6 ギヤオイルとグリース
第9話 車の冷却、ボートの冷却
1 冷却水が不足すると
2 エンジンの冷却にも数々の工夫があった
3 冷却水関係の付属機器
4 冷却水添加剤、ロングライフクーラント
5 ボートの水上係留の問題点
6 水上係留のさまざまなトラブル
第10話 電気の正体を知ろう
1 電気恐怖症を治すには
2 無用な静電気、有用な動電気
3 自転車の発電機
4 電気はどこにでもある
5 右往左往する電子の大集合
6 交流波形の意味するもの
7 自動電圧調整器が故障したときは
第11話 バッテリーがあがればボートは漂流する
1 バッテリートラブルを減らした交流発電機
2 ボートで多発するバッテリーのあがり
3 洋上でバッテリーがあがってしまったら
4 充電するほど寿命が延びる
5 バッテリーの充・放電がわ電流計と電圧計
6 電子の流れ出る方向を間違えるな
7 バッテリーの内部構造
8 バッテリーが電子を押し出す理由
第12話 運転席とエンジンとのつながり
1 すべてが始動スイッチから始まる
2 ボートの計器類と操縦系統
3 リモコンレバー2つの役割り
4 マリンギヤとは何か?
5 舵取り装置の概略
第13話 船の推進器物語
1 船は圧力差で走る
2 外輪船の欠点とプロペラの発見
3 プロペラ船が強い理由
4 ジェット推進とベルヌーイの定理
5 キャビテーションが問題だ
第14話 太陽エネルギーでボートは滑走する
1 木の葉から噴き出す太陽エネルギー
2 1km歩けば、体重×カロリー
3 生きている力、死んでいる力
4 生きている力を計るには
5 本当に熱が力に変わるのか
第15話 水上オートバイとエンジン
1 水上オートバイのエンジンの性能
2 エンジンの寿命を縮めないための10か条
第16話 エンジンがわからない原因と対策
1 カタカナ語の氾濫は困る
2 図面は大雑把に見ること
付録 エンジントラブルと推定原因一覧表(ボートの場合)
(海事図書)
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