著者名: | 藤井春三 著/野間忠勝 改訂 |
ISBN: | 978-4-425-02834-4 |
発行年月日: | 2011/12/15 |
サイズ/頁数: | A5判 320頁 |
在庫状況: | 品切れ |
価格 | ¥6,160円(税込) |
海技試験科目細目に基づきながら、各科目ごとに丁寧な解説を加えるとともに、実践的に試験に出題されるような質問形式で例題を豊富に収録。各種法令などをより現行の出題傾向に即した内容に変更した改訂版。
【はしがき】より
海技試験に口述試験が課せられている理由などについては、本文の「口述試験について(解説)」で述べているとおりですが、口述試験を突破するには、結論的に、海技に関する知識・経験を豊富にもち、それを船舶運航の実際において的確に対応することができるものであることが肝要です。したがって、船内生活によって得た知識・経験を大切にし、これがどのように船舶運航に活かされていたかを思い出して頂きたいと思います。このような観点から本書は、口述試験で問われるであろう問題を重点的に挙げてはおりますが、その目指すところは、海技試験に合格して海技従事者として、船舶運航の指導者となった場合の実力を涵養するところにあります。つまり、各項目についての解説により、一般的知識を得るところから、各質問については、その要点および解答のポイント、さらに、解答要領を示し、問題解説の能力の向上に主眼を置いてまいります。海技試験の試験範囲は、かなり広範で、そのすべてを網羅することはとても不可能ですが、主要なものはできる限り触れているつもりです。本書により勉学することで、海上技術および知識についての実力を高めることができ、自信を持って口述試験に限らず、筆記の海技試験にも望んでいただけることを確信しております。
平成13年6月
著者しるす
【改訂版によせて】より
近年の船舶の大型化、専用船化及び超大型コンテナ船や自動車専用船のように水面上の風圧面積の異常に大きな船舶の出現などその運動性能も大きく変化しています。また、船舶に搭載されている各種機器の高度な発達、さらには、船橋における機関のコントロールなど、航海当直を担当する海技士を取り巻く環境は一層厳しさを増しています。これらの環境の変化に対応して船舶の安全運航を担保するためには、航海、運用及び法規に関して十分な知識と理論を有し、これらに基づく技術を身につけることが望まれます。
口述試験は、筆記試験と比べて、ややもすると軽んじられる傾向がありますが、口述試験の趣旨は実技試験に代えて、実務遂行能力の有無を判定することにより、船舶の航行の安全を図ることにあります。したがって、筆記試験と同等の試験ですから、このことを念頭に十分に対策をたてて試験に望まれることが肝要だと思います。現実には、船舶の安全運航には膨大な量の知識と理論の修得が必要ですが、すべてを網羅することは困難です。
本書では、現実の試験に対応できるよう、役目を終えたものを削除又は縮小し、必要な内容の更新を行いました。
海技試験に当たって、本書を十分に活用いただき、合格されることを望みます。
平成23年11月
改訂者
【目次】
第1編 航海
第1章 航海計器
1.磁気コンパスおよび磁気コンパスの誤差
1 磁気コンパスの浮室
2 磁気コンパスの取扱い
3 磁気コンパスの要件
4 コンパスのすえ付け
5 カードの水平保持能力
6 自差および偏差
7 磁気赤道
8 自差修正装置
9 方位測定時の注意
10 傾船差係数
2.手用測鉛
11 手用測鉛の構造
12 手用測鉛の利用
3.音響測深機
13 音測の装備位置
14 底質の判断
15 音測の故障処置
16 記録器の調整
4.動圧ログ(船底ログ)
5.電磁ログ(北辰電磁ログ)
6.ドプラー・ソナー(スピード・ログ)
17 ドプラー・ソナー
18 ドプラー・ソナーの取扱い
7.六分儀(セクスタント)
19 高度測定要領
20 六分儀の誤差
21 高度改正
8.クロノメータ(時辰儀)
9.方位鏡
22 方位鏡の利用法
10.ジャイロコンパス
23 スペリー系指北原理
24 アンシューツ系指北原理
25 緯度誤差の有無
26 速度誤差
27 セットに要する時間
11.オートパイロット
28 自動操舵の原理
29 調整装置
12.レーダー
30 P.P.I.表示とは
31 探知距離
32 レーダー船位
33 T.M.レーダー
34 レーダーのSTCの効用
35 自動船舶識別装置
13.ARPA
36 ARPAの目標捕捉
37 ARPAの試行操船
38 ARPAの警報
14.無線方位測定機
39 ループアンテナの指向特性
40 無線方位の誤差
41 象限誤差
15.ロラン(Loran)
42 ロランの原理
43 ロランCとロランAの相違
44 ロランC局の設置場所
45 ロランCの利用範囲
46 ロランC局の故障
16.衛星航法装置
47 GPSの原理
48 C/AコードとPコード
49 GPSの相対測位
第2章 航路標識
1 航路標識の種類
2 灯質の種類
3 水源・特殊な航路標識
4 光達距離
5 電波を利用した航路標識
6 特殊な航路標識
7 浮標式
8 わが国沿岸の水源
9 側面標識
10 方位標識
11 孤立障害、安全水域および特別標識等
12 特定標識
13 航路標識法
第3章 水路図誌
1 漸長図の特徴
2 海図図式
3 海図の小改正
第4章 潮汐および海流
1 平均高潮間隔
2 平均高潮間隔の利用
3 日潮不等・回帰潮
4 潮時差・潮信
5 流向を知る方法
6 黒潮・親潮
7 海流の成因
第5章 地文航法
1 中分緯度航法
2 漸長緯度航法
3 クロス方位法の注意
4 避険線の利用法
5 変針時の注意事項
6 大圏航法の不敵な場合
7 船位通報制度
第6章 天文航法
1 視時と平時
2 東西圏通過とは
3 天体の高度観測の注意
4 隔時観測の誤差
5 近(傍)子午線高度緯度法の利用
6 天文三角形
7 位置の線の誤差
第7章 電波航法
1 レーダーの偽像
2 真方位指示と相対指示
3 レーダー見張りの注意
4 衝突の判断
第2編 運用
第1章 船体・設備および属具
1.船体主要部分の構造および使用目的
1 船首尾の強力構造
2 Balanced Rudderの特徴
3 舷側厚板
4 ウェブフレーム
5 舷弧・梁矢をつける理由
6 甲板の耐重構造
7 Keelの構造
8 水密隠壁の構造
9 船倉の浸水排除の問題
10 貨物船のタンク
2.船体要目
11 証書記載の要目寸法
12 Bale capacity
13 満載喫水線
14 国際総トン数と総トン数
3.主要設備の取扱いおよび保存手入れ
15 舵の緩衝装置
16 揚錨機の能力
17 鋼索の取扱い
18 通風筒の使用法
19 ストーム・バブル
4.属具の取扱いおよび保存手入れ
20 Stockless anchor
21 錨鎖の接続法
22 ナイロンロープの取扱い
23 滑車の特性
5.ロープの強度およびテークルの倍力
24 ロープの強度概算
25 テークルの倍力
26 テークルの実用倍力
6.船体の受ける応力、水圧試験および水密試験
27 ホギングとサギング
28 隔壁・タンクの水密試験
7.船体の保存手入れ
29 船底に亜鉛板を取り付ける理由
30 入渠中の注意
31 青酸ガス消毒の注意
32 B/Tペイントの要件
33 船舶検査の種類
第2章 操船
1.船舶の操縦性能
1 機関後進と回頭
2 舵効きにおよぼす諸影響
3 惰力の種類
4 Kickの利用
5 旋回中の傾斜
6 2船間の吸引
7 係留中の船が受ける影響
8 浅水影響
9 乗船時把握すべき操縦性能
2.一般運用
1 初めて入港する場合の注意
2 潮流の速い港への入港
3 錨地選定
4 夜間の入港目標
5 錨地進入法
6 水先人乗船中留意すべき事項
7 ケッジ・アンカー使用法
8 シングルアップ
9 試運転立会い
10 化繊係留索の取扱い
11 係留作業の注意
12 夜間の投錨の注意
13 投錨作業の指揮
14 強風時の錨鎖伸出法
15 深海投錨
16 うねりの大きい泊地から抜錨
17 Drag anchorと錨鎖
18 双錨泊する時の注意
19 操船上の錨の用法
20 Back Springの効用
21 ゆきあし制御
22 その場回頭
23 引船の使用法
24 船の転心の位置
25 Tug boatでの回頭
26 Tug boatの牽引能力
3.特殊運用
1 狭水道通航時機
2 通峡針路
3 通峡操船
4 狭水道入口で濃霧
5 河川中の乗揚げ防止
6 河川中の錨地選定
7 河川停泊中の錨鎖の保守
8 下航中の投錨回頭
9 狭視界で船位に不安のとき
10 空船航海の安全維持
11 貨物倉への張水法
12 荒天錨泊の方法
13 走錨探知
14 錨泊中の台風対策
15 ブイ係留中の荒天凌ぎ
16 岸壁係留中の荒天凌ぎ
17 洋上における台風対策
18 沿岸航行中の台風対策
19 礁海航行の注意
20 礁上の水深と色彩
21 流氷域航行
22 操縦指数K.T
23 Z試験とスパイラルテスト
第3章 保安応急
1 応急操舵
2 乗揚げ直後の機関後退
3 座礁時の処置
4 自力離礁
5 衝突時の応急処置
6 任意座礁
7 落者救助
8 救命艇の洋上降下
9 遭難船への連絡索
10 火災の原因と注意
11 防火処置
12 浸水の原因と対策
13 防水作業
14 大型船の小型船引航
第4章 海上気象
1 気温と気圧の関係
2 気圧傾度
3 バイスバロットの法則
4 露点温度と天気予報
5 雲形と天気現象
6 移流霧の成因
7 霧の種類別発生原因
8 不連続線の性質・種類
9 台風接近の前兆
船上で天気を判断する際の参考となる事項
10 洋上の船舶の気象観測
11 天気図の見方
12 高層天気図の等高線
13 高層天気図の記載事項
第5章 船体の安定その他一般
1 航行中の復原力検知
2 不安定を生ずる原因
3 静的復原力・動的復原力
4 甲板の安全荷重
5 アレージスペース
6 滞船料・早出料
7 外地停泊中の注意
第6章 危険物(石油燃料)の取扱いと対策
1 ガソリンと重油の違い
2 爆発範囲
3 帯電原因
4 類焼のおそれがある場合の処置
5 石油の荷役中の注意
6 石油タンカー乗組員の心得
第3編 法規
第1章 海上交通三法
1.海上衝突予防法および同法施行規則
〔重点解説〕
(1)この法律の歴史的意義
(2)この法律の性格および目的
(3)この法律の構成
(4)この法律の理解のために
(5)この法律と他の法律との関係
1 操縦性能制限船の意味
2 適切な見張り
3 安全な速力
4 衝突のおそれ
5 十分なレーダー情報
6 船舶の運用上の適切な慣行
7 狭い水道の通行
8 分離通航帯
9 帆船の風上舷
10 追越し船とは
11 行会い船の航法の不適用
12 行会い船の判断の範囲
13 後進中の他船との横切り関係
14 保持船の針路・速力の保持義務
15 保持船の衝突回避措置
16 保持船の最善の強力動作
17 特殊な状況の船間の航法
18 視界制限状態でのレーダーの航法
19 船種の灯火の見え方
20 トロール以外の漁船の灯火および形象物
21 漁ろう中の漁船が互いに接近したときの追加灯
22 複雑な灯火を示す船舶
23 小舟艇の水中作業
24 紅灯2連掲の船舶
25 他船が視野内にある場合
26 針路信号
27 汽笛の吹鳴装置の設備法
28 注意喚起信号と警告信号の違い
29 遭難信号
30 切迫した危険のある特殊な状況
31 船員の常務と船舶の責任
32 他の法令に適用される航法規定
2.海上交通安全法および同法施行規則
〔重点解説〕
(1)この法律の制定の経緯
(2)この法律の概要
1 適用水域について
2 航路航行義務
3 航路の横断
4 航路に沿っていない状態
5 夜間の行先の表示
6 伊良湖水道航路の航路外の待機
7 緊急船舶
8 「できる限り」の意味
9 来島転流時の航法
10 来島の航法
11 来島海峡の航法で危険な場合
12 来島海峡と霧中信号
3.港則法および同法施行規則
〔重点解説〕
(1)この法律の目的および性格
(2)この法律の概要
1 錨泊または停留の禁止水域
2 防波堤の入口
3 港の入口における優先航行
4 防波堤の入口の航法
5 特定港の小型船の航法
6 特定港内における行事
7 港則法上の漁ろう
8 雑種船と航法
9 特定港の性格
10 移動命令
11 航路内投錨
12 航路航行中の守則
13 早鞆瀬戸の航法
14 交通が著しく混雑する特定港
15 危険物積載船の措置
16 汽笛の吹鳴テスト
17 塵芥処理
第2章 船員法・船舶職員法及び小型船舶操縦者法・海難審判法
1.船員法
〔重点解説〕
(1)この法律の目的および性格
(2)この法律に基づく省令としての他の法令について
1 船員の定義
2 船長の指揮命令権
3 発航前の検査
4 甲板上の指揮
5 在船義務の解除
6 衝突時の処置
7 他船の遭難を知ったとき
8 部署操練の回数
9 船内備え置き書類
10 海員の紀律
11 懲戒の手続
12 争議行為の制限
13 雇入契約公認の意義
14 解雇の条件となる場合
15 例外作業
16 航行に関する報告義務
17 船員の雇入契約の解除
18 船員手帳の取扱い
19 定員
20 航海当直をする部員の定員
21 医師および衛生管理者の乗船
22 タンカー乗船の船長、一航の要件
23 自動操舵装置の使用
24 一括公認
25 非常配置表
26 年少船員の勤務
27 船員労務官の職務権限
28 救命艇手
29 安全担当者
30 衛生担当者の業務
31 清水の積込み・貯蔵基準
32 経験・技能を要する危険作業
2.船舶職員及び小型船舶操縦者法
〔重点解説〕
(1)この法律の目的および性格
1 船舶への立入検査
2 免許を取消される場合
3 運航士
4 近代化船の基準
5 聴聞
6 航行差止め
7 海技免状の取扱い
3.海難審判法
〔重点解説〕
1 重大な海難
2 海難審判の目的
3 「海難発生」とは
4 懲戒の種類、不服の訴え
第3章 船舶安全法・船舶法・海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律
1.船舶安全法
〔重点解説〕
(1)この法律の目的および性格
(2)船舶安全法の構成および関連規則の概要
1 満載喫水線の標示
2 船舶安全法上の漁船
3 復原性試験の書類
4 ローディングマニュアル
5 船内エレベーターの定員
6 危険物の荷役
7 船舶用レーダーの設備
8 船舶救命設備規則上の船種
9 救命設備の備付け
10 航空機の救命信号
11 用語の意味
12 船級協会に委せない検査
13 検査の時期
14 検査証書の有効期間
15 定検の繰上げと検査証書
16 損傷修理の手続
17 中検を受検しなければ
18 船舶乗組員の申立て
19 危険物積載の標識
2.船舶法
〔重点解説〕
(1)この法律の目的および性格
1 日本船舶の特権
2 船籍港の意義
3 国旗の掲揚義務
4 国籍証書の性格
5 国籍証書の取扱い
6 仮国籍証書
7 船舶名の変更
8 船籍票
9 船舶の信号符字
3.海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律
〔重点解説〕
(1)この法律の目的および性格
(2)この法律の構成と関連法規
1 油および水バラストの積載の制限
2 分離バラストタンクからの排水
3 油濁防止管理者の選任
4 船舶からの廃棄物の排出
5 海洋汚染防止証書
6 誤って重油を排出
第4章 検疫法・関税法・水先法・海商法および国際公法
1.検疫法
1 検疫信号
2 検疫感染症
3 感染症発生時の応急処置
4 ねずみ族駆除証明書
5 事前通報
6 検疫港以外への入港
7 検疫作業の内容
8 検疫官の立入権
2.関税法
1 入港手続書類
2 不開港への入港
3 入港の簡易手続
4 出港手続
5 外航船との交通の制限
6 「船用品」とは
3.水先法
1 船長と水先人の責任関係
2 水先人に対する船長の責務
3 水先人の免許・職責
4.商法(海商編)
1 船長の代理権
2 船長の一般的管理責任
3 船内備置書類
4 船長の報告義務
5 堪航担保義務
6 「修繕不能」の意味
7 用船契約
8 船荷証券の性格
9 滞船料の請求
10 共同海損成立要件
11 共同海損費用
12 賠償されない海損
13 人命救助と救助料(特例)
14 保険金支払いの対象
5.国際公法
1 国際運河・河川
2 無害航行権
3 外国における船舶の地位
4 公海上の国権行使
5 商船の捕獲
6 用語の意味
【読者からの声】
●Mさん 24歳
「勉強する人にとても親切です。特に基本についての解説が助かりました。他の参考書は学術的な言葉がどんどんでてきますが、本書はそれを現場ではどのように使用されているかを丁寧に解説しているのがよかったです」
海事図書
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