著者名: | 山口隆子 著 |
ISBN: | 978-4-425-55281-8 |
発行年月日: | 2009/8/8 |
サイズ/頁数: | 四六判 140頁 |
在庫状況: | 在庫有り |
価格 | ¥1,980円(税込) |
本書は、日本の首都であり、最大の都市である東京を舞台に気象環境の実態、みどりによる環境改善効果、そしてみどり以外の様々な技術も含めた都市環境改善手法について、東京都の環境局職員として現役で活躍する著者が観測経験に基づきわかりやすくまとめたものです。
第1章では、東京におけるヒートアイランドの現状・原因・影響・行政による取組を紹介、第2章では、ヒートアイランド対策の柱である都市緑化とその効果について気象学の観点から解説、第3章では、その他の対策メニューについて紹介しています。
市区町村などの行政レベルのものから、自宅でもできる簡単な緑化まで、幅広い対策法を示した本書をぜひお勧めしたい1冊です。きっとみなさんも、手始めに身近な「ベランダ緑化」に取り組みたくなることでしょう。
【はしがき】より
「みどり」という言葉から何を連想するでしょうか。大自然のみどり、里山のみどり、街中のみどりなど、さまざまなみどりが浮かんでくるかと思います。「みどり=自然」といわれることが多いですが、里山のものも街中のものも人間によって人工的につくられたものです。
みどりは、人間心理や大気科学、さらに、気象環境の改善効果等があるといわれていますが、「みどり=さわやか、憩いの場」といったイメージが先行し、その効果を数字で表し、主張するようなことはあまり行われてきませんでした。そのため、これまでの都市開発において、道路やビル・住宅の付属物(おまけ)のような存在でした。都市にみどりが多いほうがいいことは誰もが認識していながら、行政も含めみどりへの投資は後回しになっていました。
近年、地球温暖化やヒートアイランド現象への対策手法の一つとしてみどりがクローズアップされ、その効果の数値化やより効果的なみどりの創出が求められています。その結果、大規模開発において、ビルの周囲やみどりを配慮するのではなく、その中にビルが建設され、平成版『鎮守の森』が都市に出現するようになってきました。
もちろん、みどりは万能ではありません。人間の世界で、適材適所が重要であるのと同じように、みどりにも適材適所はあり、人間と同様に適切な育成も必要です。ですから、みどりの力ですべてを解決することはできません。本書では、日本の首都であり、最大の都市である東京を舞台に、気象環境の実態、みどりによる環境改善効果の紹介、そしてみどり以外のさまざまな技術も含めた都市環境改善手法の紹介をしていきます。
2009年7月
山口 隆子
【目次】
第1章 ヒートアイランド現象を知る
1.1 ヒートアイランド現象ってどういうこと?
1.2 東京のヒートアイランドの現状
1.2.1 東京の気温上昇について
1.2.2 ヒートアイランドの原因?人口増加、人工排熱、人工被覆面
1.2.3 ヒートアイランドによる影響?健康影響、生態系への影響
1.2.4 行政によるヒートアイランドへの取組み?国、地方自治体
第2章 都市緑化と気象緩和効果
2.1 都市緑化とは?緑地、特殊空間緑化ってどういうこと?
2.2 緑被率と気温を見る?なぜ、みどりは人にやさしいか
2.2.1 データで緑被率を見る
2.2.2 観測地点別緑被率と気温
2.2.3 観測地点別緑被率と区別緑被率
2.2.4 区別緑被率と人口密度
2.3 屋上緑化
2.3.1 屋上緑化の普及
2.3.2 薄く軽い屋上緑化から受ける影響/観測方法/観測結果
2.3.3 今日からはじめる屋上緑化?ベランダ緑化のすすめ
事前の準備/いよいよ緑化です
2.4 壁面緑化
2.4.1 壁面緑化の普及
2.4.2 壁面緑化の種類
直接登はん型/巻き付き登はん型/下垂型/プランター
ユニット型/壁前植栽
2.4.3 壁面緑化設置時のポイント
土壌の選択/植物の特性を踏まえた選択/荷重負荷への
考慮/質の高い壁面緑化を実現するための維持管理
2.4.4 壁面緑化による効果
ヒートアイランド緩和効果/観測方法/観測結果
2.5 校庭緑化
2.5.1 校庭緑化の普及
2.5.2 校庭緑化による効果
観測方法/観測結果
2.6 駐車場緑化・軌道緑化
第3章 ヒートアイランド対策のいろいろ
3.1 高反射率塗料
3.1.1 ヒートアイランド緩和効果測定
3.1.2 高反射率塗料の普及
3.2 環境緩和型舗装
3.2.1 保水性舗装
3.2.2 高反射性舗装
3.3 ドライミスト装置
3.4 我が家でできる暑さ対策
(気象図書)
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