海の英語に強くなる本−海技試験を徹底攻略−


978-4-425-16071-6
著者名:桑田 明広 著
ISBN:978-4-425-16071-6
発行年月日:2010/12/10
サイズ/頁数:A5判 116頁
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価格¥1,760円(税込)
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海技国家試験の英語筆記試験では長文の和訳が出題される。試験では一般的な英語辞書のほかに専門辞書を持ち込めるが、単語を訳しても意味のある文章にするのは難しい。
本書は、商船高専で英語を教えている著者が、海技国家試験2級レベルの英文を訳すことに特化してまとめたもの。
全体は3つのPartに分かれ、Part1では文法の説明、Part2では実際の海技試験英語の訳し方、Part3では海に関する様々な英文を紹介し、どこからでも読み始められる。
試験問題では、海事に関する英文が出題される。著者はこの本で、受験生が自らの知識に照らし合わせ、自分が読んで理解できる読みやすい答案を書くことが合格への定石とアドバイスしている。

【まえがき】 どうすれば英語ができるようになるでしょうか、何度も耳にする問いです。それに対して私はこんな風に答えることにしています:
「東南アジアからの留学生は、高等教育を受ける為には英語が不可欠、より良いステータスを得る為には英語が不可欠、と言います。私たち日本人は英語をマスターしなくても日常生活には困りません。では、なぜ英語を学ぶのか。あなたが英語を最も必要とする環境を想定しなさい。その必要性に応じて学習方法をか考えてはどうですか」
英語の取得を料理にたとえると、材料(語彙)と調理方法(文法)、盛りつけ(発音)です。どの過程にも配慮してやっとおいしい料理は完成します。でも、最適にディナーを味わうには場面に応じた工夫も必要です。事務所で外国から届くメールを処理する人と、現場で外国の人々と一緒に働く人とでは、英語の学習に際して重点を置く技能に差が生じるでしょうし、TOEIC(Test of English for International Communication、国際ビジネスコミュニケーション協会が行なう英語能力試験)で高得点を取りたいならリスニングや語彙力、外国人と話したいなら発音が大切になります。目的に合った学習方法を選ぶことでやる気も結果も出るに違いありません。
さて、本書の意図について説明します。
我が日本は海に囲まれた島国です。海外から原材料を輸入し、加工し製品化して輸出する貿易立国を目指さねばなりません。そこには優れた船員(船舶職員)と立派な船舶が必要です。その船員になる為には、海技従事者国家試験に合格し海技免状を取得しなければなりません。その免状には航海の部と機関の部とがあり、しかも船舶が就航する航路や船舶の大小によって使い分ける、12種類の海技免状に分かれています。
商船高等専門学校は、中学校を卒業して入学する国立の高等専門学校です。学生はその商船学科を5年ヶ月で卒業し、口述試験に合格し、3級海技士の海技免状を取得して、外国航路就航船の船員として採用されてゆきます。在学中に2級や1級の学科試験に挑戦する学生もたくさんいますが、実は、その海技国家試験において英語で手こずる学生が少なくないのです。
本書は、海技国家試験の2級レベルの英語を目指している皆さんに特化して執筆しました。辞書を手元に置いて英文を日本語に訳す試験の方式を前提にしています。
Part1では文法項目に基づいて説明をし、Part2では実際の海技国家試験に挑戦してもらいます。Part3で海に関する英語の文章を幾つか列挙しました。
文法の説明に使った例文は、航海と機関の両方、できる限り同じ割合にしました。出典の表示は、「18/7/N1-1」とあれば「平成18年7月の航海、1級の問題1」を示します。説明の都合などのため手を加えた分もあることを関係者の皆さまにお詫びします。訳文を作るに際しては成山堂書店発行の海技国家試験問題解答の速報版を参考にしました。執筆にあたられた方々に衷芯より感謝します。また広島商船高等専門学校商船学科の馬場弘明先生をはじめ同僚の先生方には数々の貴重な助言を賜りました、ありがとうございます。それでもミスを犯しているかと存じますが、文系の筆者の至らなさとご容赦下さい。
そして何より、商船高等専門学校英語研究会として編纂した『海の詩』の続編を書く機会を与えて下さった成山堂書店の小川實会長には深甚の謝意を表します。
出題される問題には、海技国家試験を受験する皆さんの「よく知っている内容」が書かれているのです。それが英語で書かれているだけのこと。自分の知識に違わず、自分が読んで理解できる読み易い答案を書くように努めてください。そうすれば筋が通った訳文に仕上がるはずです。皆さんのご健闘をお祈りしています。

2010年11月
桑田明広


【目次】 Part1 実例で英文法
Chapter1 辞書を味方にする
 1.1 必要な語句は覚える
 1.2 推測する
 1.3 探し物は必ず見つかる

Chapter2 言葉のもと
 2.1 なんてったって動詞
 2.2 受け身こそ基本、かも
 2.3 過去分詞も受け身

Chapter3 動詞の変化形いろいろ
 3.1 名詞に変化スルコト
 3.2 付け足シテイル、付け足シナガラ
 3.3 もう一つのING

Chapter4 動詞の前にtoが付くと
 4.1 toを動詞に付け加エルコト
 4.2 toで接着スベキ
 4.3 toを付け加エルタメニ

Chapter5 流れが逆、に見えますが
 5.1 前置詞は名刺の“前に置く詞”
 5.2 引率者は先に立つ

Chapter6 言い換え
 6.1 何の代わり?
 6.2 関係代名詞は「ソレ」だ
 6.3 場所、時間の説明を付け足す

Chapter7 文章の凝りを解きほぐす
 7.1 苦しいときの動詞だのみ
 7.2 英文の構造は五種類
 7.3 一つの文に動詞は一つ

Chapter8 まだまだ動詞の様々
 8.1 命令し、質問する
 8.2 いつの事だろうか
 8.3 動詞を助ける
 8.4 もし仮に

Chapter9 落ち穂拾い
 9.1 しっぽの形で大違い
 9.2 嫌ではありません
 9.3 何が彼女を怒らせたのか?

Chapter10 視野を大きく
 10.1 離れ離れの熟語たち
 10.2 並べて省略
 10.3 インサート
 10.4 文章まるごとマルカジリ

Part2 海技国家試験問題にアタック
Part3 海の読み物  A マルコポーロ「東方見聞録」
 B マゼラン「米国の百科辞典より」
 C ホーンブロワー
 D メアリー・セレスト号
 E バウンティ号の反乱
 F ドイツ軍艦 ビスマルク号の追撃
 G アヴラナス船長
 H STCW条約
 I 海へ出るつもりじゃなかった
 J 海恋い

(海事図書)


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