ここからはじめる制御工学


978-4-425-65171-9
著者名:章菲菲 著/伊藤雅則 監修
ISBN:978-4-425-65171-9
発行年月日:2014/4/8
サイズ/頁数:B5判 124頁
在庫状況:在庫有り
価格¥2,860円(税込)
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これまで専門の技術者がそれぞれの用途のため開発・用いられてきたため、敷居の高かった制御技術の修得。本書ではその敷居を取り払うべく、まず。制御するとはどういうことか、そのためにはどうすればいいか、身近なレベルから理解できる内容とした。筆者の1年間の講義ノートを基に構成した本書を、教室に座って聴講している感じで読み進んでいただきたい。

【まえがき】より  これまで、「制御技術」は、鉄鋼・化学・エネルギーなどのプラントや自動車・家電製品・コンピュータ・電子部品・食品・医薬品などの製造ライン、航空機・船舶・自動車・家電製品などの製品のための技術として、専門の技術者によりそれぞれの用途のために開発され用いられるものであった。そのため、制御技術の習得は、専門家あるいは専門家を志す研究者や学生を対象として書かれた書物によることとなっていた。
 しかし、昨今、特にロボットに関する技術のめざましい進展により、この技術は、ホビーやおもちゃの世界にまで浸透し、新しい対象を楽しむにはこの制御技術を知ることが不可欠となっている。さらに、産業界では、実際に機械の操作にあたる技術者にも制御の内容を理解することが求められるようになっている。言い換えれば、制御技術はもはや工学に携わる人にとって常識として身につけることが求められる状況にあるといっても過言ではない。
 一方、これまで出版されているこの分野の書籍は、これから制御技術を学ぼうとする初学者、身の回りの制御技術を理解しようとする技術者にとって、数学的素養や理論的展開の理解を求める、あまりに敷居の高いものであったのではないか。
 現在書店に並んでいる制御の本は、筆者が学生の時に読んだものと比べて、随分わかりやすくなったと感じる。しかし、それでも、制御が難しいという印象が依然として付きまとうことは否めない。これについて考えると、おそらく次の2つの原因によるものではないかと思う。1つは本の中で多くの数式を用いて制御理論が展開されるため、これらの理解が相当な負担となり、途中での挫折にもつながること。もう1つは、制御理論の発展の経緯から、制御システムの表現法や、解析方法が割合充実しているのに対して、肝心な制御則の設計はほとんど安定性の保障に留まっているため、長い時間をかけて一冊の本を読み終えても、読者に制御技術が身に付いたという自覚が湧いてこないことである。
 そもそも、ごく簡単な制御の考え方から、今日でいう制御理論まで発展してきたプロセスを、著者の独断でまとめる以下のステップになる。
 1)初期の段階では、制御はシステムの出力誤差を修正するための操作と捉え、その修正方法(制御則)をPID計算式というスマートな式にまとめた。これがPID制御で、現在もなお一般的な方法として使われている。
 2)次の段階では、システム挙動の特徴と運動方程式との関連がある程度明かされたことにより、理想とする挙動を得るには、理想とする運動方程式をもつシステムの構築が必要との考えが一般化した。これを受け、制御対象に補助装置として制御器を付け加え、理想とする運動方程式を目指すよう、その制御器の設計を行うことに発展する。しかし、ここで解決したのは、あらゆる理想とする挙動の実現とは程遠い、安定性を保障するための制御器の設計法と、一入力と一出力システムの周波数特性の設計法のみで、その他の応答特性についての統一した設計法はわかっていない。
 3)次に、制御対象の実際の運動方程式が環境によって随時変わることへの対応が必要となった。2)で開発した設計法を環境変化に対応できるようにするためには、制御対象の運動方程式をオンライン計測により決める必要があるが、コンピュータ技術のおかげで、それが可能となり、設計法が拡張された。
 4)最近では、従来の運動方程式に基づく方法とは別に、コンピュータ技術を駆使して、制御アルゴリズムの新たな開発が行われている。
 このように、現在、制御理論として一般化されている技術は、体系的な発展の結果とは言い難い。むしろ、必要なとき、必要な内容を補充しつつ拡大した成果の集合と言えないだろうか。
 筆者は、この不完全な制御理論をわかりやすく解説し、制御技術は何を考え、何を解決するかを、また、何ができ、何ができないかを身近なレベルから理解してもらおうと、長年大学の講義を通して試行錯誤を繰り返しながら内容の改良を重ねてきたが、その一端をホームページに紹介したところ、共感して下さる方があり、本書を執筆するに至った。
 この本は、そのような観点から構成した筆者の1年間の講義ノートを基に、導入から一般的な制御手法を中心とした新しい制御方法まで、章を立てており、説明においては、できるだけ概念や、問題提起の意味を解説し、問題の解決法も自然の考えによって辿りつくプロセスを解説する。
 また、コンピュータシミュレーション法を紹介することによって、例題や演習問題の解を自力で解き、グラフ出力によって、制御結果のイメージを掴みとることを本書のポイントにしている。
 この本を手にした読者も、教室に座って聴講している感じで読み進んでいただきたい。なお、さらなる知識を求められる読者は、後段に紹介する関連書籍を参考にしていただきたい。
 本書が関係の初学者、技術者にとって意味のあるものとなれば、これに勝る喜びはない。

【目次】
序章 制御とは
 1. 制御とはなにか?
 2. 自動制御の目的
 3. 自動制御システム

第1章 制御システムについて  1.1 制御システムの構造
 1.2 さまざまな自動制御システム
 1.3 自動制御の分類
 コラム 制御を支える技術

第2章 フィードバック制御の原点とPID制御  2.1 制御問題と物理問題の違い
 2.2 フィードバック制御の基本
 2.3 PID制御
 コラム 実験に基づくKp Ki Kdの設計法
第3章 運動方程式とシミュレーション  3.1 運動方程式
 3.2 運動方程式の数値解
 3.3 制御システムのシミュレーション
 コラム Z試験

第4章 運動方程式の別表現ー伝達関数と状態方程式ー  4.1 線形常微分方程式と伝達関数
 4.2 伝達関数のブロック図
 4.3 状態方程式
 4.4 伝達関数と状態方程式の書き換え
 コラム ラプラス変換で常微分方程式を解こう

第5章 安定性と定常特性  5.1 安定性
 5.2 定常特性

第6章 過渡特性と周波数特性  6.1 ステップ応答特性(過渡特性)
 6.2 周波数応答特性
 コラム フィルタとボード線図

第7章 フィードバック制御系の設計  7.1 1次制御対象の制御法
 7.2 2次制御対象の制御法
 7.3 高次制御対象の制御法(状態フィードバック制御)

第8章 さまざまな制御手法  (1)最適化制御
 (2)最適制御
 (3)適応制御
 (4)ロバスト制御
 (5)インテリジェント制御
 (6)非線形制御
 (7)分布系制御
 (8)さらなる学習のために

(海事図書)


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カテゴリー:船舶(航海・機関・運用) 
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