著者名: | 日本エアロゾル学会 畠山史郎・三浦和彦 編著 |
ISBN: | 978-4-425-51371-0 |
発行年月日: | 2014/5/12 |
サイズ/頁数: | 四六判 184頁 |
在庫状況: | 在庫有り |
価格 | ¥1,760円(税込) |
PM2.5とは・・・
よく聞くけどイマイチわからない。
そんな方のために18名の専門家が
25の疑問に正確にわかりやすく解説します。
【内容】
2013年1月、中国・北京が高濃度のPM2.5で覆われる様子がニュース等で繰り返し放映され、日本への影響や健康被害などが懸念された。この時初めて「PM2.5」という言葉が日本の一般市民の間にも浸透していったが、その際、一部のマスコミによる扇情的な報道やそれに伴う過剰な反応、また、日中関係の悪化を背景にした短絡的な中国加害者・日本被害者的な見方も相俟って、「PM2.5」という言葉が独り歩きし、正確な情報が伝わりにくい状況になってしまった感がある。
本書は、日本エアロゾル学会に所属する大気微粒子の18名の専門家が、25の代表的な疑問について、できるだけわかりやすい表現で回答・解説したものである。例えば、大気中の微粒子を2.5マイクロメートルで線引きしたのはなぜか、どのような気象条件や地理的要因によってPM2.5の濃度が高まるのか、行政の対応はどうなっているのかなど予備知識なしで容易に理解することが可能である。
また、執筆者の専門分野が気象・工学・医学・行政等多岐にわたっているため、PM2.5に関する幅広い知識が1冊に収められていることも本書の特徴の一つと言える。
本書を読めば、PM2.5を必要以上に恐れることなく、知らずに危険にさらされこともなく、適切に対処することができよう。PM2.5に関する幅広い情報を求める人や、いま一度冷静に情報を整理したい人などは、読んでおきたい一冊である。
【はしがき】
PM2.5を含むエアロゾルの大気中における生成・輸送・変質・沈着のプロセスとともに、その生態系や人間の健康に与える影響は非常に大きな環境問題です。日本エアロゾル学会ではこれまでも、大気エアロゾル、越境大気汚染を重要な問題と捉え、主要な研究課題の一つとしてきました。平成13〜17年度に遂行された文部科学省科学研究費補助金特定領域研究「東アジアにおけるエアロゾルの大気環境インパクト」(代表:笠原三紀夫京都大学教授)はこのような観点から初めて進められた先導的なプロジェクトでした。この後を受けた「東アジアにおけるエアロゾルの植物・人間系へのインパクト」(代表:畠山史郎)は新たに立ち上げられた文部科学省科学研究費補助金新学術領域研究の最初の研究課題の一つであり、平成20年11月〜25年3月に行われました。大気エアロゾルの問題を、理工学、医学生物学、社会学などを含めた多くの分野の研究者が共同して解明し、「エアロゾル環境学」を立ち上げるために開始された研究プロジェクトです。平成25年1〜3月に中国で端を発したPM2.5問題は、まさしくこの研究領域がその研究対象とした「東アジア」、「エアロゾル(PM2.5を含む微粒子)、「動態(長距離輸送=越境汚染、変質、沈着)」、「健康影響」などに関わった問題であり、本研究領域は先見的にその重要性を認識し、現象の解明、人や植物への影響の解明に取り組んできたものと言えます。ここでは日本エアロゾル学会が中心となって研究グループが構築されました。
平成25年1〜3月の中国における高濃度のPM2.5汚染は日本においても大きな社会問題となりました。中国における高濃度のPM2.5が日本にも飛来して、人々の影響に大きな影響を与えるのではないか、という不安がひろがり、またマスコミの論調もそれを助長するようなものであったため、最近の日中間の政治的な摩擦とも相まって、「中国加害者、日本被害者」のような構図ができあがっていったことは実に残念なことでありました。日本エアロゾル学会ではこのような誤解に基づいた不安などを払拭するため、学会のホームページに会長の声明と、専門家によるQ&Aを掲載して、広く国民に正しい状況の把握と過度な恐怖心にとらわれることのないよう、情報を提供したつもりです。
本書ではこのQ&Aをベースに、各専門家がより詳細に、とはいえ一般の人にも容易に理解できるように平易に解説を行ったものです。本書が多くの方の手に取られ、不必要な不安に駆られることがなくなることを切に願うものです。
2014年4月
日本エアロゾル学会会長
東京農工大学大学院農学研究院 教授
畠山史郎
【目次】
? PM2.5とは?
Q1 PM2.5とはそもそも何なのでしょうか?
Q2 PM2.5とはどんな物質ですか?
Q3 PM2.5の環境基準はどのようになっていますか?
Q4 PM2.5に関する情報はどこで得られますか?
Q5 PM2.5はどのような装置で測るのですか?
Q6 PM2.5の成分はどのように測定しますか?
? PM2.5の発生と輸送
Q7 PM2.5はどこから発生しているのでしょうか?
Q8 森林もPM2.5の発生源となると聞きましたが本当ですか?
Q9 北京で2013年1月に出現した非常に高い濃度のPM2.5が話題になっていますが、
汚染物質の発生量が急に増えたのでしょうか?
Q10 2013年1月の北京と同じような状況になったことは過去にもあったのでしょうか?
Q11 大陸で発生したPM2.5はどのように日本に運ばれてくるのでしょうか?
Q12 北京での高い濃度のPM2.5に対応して、日本での濃度が増えているのでしょうか?
Q13 平均より高い値や低い値がでやすい地形はありますか?
? PM2.5の影響と対策
Q14 PM2.5を吸入することによりどのような病気になるおそれがあるのですか?
Q15 PM2.5などの粒子状物質は植物に対して影響があるのでしょうか?
Q16 マスクでPM2.5粒子は捕れますか?
Q17 室内空気清浄機でPM2.5は捕れますか?
Q18 衣類、洗濯物などにはどのように付着しますか?
Q19 越境大気汚染問題を国際的に規制する京都議定書のようなものはありますか?
Q20 今回のようなPM2.5汚染の抜本的な対策はないのでしょうか?
Q21 日本の国や自治体はどのような対応や対策を行っていますか?
? 光化学スモッグ・黄砂・エアロゾル
Q22 光化学スモッグとPM2.5は関係あるのでしょうか?
Q23 PM2.5と同じく中国から飛んでくる黄砂とはどう違うのですか?
Q24 エアロゾルはどんな分野に関わっていますか?
Q25 エアロゾルは気候にも影響を与えていますか?
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