著者名: | 関根 博 監修/株式会社 日本海洋科学 著 |
ISBN: | 978-4-425-42391-0 |
発行年月日: | 2015/9/24 |
サイズ/頁数: | A5判 240頁 |
在庫状況: | 在庫僅少 |
価格 | ¥4,180円(税込) |
海の現場、船に実務、クルーの教育。確実に役立つテキストが欲しい方へ。
船長・航海士のグローバルスタンダード。
海事コンサルタントならではの、豊富な実務経験に基づく知見に、世界の動向をふまえたシンクタンクとしての考察を加えた画期的なテキストです。
・ポイント1
ISMコード時代のさまざまな航海基準、航法をまとめた、洋上からの最新情報。
・ポイント2
航海計画に始まり、BTM、ECDIS、ウェザールーティングまで“航海の現場”を横断的に整理。
【まえがき】より
1802年、米国のCapt.Bowditch は、航海のバイブルと言われている“American Practical Navigator” を出版したが、当書は現在でも多くの改訂がなされながら使用されている。
当書のまえがきの中に、次の言葉がある。
「航海は、盲目的に従うべき機械的なプロセスでは無い。“ 科学”(science)によってもたらされた技術は、航海“ 術”(art) の効果的な改善に使うことができるが、これは、十分な判断力と経験を有した博識ある人物が身近におり、得られた情報を正しく理解できた時のみ、可能となる」
このように、航海学はもともと自然科学的(数学的)なアプローチにより体系化されてきたが、近年では、安全運航の達成を目指すには、本書の中で多く示されるように、経験、判断、技巧といった社会科学的、すなわちart的アプローチが必要となっている。換言すれば、航海の成就にはヒューマンファクターの係りを見逃すことができず、ISMコードの発効(SMSマニュアルの作成)へと続くのである。
このような観点から本書名を、“ 実践航海術” とし、Bowditchの時代から現在にいたるまでの長い間、熟練の航海者達の経験や、そこから生まれた暗黙知として伝え得られてきた術(art)をここに紹介するものである。
内容については、現役の航海者にとっては既知のことが多いが、BTMやECDIS、あるいはウェザールーティングなど、現在ではまだ整理されていないものも含め、改めてここに紹介するものである。また、本書により航海の“ 現場” を想像していただき、これから海を目指す若者達の参考になれば、それは筆者の望外の喜びである。
2015年9月
関根 博
【目次】
第1章 航海計画
1-1 概要
1-1-1 航海計画作成の目的
1-1-2 航海計画作成にあたり考慮すべき事項
1-2 航海計画作成手順
1-3 航海計画の評価
1-4 航海計画作成
1-4-1 概要
1-4-2 海図への記載
1-4-3 航海計画表と航海計画概要図
1-4-4 パラレルインデックス
1-4-5 No-Go Area等
1-5 航海計画の実行
1-6 監視
1-6-1 概要
1-6-2 船位監視
1-6-3 評価
1-6-4 航海計画のファイリング
第2章 ブリッジ・チーム・マネジメント
2-1 ブリッジ・チーム・マネジメント
2-1-1 BTMの目的
2-1-2 BTMの効果
2-2 BTMの実施
2-2-1 船橋組織
2-2-2 チーム環境
2-2-3 当直配置/疲労対策
2-2-4 ワッチレベル
2-2-5 各ワッチレベルにおける船橋チームの職務
2-2-6 状況認識とエラーマネジメント
2-2-7 コミュニケーション
2-2-8 BTM訓練
2-3 我が国におけるBTM訓練
2-3-1 我が国におけるBRM/BTM 訓練の歴史
2-3-2 Capt.A.J.Swiftによる講演
2-3-3 我が国におけるBRM/BTM訓練の現状
2-4 BTM事例研究 ? Exxon Valdez座礁事故
2-4-1 事故概要
2-4-2 証言
2-4-3 エラーチェーン分析
2-4-4 参考:米国国家運輸安全委員会(NTSB)調査報告書
第3章 船橋における手順と安全航行
3-1 見張り
3-1-1 良好な見張りの維持
3-1-2 専従見張員
3-1-3 当直航海士による単独見張り
3-2 当直交代
3-2-1 当直交代に関する注意事項
3-2-2 引継ぎ事項
3-3 操舵手
3-4 余裕水深
3-4-1 概要
3-4-2 船体沈下(Squat)
3-5 衝突予防に関する一般事項
3-5-1 COLREGの遵守
3-5-2 避航操船の一般的注意
3-5-3 安全な速度
3-5-4 衝突予防の具体対策例
3-6 ECDIS
3-6-1 概要
3-6-2 ECDISの搭載・訓練に関する法的要件
3-6-3 電子海図の主な種類
3-6-4 ECDISデータの表示
3-6-5 基本的な航海計画
3-6-6 航路計画
3-6-7 航行監視
3-6-8 電子海図のアップデート
3-6-9 警報と警告表示
3-6-10 バックアップシステム
3-6-11 過信の危険性
3-6-12 ポートステートコントロールにおけるECDISの検査
3-6-13 ECDISと航海当直
3-7 VDR/S-VDR
3-7-1 概要
3-7-2 VDRの回収と関連情報
3-8 ウイリアムソン・ターン
3-9 ウェザールーティング(最適航路選定)
3-9-1 ウェザールーティングの定義
3-9-2 ウェザールーティングの実行方法
3-9-3 ウェザールーティングの要素技術
3-9-4 ウェザールーティングの進化
第4章 船長および航海士の職務と職責
4-1 船長の職務と職責
4-1-1 概要
4-1-2 船長の職務
4-1-3 スタンディングオーダーと命令簿
4-1-4 航海監査
4-1-5 緊急時の対応
4-2 当直航海士の職務と職責
4-2-1 当直維持
4-2-2 航海の実施
4-2-3 GMDSS
4-3 船長昇橋要請
4-3-1 船長の昇橋を必要とする場合
4-3-2 当直航海士の心構え
第5章 各種航海
5-1 大洋航海
5-2 沿岸および船舶輻輳海域における航海
5-2-1 沿岸航海
5-2-2 船舶輻輳海域における航海
5-3 視界制限時における航海
5-4 荒天航海
5-4-1 荒天航海の注意事項
5-4-2 港内における対応
5-4-3 荒天時における操船
5-4-4 熱帯低気圧付近での航法
5-4-5 ウェザールーティング(最適航路選定)
5-5 特別敏感海域および群島航路帯
5-5-1 特別敏感海域
5-5-2 群島航路帯
5-6 米国寄港
5-6-1 入出港前検査
5-6-2 OPA’ 90 労働時間
5-6-3 QI
5-6-4 クジラへの注意
第6章 入出港
6-1 水先人乗船
6-1-1 安全な水先業務のための原則
6-1-2 水先人の義務と責任
6-1-3 船長と水先人間の情報交換
6-1-4 水先海域における航行
6-1-5 水先人またはバースマスターの能力についての判断
6-1-6 離着岸
6-1-7 水先人乗船中の苦情または事故
6-2 入出港
6-2-1 入出港可能・不可能な状況
6-2-2 通常でない状況
6-2-3 出港前検査
6-3 タグボートの活用とその配置
6-4 岸壁および船体損傷
6-4-1 水先人の船橋チームへの参加
6-4-2 着岸操船への注意
6-5 ポータブル・パイロット・ユニット
6-5-1 PPUの特徴
6-5-2 経験と勘からの脱却
6-6 操船シミュレータと訓練
6-6-1 システム構成
6-6-2 模擬視界表示部の発展
6-6-3 CGI方式
6-6-4 操船シミュレータの種類
6-6-5 操船シミュレータ訓練
第7章 錨泊および守錨当直
7-1 概要
7-2 錨泊の準備
7-2-1 錨泊前のブリーフィング
7-2-2 使用錨の選択
7-2-3 錨鎖伸出量の決定
7-3 投錨中の注意事項
7-4 投錨方法
7-4-1 水深25メートル未満
7-4-2 水深25メートル以上
7-5 干満差のある港での錨泊
7-5-1 投錨
7-5-2 抜錨
7-6 緊急投錨
7-7 揚錨
7-8 航海中における錨の固縛
7-9 守錨当直
7-9-1 船位確認と見張り
7-9-2 保安
7-9-3 走錨に対する注意
7-10 錨泊中の荒天準備
7-10-1 走錨防止対策
7-10-2 走錨時の対応
7-11 揚錨機等故障時の緊急対応
7-11-1 錨鎖クイックリリース装置
7-11-2 錨および錨鎖の非常回収
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