著者名: | 春山利廣 著 |
ISBN: | 978-4-425-93121-7 |
発行年月日: | 2016/5/28 |
サイズ/頁数: | A5判 328頁 |
在庫状況: | 在庫有り |
価格 | ¥3,300円(税込) |
貿易実務や通関業務の仕事をしている人、現場で役立つスキルが身につく!
近年の貿易・通関業務はIT化が進み、PCの画面に従って業務を遂行すれば経験の浅い人でもそれなりにこなせるようになっています。しかし、ちょっとしたイレギュラーが発生するとうまく対応できずに想定外のミスが起きたり、取引先や輸送の現場のことを考えずに業務が進められるなどのトラブルは減っておらず、業界の悩みの種になっています。
本書は、これらのトラブルの原因は視野の狭さや基礎知識が身についていないことにあると捉え、「貿易」「輸送」「通関」の基礎知識を一貫して学べるように構成されたものです。本書を通読すれば、自分の業界のみならず取引先の事情もよく理解でき、無駄なミスをなくしてスムーズに業務を遂行できるよう配慮されています。また、ワンランク上の実務スペシャリストを目指すうえで必要となる知識をコラムで紹介しています。本書のタイトル通り、まさに「差がつく」ポイントであると言ええるでしょう。
貿易・輸送・通関実務の最前線に立つ人はもちろん、管理職レベルの人たちにとっても大局的に知識を整理するうえで示唆に富む一冊となっています。
【はじめに:あなたをスペシャリストに】より
本書は、日本の輸出入を支える「貿易」、「輸送」、「通関」の三分野に勤務する「深甚(新入社員及び異動による新人)」と「派遣社員」を対象にした講座である。「貿易」、「輸送」、「通関」は不可分の関係にあり、たとえば、「貿易」の担当者は「輸送」や「通関」と無関係に業務を遂行することはできない。本書は3つの分野を簡潔にまとめオールインワンの構成である。
輸出入は我々の日常生活に密着した存在である。近隣のスーパーマーケットには多数の輸入品が並んでいる。外地を旅行すれば、日本製品が町中にあふれている。輸出入の現場業務が「貿易」、「輸送」、「通関」である。この3つの分野の新人や派遣社員は、与えられたマニュアルに従えば担当業務を自然と処理できる仕組みになっている。しかし、「貿易」、「輸送」、「通関」に不測の事態はつきものであり、時として輸出入の「壁」になる。悪天候で船が遅延する、取引相手が倒産する、相手国の輸入規制が変わるなどである。
輸出入の「壁」が出現したときの対応が新人と派遣社員の課題である。出現した「壁」を傍観する者は組織の「コマ」となり、積極的に対応する者が「スペシャリスト」になる。積極的な対応とは専門家を使うことである。出現した「壁」に最も適した専門家を選択し、必要な情報を提供することが「壁」を早期に克服する解決策である。専門家とは、3つの分野の専門業者(商社、NVOCC、通関業者など)、及び読者の上司である。
積極的な対応を行うスペシャリストに必要なのは、不測の事態の発生原因を把握し対応策を選択する能力である。この能力は、「貿易」、「輸送」、「通関」の基礎知識を土台とする。本書を初めて手にする読者は大部の本と感じるかもしれない。その感覚こそスペシャリストになる第一歩である。他の新人や派遣社員と異なる存在こそスペシャリストである。本書に網羅した豊富な基礎知識に裏打ちされた“実務スペシャリスト”のみが緊急時の現場業務を管理できるのである。
“実務スペシャリスト”に到達した新人や派遣社員は、キャリアアップの目標として「真の専門家」を目指すべきである。たとえば「貿易の専門家」である。担当業務に関する知識と処理能力はだれにも負けない存在が目標である。しかし、一分野に特化しては真の専門家とはいえない。「貿易」、「輸送」、「通関」の最終目的は、輸出入を支障なく完了することである。輸出入の複雑な工程の一部を担う「専門家」は3つの分野の全工程に目配りできる存在でなければならない。本書の基礎知識は真の専門家に飛躍するスタート台になる。
本書は、新人と派遣社員を主な読者に設定したが、「貿易」、「輸送」、「通関」の三分野の中堅やベテランの使用に耐える構成である。長年の経験で蓄えた知識の体系化に役立つと信じる。
読者が、実務スペシャリストになり、我が国の輸出入に貢献すること切に願うものである。
平成28年5月
春山利廣
【目次】
第1章 貿易
1.貿易の形態
(1)直接貿易
(2)間接貿易
(3)仲介貿易(三国間貿易)
(4)並行輸入
(5)逆輸入
(6)委託加工貿易
(7)開発輸入とOEM
ココで差がつく!重量と容積
2.信用状取引の概要
(1)取引先の選定
(2)売買交渉
(3)信用調査
(4)売買契約書
(5)信用状の開設
(6)貨物の手配と保険契約
(7)輸出通関と船積み
(8)荷為替手形の作成と買取銀行による買取り
(9)荷為替手形の送付と銀行間の決済
(10)輸入通関と貨物の引取り
3.信用状と荷為替手形
(1)信用状
(2)荷為替手形
(3)信用状付き荷為替手形
(4)信用状なし荷為替手形
(5)信用状と荷為替手形を使用しない取引
4.インコタームズ
(1)インコタームズと貿易条件
(2)インコタームズ、海上運送約款、貨物海上保険
(3)インコタームズの11条件
ココで差がつく!仕訳
5.貿易代金の決済と為替
(1)現金払い
(2)為替の概要
(3)逆為替
(4)並為替
(5)ネッティング
(6)為替相場
(7)輸入金融
ココで差がつく!B/Lの発行
6.貿易に係る保険
(1)貨物海上保険
(2)貿易保険
(3)PL(Product Liability)保険
7.貿易に係る法令
(1)関税三法
(2)輸出貿易管理令と輸入貿易管理令
(3)輸出入に関連する国内法
第2章 輸送
1.輸出貨物の準備
(1)貨物明細
(2)納期
(3)納品場所
(4)梱包
(5)荷印
2.輸入貨物の準備
ココで差がつく!バン詰め
3.国内輸送
(1)輸送手段
(2)トラック輸送
(3)鉄道輸送
(4)海上輸送
(5)輸出貨物の国内輸送
(6)輸入貨物の国内輸送
4.国際輸送
(1)国際輸送の現状
(2)海上輸送
(3)航空輸送
(4)複合一貫輸送
ココで差がつく!輸送温度
5.輸出貨物の船積手配
(1)ブッキング
(2)シッピングインストラクション
(3)ドックレシート
(4)輸出通関
(5)船積通知(シッピングアドバイス)
6.輸入貨物の荷受手配
(1)船積通知の受領
(2)輸入通関
(3)荷受け
(4)貨物確認
ココで差がつく!庫内作業
7.国内輸送に係る保険
(1)輸出FOB保険
(2)運送業者貨物賠償責任保険(運送業者受託貨物賠償責任保険)
第3章 通関
1.通関業者
(1)通関業者の役割
(2)通関業者への指示
2.輸出通関の流れ
(1)輸出申告書の提出
(2)税関の審査
(3)輸出許可
(4)事後調査
ココで差がつく!部品輸出
3.輸入通関の流れ
(1)輸入申告書の提出
(2)税関の審査
(3)関税等の納付
(4)輸入許可
(5)事後調査
4.HSコード
(1)HSコードの概要
(2)関税率表の解釈に関する通則
5.課税価格
(1)課税価格とは
(2)原則的な課税価格の決定方法
(3)原則によらない課税価格の決定方法
(4)課税価格の決定の特例
ココで差がつく!予備品
6.関税率
(1)関税率の種類
(2)国定税率
(3)協定税率
(4)簡易税率
(5)税率の適用順位
7.特恵関税
(1)特恵関税の構成
(2)原産地の認定
(3)特定品目の原産地の認定基準
(4)原産地証明書と運送要件証明書
8.減免税の制度
(1)変質、損傷等の場合の減税及び戻し税
(2)加工または修繕のため輸出された貨物の減税
(3)無条件免税
(4)再輸入免税
(5)再輸出免税
(6)輸入時と同一状態で再輸出される場合の戻し税
(7)違約品等の再輸出または廃棄の場合の戻し税
(8)加工、組立のために輸出された貨物の減税
9.消費税と付帯税
(1)消費税等の納付
(2)付帯税
10.輸出してはならない貨物、輸入してはならない貨物
(1)輸出してはならない貨物
(2)輸入してはならない貨物
(3)疑義物品と認定手続き
ココで差がつく!象牙の輸入
11.輸出入通関の必要書類
(1)仕入書(インボイス)
(2)原産地証明書
(3)梱包明細書(パッキングリスト)
(4)その他の書類
12.輸出入通関に関する便利な制度
(1)NACCS
(2)延納制度
(3)事前教示
(4)評価申告書
(5)予備審査制度(予備申告)
(6)輸入許可前における貨物の引取り
(7)ATAカルネ
13.AEO制度
(1)AEO制度の概要
(2)輸出者とAEO制度
(3)輸入車とAEO制度
(4)製造者(メーカー)とAEO制度
(5)AEO制度の国際化
ココで差がつく!親子間取引
14.他法令
(1)他法令とは
(2)外為法と輸出貿易管理令、輸入貿易管理令
(3)輸出貿易管理令
(4)輸入貿易管理令
(5)外為法以外の主な他法令
第4章 輸出業務フローと輸入業務フロー
1.輸出業務フロー
(1)LCLの業務フロー
(2)FCLの業務フロー
ココで差がつく!トラック送り状
2.輸入業務フロー
(1)LCLの業務フロー
(2)FCLの業務フロー
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