設問式 船荷証券の実務的解説


978-4-425-31321-1
著者名:松井孝之・黒澤謙一郎 編著
ISBN:978-4-425-31321-1
発行年月日:2016/11/8
サイズ/頁数:A5判 392頁
在庫状況:在庫有り
価格¥4,950円(税込)
数量
船荷証券とは貿易における船積書類のひとつです。 船会社・NVOCCなど運送業者が発行し、貨物の引き受けを証明し、当該貨物受け取りの際の依拠とする。 英語ではBill of Lading 、B/Lと略します。 船積書類のうち最も重要な書類であるが、貨物や取引先との関係によってさまざまなタイプの船荷証券があるため複雑で理解が難しくなっています。
本書は、船荷証券のしくみや特徴を豊富な事例をもとに解説し、具体的にどのように取り扱えばよいのか海事ビジネスの現場で役立つように構成となっています。

【はしがき】より 本書は、外航の船荷証券をめぐる法律問題に関して実務家が実務家の視点で可能な限り解りやすく解説したものである。
本書は国際的な貿易において、船荷証券に関与するあらゆる実務担当者のために執筆されたものであり、その対象は、船会社、商社、メーカー、フレイトフォワーダー、銀行、ブローカー、保険会社、P & Iクラブなど実に多岐にわたる。
本書は、本邦の外航貨物に関して規定する国際海上物品運送法を中心として解説しているが、適宜、英国や米国の事例なども紹介している。なお、本書は共同執筆であるが、各執筆者間の内容の調整は行っていない。そこで、各執筆者の見解は、他の執筆者や編者の見解とは異なることも少なくないことはお断りさせていただく。
また、現在、わが国の海商法は改正作業が行われている。この改正作業の主な対象は内航であり、国際的な貿易実務に及ぼす影響は大きくない。ただし、影響する部分も若干は存在するわけであり、この点は、本書でも最低限のコメントを述べたが、読者の方には海商法の改正を見守っていただきたい。
最後になるが、多忙な日常業務の中で本書の完成に協力していただいた執筆者の皆さんに感謝申し上げたい。

平成28年9月
編者

【目次】
1.総論─船荷証券の機能・種類─
 設問1 船荷証券の法的機能[伊藤弐]
  Q 船荷証券(B/L)とは何か?
    船荷証券(B/L)とは
    B/L の3つの法的機能─少しだけ歴史を見てみよう
    B/L の法的性質
 設問2 船荷証券の分類[竹谷光成]
  Q 船荷証券(B/L)にはどのような種類のものがあるのか?
    荷受人の指定と譲渡の方法
    船積船荷証券と受取船荷証券
    Clean B/L とFoul B/L
    Master B/L とHouse B/L
    サレンダーB/L と海上運送状
    電子式船荷証券
    その他の種類
 設問3 船荷証券と傭船契約[小林拓人]
  Q1 船荷証券(B/L)と傭船契約はどのような関係にあるのか? 
    また、両者の優劣はどのように考えられているのか?
    B/L と運送契約との関係
    B/L 上の約款の効力
  Q2 傭船契約のB/L への摂取とは何か? 傭船契約を摂取するためには、どのような      
    要件を満たす必要があるか? 摂取する傭船契約に関してはどのような問題があるか?
    傭船契約の摂取とその目的
    摂取に関する要件
    摂取の可否に関する判断の流動性
    摂取する傭船契約側の諸問題  
 設問4 複合運送証券[赤塚寛]
  Q 複合運送B/L とは何か?
    複合運送B/L とは
    フレイト・フォワーダーとは何か。NVOCC とは何か
    複合運送B/L に関する法制はどうなっているか
    複合運送人の責任はどうなっているのか
    国際的規則,JIFFA 国際複合一貫輸送約款および商法改正中間試案

2.船荷証券に類似する運送書類・電子式船荷証券  設問5 サレンダーB/L[竹本みを]
  Q サレンダーB/L とは何か? サレンダーB/L には、どのような法的問題があるか?
    サレンダーB/L が誕生した背景
    サレンダーB/L の裁判例:サレンダーB/L とB/L の効力
    サレンダーB/L と運送契約上の権利
    サレンダーB/L を利用するにあたっての注意点
    他の代替手段はないのか
 設問6 海上運送状[赤塚寛]
  Q 海上運送状とは何か?
    定義
    登場の背景
    海上運送状はB/L と何が違うのか
    海上運送状には、どのような法が適用されるのか
 設問7 電子式船荷証券[竹谷光成]
  Q 電子式船荷証券(e−B/L)とは何か? これにより既存の法律関係はどう変容するのか?
    運送人がe−B/L を発行した場合にP&I保険でカバーされるか
    BIMCO Electronic Bill of Lading Clause とは何か
    ボレロとは何か
    ボレロはどのようにしてe−B/L の課題をクリアしたか
    e−B/L はどのように運用されているか 
    紙のB/L に比べてどのような利点があるか
    e−B/L を利用するとLOI は不要なのか
    e−B/L にはどのような難点があるか
    eesDOCS とは

3.船荷証券の発行・譲渡・変更・紛失  設問8 不定期船の船荷証券発行の実務[久下豊]
    はじめに
    実務の流れ
    おわりに
 設問9 コンテナ船の船荷証券発行の実務[松田直樹]
    はじめに
    B/L の構成について
    B/L 発行の実務について
    おわりに
 設問10 船荷証券の譲渡[手塚祥平]
  Q 船荷証券(B/L)は、どのように譲渡されるか?
    総論
    指図式船荷証券(order B/L)の譲渡方法
    記名式船荷証券(straight B/L)の譲渡方法
    無記名式船荷証券(bearers B/L)の譲渡方法
    B/L の裏書譲渡の方法
    B/L の最終所持人と裏書の連続
 設問11 Switch/Commingle/Combine B/L[阿部弘和]
  Q1 Switch B/L とは何か? Switch B/L を発行する際に注意すべき
    ポイントは何か?
    荷渡違い
    不実表示
    その他 
  Q2 Commingle B/L とは何か?
  Q3 Combine B/L とは何か?
 設問12 船荷証券の紛失[山本剛也]
  Q B/L を紛失した場合、どのような対応が求められるか?
    問題の所在
    実務的対応
    貨物引渡し後に残る問題
    B/L に基づく貨物引渡請求権/損害賠償請求権の時効/除斥期間/出訴期限
    公示催告・除権決定
    除権決定取得の要否
    保証状の返還

4.船荷証券上の記載  設問13 船荷証券の記載事項[濱田嘉秀]
  Q B/L には何が記載されなくてはならないか?
    はじめに─ B/L の構成
    法定記載事項と任意的記載事項とは何か
    法定記載事項において、具体的にどのような記載がされるのか
    任意的記載事項には、どのようなものがあるか
    記載に関して運送人が注意すべきことは何か
 設問14 船荷証券の日付[黒澤謙一郎]
  Q 傭船者からB/L の日付のバックデイトを求められた場合、それに応じてよいか?
 設問15 無故障船荷証券(Clean B/L)とは不知約款[伊藤洋平]
  Q 無故障船荷証券とは何か? 不知約款とは何か?
    故障付船荷証券・無故障船荷証券
    不知約款・不知文言
    補償状慣行とその有効性
    傭船契約下における無故障船荷証券の発行
 設問16 錆約款(Retla条項)[伊藤洋平]
  Q 錆約款(Retla 条項)とは何か?
 設問17 甲板積貨物[伊藤洋平]
  Q 甲板積貨物は,B/L 上、どのように記載されるべきか?
    甲板積禁止原則とは
    どのような記載があれば甲板積運送は許されるか
    どのような記載があれば免責特約が許されるか
    コンテナ貨物の甲板積運送
 設問18 船荷証券の不実記載[富田拓]
  Q B/L に不実記載があった場合、運送人はどのような責任を負うのか?
    問題の所在
    国際海上物品運送法9条
    ヘーグ・ヴィスビー・ルール
    国際海上物品運送法9条の要件・効果など
    不実記載のあるB/L を発行した運送人の責任の法的構成
    空券の場合に関する判例
    品違いの場合に関する判例
    運送人の損害賠償責任に関する考察
    国際海上物品運送法13 条の適用の有無
    不知約款・不知文言
    英国法における不知約款・不知文言

5.船荷証券の当事者  設問19 船荷証券における運送人[宮崎裕士]
  Q B/L における運送人とは何者か? 運送人はどのように特定されるか?
    運送人を特定するための手がかりとなる諸記載
    B/L 上の運送人を特定することの困難
    運送人の特定に関する主要な裁判例
    例外:航海傭船契約のもと発行されたB/L 上の運送人の特定
 設問20 船荷証券上の荷送人[伊藤弐]
  Q B/L に記載される荷送人は誰か?
    B/L 上に荷送人として記載されるのは誰か─ B/L の有効性との関係
    運送契約の当事者(運賃支払義務者)の特定とB/L 上の荷送人の記載との関係
 設問21 荷送人の義務と責任[伊藤弐]
  Q 荷送人は,運送人に対して、どのような義務や責任を負うか?
    荷送人の義務─3つの基本的な義務
    危険物の船積みに関する荷送人の義務と責任
    船荷証券約款上の義務違反とそれによる責任
    危険物の船積みに関する運送人の義務

6.船荷証券の裏面約款  設問22 共同海損約款・ニュージェイソン約款・双方過失衝突
   約款・ヒマラヤ約款[濱田嘉秀]
  Q1 共同海損約款とは何か?
    概要
    共同海損について
    ヨーク・アントワープ規則について
    共同海損の効果
    共同海損の手続
  Q2 ニュージェイソン約款とは何か?
    概要
    共同海損と過失
  Q3 双方過失衝突約款とは何か?
    概要
    日本における取扱い
  Q4 ヒマラヤ約款とは何か?
    概要
    なぜヒマラヤ約款と呼ばれるのか
    ヒマラヤ約款の有効性
    ヘーグ・ヴィスビー・ルールと国際海上物品運送法の規定
 設問23 至上約款[佐々木政明]
  Q1 至上約款とは何か? なぜ至上約款が置かれるのか?
    至上約款とは
    至上約款の目的
    各国の国内法によるヘーグ・ヴィスビー・ルール等の条約の変容
  Q2 至上約款に関してどのような問題があるのか?
    至上約款の問題点
  Q3 至上約款に関するチェックポイントは?
    至上約款のチェックポイント
 設問24 Liberty Clause[伊藤洋平]
  Q Liberty Clause(リバティ・クローズ)とは何か?
    アバンダン・クローズとは
    フラストレーションとは
    アバンダン・クローズの趣旨
    アバンダン・クローズの有効性
    日本法におけるアバンダン・クローズ
    離路約款(Deviation Clause)とは
    Quasi−deviation(準離路)
    日本法における離路
    日本法における離路約款の効力
 設問25 FIOST 条項[黒澤謙一郎]
  Q B/L におけるFIOST 条項とは何か?
    はじめに─ FIOST 条項の必要性
    FIOST 条項は有効か
    荷役責任を荷主に移転する明確な合意とは、どのようなものか
    FIOST 条項があれば、運送人は常に荷役責任を免れるのか
    FOIST条項によって、運送人は堪航性担保義務も免れることができるか
 設問26 裁判管轄条項・仲裁条項[宮崎裕士]
  Q B/L における裁判管轄条項や仲裁条項とは何か?
    B/L 上の裁判管轄条項
    B/L 上の仲裁条項

裁判管轄条項や仲裁条項の効力が問題になった裁判例
7.船荷証券の回収・貨物の引渡し
 設問27 船荷証券の回収[阿部弘和]
  Q1 B/L の呈示と運送人の引渡義務とはどのような関係にあるか?
  Q2 B/L はどのように回収されるか?
  Q3 予定された揚地以外での引渡しは、どのように処理が異なるか?
  Q4 貨物の引渡しはB/L と常に引き換えか?
  Q5 保証渡しの場合の問題点は?
 設問28 船荷証券なしの貨物引渡し[阿部弘和]
  Q1 B/L なしの貨物引渡しとは?
  Q2 LOI に基づく補償請求の可否は?
  Q3 保証渡しは拒めるのか?
  Q4 運送人としてLOI をもらう際の注意点は何か?
  Q5 運送人の責任額はどうなるか?
  Q6 運送人の責任の出訴期間はどうなるか?
  Q7 船主責任制限法の船舶先取特権の成否は?
  Q8 港湾当局への貨物の強制的引渡しの局面でも、運送人は責任を負うか?また,
     そうである場合、運送人としてはどのような内容の約款をB/L に挿入すれば免責
     されるか?
 設問29 船荷証券における荷受人の責任[宮崎裕士]
  Q1 荷受人とは何か?
  Q2 荷受人はどのように特定されるか?
     指図式船荷証券(Order B/L)
     記名式船荷証券(Straight B/L、Consigned B/L など)
     持参人式船荷証券(Bearer B/L)
  Q3 荷受人は法律上どのような義務を負うか?
     運賃などの諸費用の支払義務
     荷受人の運送品受領義務
     供託
     倉庫保管(Warehousing)
     任意処分
     競売
     処分費用の立替請求ができるか
 設問30 運送品等の撤去責任[山下真一郎]
  Q1 運送中のコンテナや材木などの貨物が航海中に船舶から流出し、海岸に打ち上げ
     られた。撤去する責任があるのは、運送人なのか、貨物の所有者である荷主なのか?
     2 つのポイント
     材木が日本の海岸に打ち上げられた場合
     コンテナが日本の海岸に打ち上げられた場合
     土地所有者が日本国や地方公共団体の場合
     適用法令の変化
  Q2 運送中のコンテナや材木などの貨物が航海中に船舶から流出し、海岸に打ち上げ
     られた。その後、土地所有者が打ち上げられた邪魔な材木やコンテナを撤去して
     別の場所で保管し、撤去費用や保管費用を請求してきた場合、これを支払う責任
     があるのは、運送人なのか、貨物の所有者である荷主か?
     ポイントは同じ日本の海岸に打ち上げられた場合
     海岸が日本公立地方団体の所有者である場合
  Q3 運送中のコンテナや材木等の貨物が航海中に船舶から流出し、海岸に打ち上げら
     れた。運送人が、材木やコンテナを現実に撤去したり、土地所有者へ撤去費用を
     支払った場合、船荷証券上の運送契約に基づいて、荷主へ損害賠償請求すること
     は可能か? 逆に、荷主が材木やコンテナを現実に撤去したり、土地所有者へ撤
     去費用を支払った場合、船荷証券上の運送契約に基づいて、運送人へ損害賠償請
     求することは可能か?
     2つのポイント
     運送人が荷主に対して請求する場合
     荷主が運送人に対して請求する場合

8.カーゴクレーム─運送人の責任─  設問31 運送人の責任の体系・カーゴクレームの体系[松井孝之]
  Q カーゴクレームにおいて運送人が責任を負うのは、どのような場合か?
    カーゴクレームに関する運送人の責任
    堪航能力担保義務とは
    貨物に関する注意義務とは
    航海過失免責あるいは火災免責とは
    国際海上物品運送法4条2項免責とは
    「運送中に貨物が滅失・損傷したこと」の証明の内容
    冷凍コンテナ貨物
 設問32 船荷証券上の運送の責任原因?─堪航能力担保義務[黒澤謙一郎]
  Q 堪航能力担保義務とは何か?
    不堪航とは何か
    船舶を航海に堪える状態におくこと(船体能力)とは、具体的に何か
    船員配乗させ、船舶を艤装し、需品を補給すること(運航能力)とは、具体的に何か
    船倉等を貨物運送に適する状態にすること(堪貨能力)とは、具体的に何か
    航海中に不堪航になっても、運送人には堪航性担保義務違反があるのか
    不堪航と損害との間に、因果関係はあるか
    不堪航の事実は、誰が証明しなければならないのか
    堪航性を担保する注意は、どうすれば尽くしたことになるのか
    船主は、誰の行為についてまで注意義務を負うのか
    堪航性担保義務違反は、運送人の責任・免責に関する国際海上物品運送法のその他の条
    項と、どう関係するのか
 設問33 船荷証券上の運送人の責任原因?─運送品に関する注意義務[黒澤謙一郎]
  Q 運送品に関する注意義務とは、具体的にどのようなものか?
    運送人は、どのようなサービスを提供する義務を負っているのか
    運送人は、誰がした作業の責任を負うのか
 設問34 運送品に関する注意義務の時間的範囲[黒澤謙一郎]
  Q 運送人は、いつの時点から貨物に責任を負うのか?
    運送人は、いつの時点から貨物に責任を負うのか
    船積作業の具体的にどの瞬間から、運送人は責任を負い始めるのか
    船積中の事故には、どのような法的問題があるのか
    陸揚後の貨物事故には、どのようなものがあるか
 設問35 運送人によるカーゴクレームに対する防御?─免責事由[黒澤謙一郎]
  Q 運送人が国際海上物品運送法3条2項で免責されるのは、どのような場面か?
    航行上の過失によって免責されるのは、具体的にどのような場面か
    船舶取扱いの過失によって免責されるのは、具体的にどのような場面か
    船舶火災によって免責されるのは、具体的にどのような場面か
 設問36 運送人によるカーゴクレームに対する防御?─説明責任軽減事由[黒澤謙一郎]
  Q 国際海上物品運送法4条は、何を規定しているのか?
    国際海上物品運送法4条2項の列挙事由には、どのようなものがあるか
    「海上その他可航水域に特有の危険」によって免責されるのは、どのような場面か
    「荷送人もしくは運送品の所有者、または、その使用する者の行為」によって免責されるのは,
    どのような場面か
    「運送品の特殊な性質、または隠れた欠陥」によって免責されるのは、どのような場面か
 設問37 運送人の損害賠償額の範囲・責任制限[竹本みを]
  Q B/L 上の運送人の責任に限度額はあるのか?
    賠償額の定型化(国際海上物品運送法12 条の2)
    責任制限(パッケージ/キロリミテーション)(国際海上物品運送法13条)
    損害賠償額の定型化およびまたは責任制限の規定が適用されない場合
 設問38 カーゴクレームにおける荷主の対応[吉田伸哉]
  Q カーゴクレームに関するに荷主の通知義務とは? カーゴクレームにおけるサーベイレポートの役割とは? 
     B/L上の運送人の荷主に対する責任に関する出訴期間の制限と期間の延長に対する実務上の留意点とは?
    カーゴクレームに関する荷主の通知義務
    サーベイレポート
    出訴期間の制限と期間延長に関する実務上の留意点
海事図書


書籍「設問式 船荷証券の実務的解説」を購入する

カテゴリー:海運・港湾 
本を出版したい方へ