著者名: | 山村洋行 著 |
ISBN: | 978-4-425-77201-8 |
発行年月日: | 2018/6/18 |
サイズ/頁数: | 四六判 196頁 |
在庫状況: | 在庫有り |
価格 | ¥1,980円(税込) |
艦艇や装備品(武器)にスポットライトを当てたり、紹介したムックや単行本は多数あるが、実任務や訓練の詳細についてまとめ上げたものはない。本書では、海上交通を守るために、海上自衛隊がどのように関わってきたのか、創設からの経緯、これまでの歴史や組織編成にも触れながら紹介する。航海中に行う訓練や海外における活動の舞台、帰港中の業務、また艦長としての使命や海上の安全を強く願うシーマンシップのあり方など、キャリア十分の元艦長だからこそ書ける海上自衛隊のありのままの姿。
【まえがき】より
本書「海を守る海上自衛隊―艦艇の活動―」を執筆するきっかけは、私が海上自衛官向けに編纂された「海上自衛官ダイアリー」(成山堂書店発行)を購入したことにあります。
この「ダイアリー」は資料がとても充実しているのですが、その中の「自衛艦乗員服務規則(抜粋)」に目が止まりました。「自衛艦乗員服務規則」は艦長、当直士官等自衛艦に乗り組む海上自衛官の服務の本旨などを規定していますが、「ダイアリー」の資料では「艦長」の項目が掲載されていませんでした。
当直士官等の職務については記載されているのに、艦の最高指揮官・最高責任者である「艦長」の項目が欠落していては資料が当直士官等の単なる手引書になってしまいます。このことに思いをいたし、僭越ながらも発行元の成山堂書店に資料「自衛艦乗員服務規則(抜粋)」に「艦長」の項目を追加掲載することが適当との意見を送付しました。成山堂書店には、さっそくこの意見を取り入れてもらい、翌年から資料「自衛艦乗員服務規則(抜粋)」に「艦長」の項目が追加掲載となったのです。
これが縁となり、成山堂書店の担当者と海上自衛隊の活動等に関する意見交換、情報交換を行うようになりました。
その後担当者から「海上交通の安全を守る」を主旨とした「海上自衛隊の艦艇(主として護衛艦)の活動・仕事に関することの概説」を「交通ブックスシリーズ」として発刊したい、と企画の相談がありました。同シリーズの「海を守る仕事」というテーマで書かれたものでは、海上保安庁の仕事を紹介した『海上保安庁 巡視船の活動』『海を守る 海上保安庁巡視船』が既刊としてありますが、海上自衛隊の艦艇の活動・仕事を紹介した書籍は見当たらず、これをぜひラインナップに加えたい、とのことでした。
私は、護衛艦4隻、練習艦1隻、輸送艦1隻、合計6隻の艦長、そして練習艦3隻編成の隊司令(第1練習隊司令)ならびに輸送艦2隻編成時の初代第1輸送隊司令を歴任しました。34 年間の海上自衛隊勤務期間のうち艦艇勤務が23 年、そのうち指揮官たる艦長、隊司令の勤務期間は約10 年でした。艦艇勤務者として長期にわたる海上勤務を経験し、幸運であったと思っています。
また、国防のため、海上交通の安全のために、貢献できたのではないかと密かに自負しています。
退官してすでに15 年余りが経ちました。現在は「NPO 法人平和と安全ネットワーク」事務局長として同法人運営の防衛・防災等安全保障関連情報を配信するウェブサイト「チャンネルNippon」に深く関わっており、2009(平成21)年から同サイトにおいて「艦長シリーズ」を執筆・掲載し、現在も配信を続けています。
海上自衛隊OB として、成山堂書店からのこの執筆依頼に対し感謝申し上げるとともに、海上交通の安全確保に大きく関わる海上自衛隊の艦艇部隊を広く紹介できる絶好の機会と捉え、主として艦長職にあった時の教訓等を中心に執筆しました。
なお、近年は自衛隊の活動、特に「弾道ミサイル発射対処」「災害派遣」の状況がマスコミで広く取り上げられていることから、これらの活動については多くの方が認識を深めていると考え、接する機会が少ない艦艇部隊が日頃行っている業務・活動に重点を置いています。
詰めも甘く、荒っぽい文章かもしれません。また、海上自衛隊の艦艇の仕事を「海上交通」という観点から紹介する難しさもあり、読者の皆様のご期待に沿うことができるか、はなはだ自信がありませんが精一杯筆を進めて参りました。
2018年5月
山村洋行
【目次】
第1章 海上自衛隊とは?
1 歴史
2 組織・編成
自衛隊の運用体制
自衛艦隊
地方隊
海上自衛隊の主要基地
3 仕事・任務
(1)海洋と日本
(2)海上防衛の特色
(3)海上自衛隊の仕事・任務とその変遷
1)“整備と訓練” の時代
2)“運用” の時代
ペルシャ湾への掃海部隊派遣
インド洋における補給支援活動
ソマリア沖海賊対処活動
第2章 艦艇の紹介
1 様々な艦艇
2 艦内の組織・編成
(1)艦内編成
(2)科編成・各科の所掌
砲雷科
船務科
航海科
機関科
補給科・衛生科
飛行科
(3)士官
(4)下士官・兵
(5)分隊編成
3 海上防衛に占める艦艇の役割と特色
(1)防衛的役割
1)国土・周辺海域の防衛
2)海上交通の安全確保
(2)警察的役割
(3)外交的役割
第3章 艦艇の業務・海上交通を守る
1 航海中の業務
(1)実任務
1)東チモール国際平和協力業務
2)遠洋練習航海
パルミラに向かう、第3戦速!
Fourteen k nots KASHIMA
(2)訓練
1)個人訓練
2)個艦訓練
安全航行のための基本的訓練
「NA VAL S HIP 」としての訓練
3)部隊訓練(各種戦訓練)
対潜水艦戦(Anti-Submar ine War far e:ASW)訓練
対空戦(Air War far e:AW)訓練
対水上戦(Surface War far e:SUW)訓練
4)射撃訓練・発射訓練
大砲・機関砲射撃訓練
ミサイル射撃訓練
短魚雷・ASROC 発射訓練
5)洋上補給訓練
6)戦闘訓練
(3)諸外国との共同訓練・親善訓練
2 停泊中の業務
(1)日課
(2)日例会報
気象報告
当直報告
各科長等士官からの報告
先任伍長からの報告
副長からの報告
艦長示達
(3)作業
1)整備作業
2)停泊訓練
3)訓育
4)体育
第4章 艦長
1 艦長への道
(1)幹部候補生時代
五省
スマートで目先が利いて几帳面負けじ魂これぞ船乗り
クラス
(2)初級士官時代
(3)中堅士官時代
2 そして、艦長 ―初めてわかる艦長の椅子の座り心地―
3 艦長
(1)自衛艦乗員服務規則
(2)艦長の権限と責任
(3)艦長の業務・仕事の具体例
出入港時の操艦
航海計画
針路、速力の変換
砲の発砲命令、魚雷の発射命令
避航
4 艦長勤務余話
(1)練習艦「かしま」艦長(平成8年度遠洋練習航海)
1)タイ王国バンコク入港
2)オーストラリア連邦アデレードでのこと
3)パプアニューギニア独立国ポートモレスビーでのこと
4)米海軍太平洋艦隊司令官の講話
Working Hard
部下より先にメシを食うな
(2)輸送艦「おおすみ」艦長
1)初代艦長の重み
2)輸送艦「おおすみ」の特殊性
3)余話:艦内神社と記念植樹
4)就役訓練―ただならぬLCAC 訓練―
補章 海上交通安全確保のためのSeamanship
1)操艦は「可」でよし 行船は「名人」であるべし
2)頭より速く艦(フネ)を走らすな
3)朝日(夕陽)とサングラス、夜航海とサングラス
4)慣れた航路も初航路
5)スマートで 目先が利いて 几帳面 負けじ魂 これぞ船乗り
6)謙虚さと注意深さ
この書籍の解説
海上自衛隊について、皆さんはどんなイメージを持っていますか?艦船ファンの方なら艦艇の見学イベントに行ったりして、好きな艦のある方もいるでしょう。また国内外への災害派遣や国際緊急援助隊活動などもよく報道で取り上げられています。「金曜日はカレーの日」で興味を持った方もいるかもしれませんね(陸、海、空の中で、海上自衛隊の食事が一番美味しいそうです)。
海に囲まれた日本は、海外との貿易の9割を海運に頼っています。漁業も重要な産業です。陸地に資源の少ない日本は、海を通じて得られる様々なものに頼らなければ立ち行かない国家です。
海上自衛隊は、その重要な海を様々な脅威から守る役割を担っています。海の安全を守る任務を遂行するため、日々どのような業務や訓練を行っているのでしょう?
今回ご紹介する『海を守る海上自衛隊 艦艇の活動』は、10年にわたり艦長を務めた大ベテランが、現役時代を振り返りながら海上自衛隊の仕事と訓練、艦長の役割についてまとめた本です。海上自衛隊の組織や構成、艦艇の役割、日常の訓練から戦闘訓練、補給訓練といった訓練の模様や、停泊中に家に帰ることを「上陸」と呼ぶ隊員の暮らし、艦長のこぼれ話など、経験豊かなOBならではの知識が満載です。
ファンの方も少し興味のある方も、海を守る人々の日常を覗いてみませんか。
この記事の著者
スタッフM:読書が好きなことはもちろん、読んだ本を要約することも趣味の一つ。趣味が講じて、コラムの担当に。
『海を守る海上自衛隊 艦艇の活動 交通ブックス221』はこんな方におすすめ!
- 海上自衛隊ファン
- 海上自衛官を目指している方
- 艦船ファン
『海を守る海上自衛隊 艦艇の活動 交通ブックス221』から抜粋して3つご紹介
『海を守る海上自衛隊 艦艇の活動』からいくつか抜粋してご紹介します。初めに海上自衛隊の歴史と基本、続いて艦艇とその業務を解説します。ここで、様々な任務や訓練の様子がわかります。続いて艦の最高責任者である艦長の仕事と、著者が体験したエピソードを紹介します。
艦艇と艦内組織
《様々な艦艇》
海上自衛隊の艦艇は「警備艦」と「補助艦」の二つに大別されます。これらは17の艦種に分類されています。
「警備艦」には護衛艦、潜水艦、掃海母艦、掃海艦、掃海艇などの機雷艦艇、ミサイル艇に代表される哨戒艦艇や輸送艦艇があり、海上作戦において機動的に運用される艦艇です。
「補助艦」は練習艦や練習潜水艦、訓練支援、海洋音響データの観測、南極観測支援など、「警備艦」の任務遂行を支える艦です。
護衛艦は、外洋における作戦の中心となる存在です。しかし、護衛艦のみで海上作戦は遂行できません。燃料や食糧等を海上で補給する補給艦、敵の機雷を除去し、艦艇や一般船舶の海上交通路の安全確保にも当たる掃海母艦、掃海艦、掃海艇等の機雷艦艇、日頃の訓練を支える訓練支援艦などとの結合が、海上作戦の遂行には必要不可欠です。
《艦内の組織》
艦種によって艦内の編成はそれぞれ異なります。例として、護衛艦の標準的な艦内編成を取り上げます。
トップが艦長、NO.2 は副長で、艦内は砲雷科、船務科、航海科、機関科、補給科・衛生科および飛行科の6セクションで編成されており、これを「科編成」といいます。戦闘においては各科が受持分担を遂行し、艦長の指揮の下一つのチームとなって戦闘力を発揮します。
1.砲雷科
砲、ミサイル、魚雷などの攻撃・防御兵器を所掌します。また、潜水艦を音波で捜索・探知するソーナーも受け持っています。これらを統合する戦闘指揮システムについても所掌します。
2.船務科
レーダー、電波探知装置などの捜索兵器、艦外との通信装置、情報処理装置を担当します。ヘリコプターによる作戦時は、ヘリコプターのコントロールにも従事します。
3.航海科
航海科は、艦が航行するにあたっての基本を担当します。海図の補正など海図の管理、操舵装置・舵、発光信号および旗りゅう信号など、他艦、船舶との視覚通信を担当します。
4.機関科
艦の動力装置であるエンジン、武器等の作動に必要な電力を供給する発電機を所掌します。
機関科の所掌でもう一つ重要な役割は「応急=ダメージコントロール」です。火災、浸水、戦闘における被害を極限抑えて艦を生存させていくという仕事を受け持ちます。
5.補給科・衛生科
補給科は物品の補給、給食その他を所掌します。艦の長期間行動にあっての楽しみは食事です。乗員のストレス軽減に、食事は大きな役割を果たしているのです。
また、艦艇には医者・医官が常時乗艦しているわけではありません。衛生兵が補給長の指示を受け、乗員の健康管理、軽度のけがの治療に当たっています。
6.飛行科
艦に搭載中のヘリコプターの飛行計画、整備などを所掌します。ヘリコプターの発艦、着艦に当たってコントロールを行います。
機関科がエンジンや発電機を担当するのは理解していましたが、ダメージコントロールを担当しているのは初めて知りました。しかし、船が多少の攻撃を受けても、エンジンと舵が生きていれば沈没は免れます。機関部はまさに「船の心臓」なのですね。私(担当M)は映画をよく観るので、今度戦艦が出てくる映画を観るときは機関部門に注目したいと思います。
洋上補給訓練
艦艇部隊が港湾などに停泊して補給を受けるのではなく、洋上で補給を受けることを「洋上補給」と呼びます。
洋上補給において艦艇部隊が補給を受けるものとしては、艦船用燃料(軽油)、航空機用燃料(JP-5:艦載ヘリコプター用燃料)弾薬、生糧品等食糧、真水および機器予備品等の物品などがあります。実際に燃料の補給を受けますので、訓練とはいえほとんどの場合は実動となります。
洋上補給計画は事前に次のようなことが示されます。
・補給を行う地点:補給艦と受給艦部隊が会合する地点(会合点、ランデブーポイント)
・補給開始(終了)時刻
・補給ステーション(補給艦装備の給油口等)
・燃料補給量
・補給順序
・補給針路・速力:補給進路は補給実施現場の海上模様をみて当日決定。補給速力は通常12ノットを使用
受給艦部隊と補給艦は、会合点到着以前から無線電話等により連絡を取り合い、補給針路を決定するとともに、準備が出来次第洋上補給を開始します。補給艦から輸送艦と護衛艦が補給を受ける場合を例に解説します。
まず、補給艦と受給艦部隊の輸送艦および護衛艦(補給を受ける艦)は準備隊形を作ります。2番目に待機する艦は、補給作業中の2つの艦から人が転落した場合に備える役割を持ちます。各艦の準備が完了したら、洋上補給の開始です。複数の艦艇が陣形を組んで行動する場合は、1つの艦が基準艦とならなくてはなりません。洋上補給の場合は、補給艦が基準艦となり作業を行います。
補給艦から輸送艦(このとき最初に補給を受ける艦)に対し「近接差し支えなし」の信号旗が掲揚されると、輸送艦は直ちに速力を12ノットから18ノットに増速し、補給艦の真横(正横)に向かいます。輸送艦は補給艦 の正横に並ぶ手前のある時点で、速力を12ノットに減じなくてはなりません。
受給艦は補給艦の正横に並んで航走しながら補給を受けますが、正横距離はおおよそ30~40メートルです。基準艦は針路、速力を一定にして航走、 手前の艦が針路、速力を調整します。
受給艦においては、艦長の命を受けた士官(通常は航海長)が操艦に当たります。補給艦の補給ステーションに受給艦の受給ステーションが限りなく真横に近くなるように、的確に艦を操ります。燃料補給と同時に、食糧補給や弾薬、物品等の補給も行います。受給艦と補給艦の間には、ワイヤーロープとこれに接続された燃料補給用ホースがわたされます。同時に艦首側も繋がれ、こちら側で食糧、物品等の補給を実施します。距離索・電話索も繋がれるので、両艦の艦橋同士が有線電話で話せるようになります。
補給中に他の船舶と遭遇し、避航しなければならない場合もあります。両艦は横に繋がったまま、有線電話で連絡を取り合いながら、同時に舵をとって針路を変えます。
また作戦行動中は、敵の脅威が予測されます。警戒態勢を維持しつつ作業を実施するので、深夜や荒天での洋上補給はより困難で、高いスキルが要求されます。
有事に備えた戦闘訓練も重要ですが、補給なしでは活動することはできません。海上自衛隊の補給艦は「不朽の自由作戦」で、インド洋において補給支援活動を行い、高い評価を受けました。繊細な操艦技術は、たゆまぬ訓練によって維持されているのです。
艦長の仕事
艦長は艦のトップです。部下の先頭に立って任務を完遂することが艦長の究極の仕事です。このため、明確な指揮に加え、的確に乗員を統率することが必須です。艦長には指揮能力と統率力が要求されます。預かっている艦を一つにまとめ上げることが必要なのです。
《艦長の権限と責任》
艦の任務遂行等に係る意思決定には、トップダウンとボトムアップがあります。海上自衛隊では部下教育の観点から、できるだけボトムアップとしています。時間的猶予がない場合は、トップダウンに切り替えます。いずれにしろ、最終決定は必ず艦長が下すこととなります。
艦長は強大な権限を持っていますが、この権限をはるかに凌駕する責任を負っていることを忘れてはなりません。「権限の行使」以前に「責任の遂行」が艦長には要求されるのです。
《艦長の業務仕事の具体例》
1.出入港時の操艦
出入港時は、乗組員総員が配置につき、艦長自らが号令を発し、艦を動かすことを基本としています。時々、部下教育の観点から科長に操艦を任せる場合もあります。
2.航海計画
艦が行動するにあたっては、航海計画の作成が必須です。海図に予定航路を書き入れ、針路を変更する航路交差点の通過時刻、各航程における速力(進出速力:SOA)等の案を航海長が作成します。
艦長は、航海長作成の案が「危険な浅瀬やブイなどを安全にかわすようになっているか」「SOAに無理はないか」などをチェックして決裁します。
3.針路、速力の変換
針路、速力の変換は艦長の令によって行います。様々な理由により、針路、速力を変換しなければならないことがあります。任務行動中は特に重要なことです。
通常は、艦長から操艦を委任された当直士官が判断し、艦長に針路、速力変換の許可を求め、これを艦長が承認します。
4.砲の発砲命令、魚雷の発射命令
発砲、発射は艦長の命令によります。敵の艦艇等に水上射撃を行う場合、艦長の命令があって初めて発砲します。艦長の命令なくして弾が出ることがあってはなりません。それがきっかけで本格的な紛争に発展することもあり得るのです。命令権者は艦長ただ一人です。
5.避航
海上における衝突予防は、海上衝突予防法に則ります。艦長は避航に関するポリシーを命令簿(艦橋命令簿)に記載、これを各士官に徹底させなければなりません。艦長は、十分余裕のある時期に避航のための処置を取ることを徹底しなければなりません。
著者は別の項で、「艦内で一番忙しいのは副長である」と述べていますが、艦内のすべての権限を持ち、すべての責任を負うのは艦長ひとりです。上で紹介した操艦のように実作業時を部下に任せる場合もあるのですが、やらせてみたら艦長より部下の方が上手かった、などということもあるようです。そこでゆったり構えるのも、艦長の度量の見せ所ですね。
『海を守る海上自衛隊 艦艇の活動 交通ブックス221』内容紹介まとめ
国内はもとより、海外での活動も増えてきた海上自衛隊。海上交通の安全を守るという観点から、艦艇の活動や訓練内容、艦長の仕事等を解説します。元艦長だからこそ書ける、任務や訓練の実際、隊員たちの日常の模様が満載です。
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海の安全を守る!海で安全を守る!3選
・
『海難救助のプロフェッショナル 海上保安庁特殊救難隊』
特に高度な知識・技術を必要とする「特殊海難」に対応する海上保安庁特殊救難隊。OBや現職に取材し、実際の海難出動事例や過酷な訓練の様子、責任とやりがいなどを、貴重な写真も交えて紹介しています。
・
『新訂 船舶安全学概論(改訂版)』
人はなぜミスをするのか?海難に遭ったときはどのように対処すればよいのか?工学・社会科学的な視点を交えながら、海上安全の基礎知識をまとめた、船舶運航を学ぶ人のためのテキストです。
・
『図解 海上衝突予防法 【11訂版】』
船舶の安全を守る「海上交通三法」。「海上衝突予防法」は、船舶交通の国際規則に準拠した国内法で、あらゆる船舶の航法や灯火・形象物、信号などを定めた法律です。
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