漁船保険の解説


978-4-425-84071-7
著者名:三宅哲夫・浅田賢一・菅原公章 共著
ISBN:978-4-425-84071-7
発行年月日:2018/10/28
サイズ/頁数:A5判 208頁
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価格¥3,300円(税込)
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2017年に日本漁船保険組合が設立されました。また、2016年には漁船損害等補償法が改正され、漁船保険制度の大改革が行われました。本書は刷新された漁船保険制度の内容を全般的に解説しています。

【はしがき】 2017年(平29)4月1日、全国45の漁船保険組合と漁船保険中央会が統合一元化され日本漁船保険組合が設立されました。漁船保険は、1937年(昭12)の漁船保険法の制定によって発足し、戦後の1952年(昭27)に漁船損害補償法が制定され、その後、数次にわたって改正が行なわれてきました。日本漁船保険組合の設立は、漁船保険制度にとっては、漁船保険法の制定、漁船損害補償法の制定に匹敵するような大改革となりました。本書は、この刷新された漁船保険制度の内容を全般的に解説したものです。
本書の旧版ともいうべき『漁船保険概説』が出版されたのは、1988年(昭63)の9月でした。当時は漁船船主責任保険や、漁船積荷保険が漁船損害等補償法に組み込まれるなど、漁船の総合的補償の時代が本格化してから間もない頃であり、この前年には漁船保険の加入漁船数は25万5,000隻を超えピークを迎えていました。その後、漁船保険をめぐる情勢は大きく変わりました。根拠法である漁船損害等補償法の数次にわたる改正があり、加入漁船数も16万7,000隻まで縮小し、漁業者の減少高齢化が深刻な事態になっています。また、商法の改正、保険法の制定など関連法令の改正も相次ぎました。
全国単一組合である日本漁船保険組合の発足を機会に、成山堂書店の小田口透氏から『漁船保険概説』を全面的に書き直して新しい漁船保険の解説書を執筆するよう提案がありました。これについては、とても一人でできるような仕事ではないので、日本漁船保険組合で長年実務に携わってきた浅田賢一常勤監事、菅原公章相談役と相談し、共著という形でお引受けすることといたしました。
本書は、保険の概念、制度の改革等を記述した「第1章 序論」、新組織の概要を説明した「第2章 組織」、漁船保険の保険契約並びに損害塡補を解説した「第3章 保険契約」及び「第4章 損害?補」、政府との再保険契約の内容を解説した「第5章 再保険」並びに「第6章 海外操業漁船損害補償事業」の6章から構成されております。
主として第1章を三宅が、第2章、第3章を浅田が、第4章から第6章までを菅原が執筆いたしました。また、日本漁船保険組合本所の福田審査部長、井上保険業務部次長、田中企画課長、町田漁船保険課長には全般にわたって助言をいただくとともに、原稿についてチェックしていただきました。また統計表、グラフ等の作成に当たっては日本漁船保険組合の佐藤雅子さん、末永智江さんにお世話になりました。ここに厚く御礼を申し上げます。
本書によって新しい時代を迎えた漁船保険について少しでもご理解を深めていただければ幸いです。

2018年9月
日本漁船保険組合
三宅哲夫
浅田賢一
菅原公章

【目次】
第1章 序 論
 第1節 保険の概念と漁船保険
  1.危険に対処する方策
  2.貯蓄と保険
  3.保険の仕組み
  4.保険の分類と漁船保険の位置
  5.公保険としての漁船保険の意義
 第2節 保険の機能と漁船保険
  1.保険の直接的機能
  2.保険の間接的機能
 第3節 漁船保険の沿革
  1.海上保険の起源
  2.漁船保険の沿革
 第4節 漁船保険の種類
  1.主な保険用語
  2.漁船損害等補償法の目的
  3.漁船保険組合が取り扱う保険の種類

第2章 組 織  第1節 機 構
 第2節 漁船保険組合
  1.概 括
  2.組合員
  3.機 関
  4.財務及び会計
 第3節 政 府
  1.再保険事業
  2.監 督
 第4節 保険料の負担と補助金の交付
  1.義務加入
  2.集団加入
  3.一般会計から支出される補助金

第3章 保険契約  第1節 総 論
  1.保険関係規定の構成
  2.保険契約についての共通規定
  3.通知義務
  4.保険関係の無効・失効・解除
  5.保険関係の存続・承継
  6.保険料の払戻し
 第2節 普通損害保険
  1.保険料
  2.保険期間
  3.漁具特約
 第3節 満期保険
  1.保険の目的の制限
  2.保険価額不変更
  3.保険料
  4.解除、失効
  5.払戻金(法113 条の16 第1 項、令15 条、則38 条、約46 条1 項) 91
 第4節 漁船船主責任保険
  1.被保険者たる資格
  2.引受の制限
  3.?補すべき損害の区分(?補区分)
  4.?補区分の組み合せ
  5.保険金額(法118 条、約別表)
  6.保険金額の変更
  7.保険期間
  8.保険金期間の延長
  9.保険関係の消滅
  10.危険の消滅による保険料の払戻し
 第5節 漁船乗組船主保険
  1.被保険者たる資格
  2.引受の制限
  3.保険料の支払い
  4.保険金額
  5.保険期間
  6.保険関係の消滅
  7.危険の消滅による保険料の払戻し
 第6節 漁船積荷保険
  1.被保険者たる資格
  2.保険の目的
  3.保険金額
  4.保険金額の変更
  5.保険期間
  6.保険期間の延長
  7.保険関係の消滅
  8.危険の消滅による保険料の払戻し
  9.保険料の計算方法
 第7節 戦乱等特約
 第8節 任意保険
  1.転載積荷保険
  2.プレジャーボート責任保険
 第9節 漁船船主責任保険に関する法令及び条約
  1.船舶油濁損害賠償保障法
  2.米国油濁法
  3.バンカー条約及びナイロビ条約

第4章 損害塡補  第1節 総 論
  1.損害の種類
  2.損害塡補の原則
  3.免 責
  4.船舶所有者等の責任の制限
 第2節 漁船保険
  1.組合の?補責任
  2.全損の塡補
  3.分損の塡補
  4.特定分損の塡補
  5.救助費
  6.特別救助費
  7.戦乱等特約の塡補
  8.漁具特約の塡補
  9.保険金請求の手続き
 第3節 漁船船主責任保険
  1.組合の?補責任
  2.他の保険契約との関係
  3.責任制限法等との関係
  4.事故発生の場合の措置
  5.姉妹船条項
  6.保険金の直接支払いの特例
  7.?補区分
   7−1 基本損害
   7−2 人命損害
   7−3 乗客損害
 第4節 漁船乗組船主保険
 第5節 漁船積荷保険
  1.組合の塡補責任
  2.最大積載数量を超えた場合の損害?補
  3.塡補される損害と費用の種類
  4.損害の塡補額の算定
  5.保険代位
 第6節 任意保険
  1.プレジャーボート責任保険
  2.転載積荷保険

第5章 再保険  第1節 再保険の意義
 第2節  漁船保険、漁船船主責任保険及び漁船積荷保険における再保険の仕組み
  1.保険種目と再保険の仕組み
  2.政府再保険
  3.民間再保険

第6章 海外操業漁船損害補償事業  海外操業漁船損害補償事業
  1.制度の概要
  2.救済事業の内容


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