著者名: | 石原伸志・松岡正仁 共著 |
ISBN: | 978-4-425-93191-0 |
発行年月日: | 2019/8/18 |
サイズ/頁数: | A5判 244頁 |
在庫状況: | 在庫有り |
価格 | ¥3,630円(税込) |
輸出・輸入を行ううえで必要な通関の実務知識を集約!
● 関連法規に沿って通関の制度や仕組みを解説
● 輸出入の申告手続の流れと必要な作業、提出書類を把握する
● 近年の国際協定に伴う通関手続を紹介
貿易取引において、貨物の輸出・輸入の意思表示を行う通関は専門的な知識や経験等が求められます。
本書は、輸出入を行ううえで重要な通関手続の実務知識を1 冊にまとめました。国際間取引の進展など最新情報も詳細に解説しているので初めて通関実務を学ぶ方だけでなく、実務者の方にとっても役立つ情報が満載です。
【はじめに】
周囲を海に囲まれているわが国が輸出入取引を行う場合の輸送方法は、海上または航空輸送に限られています。
さらに、昨今日系企業の海外への生産拠点移転等によるグローバル化に伴い、わが国の貿易取引は従来の原材料を輸入して加工した工業製品の輸出国型からアジア等を中心とした地域からの工業製品の輸入国型へと大きく変換しています。
現に2018年度のわが国の貿易額を見ると、輸出81兆4787億円(対前年比4.1%)、輸入82兆7033億円(対前年比9.7%)で貿易額は増大の一途を辿る一方、その取引額の約50% はアジア地域となっています。
ところで、この貿易取引の対象物には固体、液体、気体のような有形財と知的財産権のような無形財があります。本書の対象であるモノを輸出入しようとする時に必ず必要な行為である「通関」の対象になっているのは有形財のみであり、無形財は通関の対象とはなっていません。この通関の有無という行為が、国内取引と貿易取引の最大の違いといえます。
すなわち、国際間でモノを往来させるには、何等の制約も受けず自由に行えるということではなく、また、通関という行為はモノ本来の往来に携わる当事国が制定する国内法あるいは国際条約や二国間協定などに則した手続や規則に拠ったものでなければなりません。そして、これらが遵守されていることを確認するために、書類審査やモノの検査を行い、問題がなければ許可され、初めて輸出入が可能となるわけですが、この一連の行政行為を行うのが「税関」であり、その輸出入の意思表示を行う申告手続が「通関手続」です。
ところで、最近の通関関連の主なトピックスを思いつくままに列挙してみると、
2006年 国際標準に則ったAEO 制度の導入
2011年 輸出貨物の保税地域搬入前申告への見直し
2014年 コンテナー貨物の本船輸出港出港24時間前報告(JP24)制度の導入
2017年 第6次NACCS稼働と申告官署の自由化
2018年 TPP11発効
2019年 日EU・EPA の発効
中国・タイ・マレーシア・ブラジル・メキシコの特恵関税対象国からの卒業
中国・台湾とのAEO 相互認証の発効等
があり、この他に、国際物流の円滑化と国内外の情勢等を見ながら、関税暫定措置法や関税定率法の一部改訂などが行われており、現在通関手続が過渡期にあるのがよく分かります。
しかし、実務界に目をやると、通関手続きに関する雑誌や新聞等による報道、セミナー・講習会等での部分的な解説や説明はあるものの全体を解説した著書がないのが実態だと思われます。
そこで、今般実務界で通関士として40年近い豊富な経験と知識を有する松岡正仁氏と共同で、輸出入を行ううえで重要な通関手続に関する理論と実践マニュアルを本書『輸出入通関実務マニュアル』としてまとめてみました。
本書は初めて通関手続を学ぶ方だけでなく、日頃から輸出入取引や通関業務に従事されている実務家の方々にとっても十分参考になるよう、2019年4月1日までの最新情報と具体的な帳票類等も盛り込みながら、分かりやすく詳細に解説してあります。本書が関係各位の知識と業務の向上の一助となれば望外の喜びです。
なお、日常業務の中では「事業者(通関事業者、運送事業者等)」と「業者(通関業者、運送業者等)」の二通りの言い方があります。関税法等の法令では業者が使われていますが、本書では業者と事業者を同意語として読みやすいと思われる事業者に統一してあります。
最後に、本書出版に際して、ご尽力いただいた株式会社成山堂書店の方々に深謝いたします。
2019年7 月吉日
石原伸志
【目次】
はじめに
第1章 輸出入通関概論
1.1 通関とは何か
1.2 通関手続が必要な貨物
1.3 関税・通関に関する法令
1.3.1 関税・通関関係法
1.3.2 関税法等の改正
1.4 税関の役割と仕組み
1.4.1 税関の役割
1.4.2 税関の仕組み
1.5 税関の今後の方向
1.5.1 関係各省庁(厚生労働省や農林水産省等)とNACCS を利用した
税関手続のシングルウィンドウ化の推進
1.5.2 通関関係書類の電子化、ペーパーレス化の促進
1.5.3 AEO 通関制度の推進
1.5.4 輸入通関時間
1.6 保税非違と通関非違
1.6.1 保税非違
1.6.2 通関非違
1.7 通関事業者と通関業務
第2章 輸出通関の実務
2.1 輸出の定義
2.2 輸出申告の時期
2.3 輸出申告前の準備
2.3.1 輸出許可を要する場合
2.3.2 輸出承認の取得を要する場合
2.3.3 輸出申告で必要な書類
2.3.4 輸出申告前に必要な作業(HS コードへの分類)
2.4 輸出申告手続
2.4.1 輸出申告手続の原則(保税地域への貨物の搬入)
2.4.2 特定輸出申告制度
2.4.3 特定委託輸出申告制度(AEO 通関制度)
2.5 NACCS による輸出申告手続
一口メモ AEO の輸出通関済コンテナ(貨物)運送に関する消費税の扱い
2.6 輸出の特例
2.7 輸出手続の変更
2.8 輸入免税を前提にした輸出
2.9 自社通関
2.10 輸出免税と消費税の還付
第3章 輸入通関の手続
3.1 輸入の定義
3.2 申告前の準備
3.2.1 搬入届
3.2.2 保税地域
3.2.3 輸入通関場所による違い
3.2.4 輸入承認および確認制度
3.2.5 無為替で貨物を輸入するとき
3.2.6 輸入承認を要しない貨物の輸入
3.2.7 輸入の特例(輸入令第14条)
3.2.8 輸入承認と通関の関係
3.3 輸入通関手続の主要規定
第4章 輸入申告
4.1 輸入申告
4.1.1 提出書類
4.1.2 輸入申告価格
4.1.3 関税確定方式
4.1.4 事後調査と犯則調査
4.1.5 輸入審査
4.1.6 輸入検査
4.1.7 関税率
4.1.8 関税割当制度
4.1.9 関税額の計算方法および納期限等
4.1.10 NACCS による輸入申告手続
4.1.11 輸入通関手続の方法
4.1.12 知的財産権侵害物品に係る輸入通関
4.1.13 保税転売
4.1.14 動・植物および食品等の通関手続
4.1.15 収容・領置・差し押え
4.1.16 再輸入手続
4.1.17 違約品の輸出
4.2 輸入申告時のトラブル事例
第5章 特恵関税と原産地規則
5.1 特恵関税とは何か
5.2 特恵関税の対象品目
5.3 経済連携協定との関係
5.4 原産地規則
5.4.1 原産地規則とは
5.4.2 特恵関税の原産地規則(原産地認定基準)
5.4.3 非特恵原産地規則(WTO 協定税率の原産地基準)
5.4.4 自国関与品の特例扱い
5.4.5 累積原産品の特例扱い
5.5 特恵関税を巡るトラブル事例
5.6 日EU・EPA およびTPP11の特恵関税制度
5.6.1 日EU・EPA およびTPP11の原産地証明の概要
5.6.2 日EU・EPA の原産地証明
5.6.3 TPP11の原産地証明
第6章 その他の輸出入通関
6.1 関税暫定措置法第8条(暫8)
6.2 国際郵便による輸出入通関(郵便通関)
6.3 旅具通関
付録 帳票類
インボイス/パッキングリスト/輸出許可書/輸入実行関税率表/輸入許可通知書/GPS Form A
参考文献
索 引
書籍「輸出入通関実務マニュアル 貿易実務シリーズ2」を購入する
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