著者名: | 日本郵船LNG船運航研究会 著 |
ISBN: | 978-4-425-32153-7 |
発行年月日: | 2020/7/28 |
サイズ/頁数: | A5判 240頁 |
在庫状況: | 在庫有り |
価格 | ¥4,180円(税込) |
世界的な需要の高まりからLNG船は今後も大量に運航されるでしょう。本書では,LNG船の入出港,荷役,航海,エンジニアリングを通してそのしくみと実際の業務を紹介します。
今回は,LNG燃料船に関し全面改訂し,LNG燃料船の現状や今後の動向などについて,より広く解説しました。現状や,普及と課題についても触れました。運航実務者,海運会社の業務内容を理解したい人は必携です。
【2訂版まえがき】
本書は2015年に第1回改訂を実施したが,それから5年が過ぎた現在,環境問題や船舶燃料の多様化などを背景に,LNG船の需要は相変わらず高くなっている。一方LNG 燃料船は,SOX規制が2020年に開始されたことに伴い,造船,運航,燃料補給インフラ作りと,本格的な検討が世界レベルで行われるようになった。このような状況の中で,新情報や付加情報も多くあり,読者にこれらを提供することが必要と考え,ここに2訂版として上梓するものである。
特に今回は,LNG燃料船に関し全面改訂し,LNG燃料船の現状や今後の動向などについて,より広く解説をした。
LNG船ビジネスは,LNG供給者や基地関係者,電力会社,ガス会社,船会社等の限られたプレーヤーからなるLNGチェーンで構築されていたが,LNG 燃料船の出現により,さらに多くのステークホルダーが関係するようになり,LNGチェーンも大きくそして多様化してきた。
そういった中で,より多くのステークオルダーに本書が少しでも参考になれば幸いである。
2020年6月
日本郵船LNG船運航研究会
【目次】
第1章 LNGの理解と輸送ビジネスChapter1 LNG Ships & LNG Business
1-1 LNG の基礎知識
1.1.1 天然ガスとは
1.1.2 LNG とは
1 LNG の主な特性
2 タンク圧力と液温度との関係
1.1.3 天然ガスの利用
1 天然ガスの埋蔵量,生産
2 天然ガスの消費
1-2 LNG 船の種類と構造
1.2.1 種類
1 船型
2 貨物格納方式
3 推進システム
1.2.2 設計と構造
1 基本設計
2 強度設計
3 貨物関係設計
4 機関関係設計
1.2.3 機器
1 カーゴポンプ
2 コンプレッサー
3 ヒーター,ベーパライザー
4 液面計
5 自動制御監視装置
1.2.4 構想から建造まで
1 引合い
2 契約
3 図面承認
4 建造監督
5 機器立会い検査
1.2.5 安全対策
1 防火,消防
2 衝突強度
1-3 運航・管理形態
1.3.1 世界規模のLNG プロジェクト
1 LNG プロジェクトの特徴
2 LNG チェーン
3 現在稼動中のLNG プロジェクト
4 FSRU
1.3.2 運航の特徴
1 プロジェクト専用船
2 運航スケジュール
3 LNG 船の推進燃料
1.3.3 契約形態
1 運送に関わる形態と契約
2 定期傭船契約
3 船舶管理契約
1.3.4 管理形態
1 船主
2 船舶管理者
3 傭船者
1.3.5 LNG 基地
1 積地基地
2 揚地基地
1.3.6 オイルメジャー対応
1 OCIMF SIRE
2 OCIMF TMSA
第2章 LNG 船の運航実務Chapter2 LNG Ships Operation
2-1 運航の概要
2.1.1 航海
1 積荷航海
2 空荷航海
2.1.2 荷役
1 積荷
2 揚荷
2.1.3 貨物管理
2.1.4 機関管理
1 LNG 船の主機関の型式
2 LNG 船のタービンプラント管理
2-2 就航準備
2.2.1 艤装と艤装員業務
1 造船所への艤装員派遣スキーム
2 艤装員を派遣する時期
3 業務内容
2.2.2 海上試運転およびガステスト
1 海上試運転
2 ガステスト
2.2.3 就航および引渡し準備
1 必要証書
2 旗国審査
3 ISM コード,ISPS コードおよびMLC 初期審査準備
4 船用品の積込み
5 予備部品の受領
6 燃料油の積込み
7 潤滑油の積込み
8 食糧の積込み
2-3 運航サイクルと荷役の実務
2.3.1 運航サイクル
2.3.2 バラスト(空荷)航海
1 積荷開始条件
2 ヒール
3 タンククールダウン作業
4 航海中のBOG の有効利用
5 その他入港準備
2.3. 積荷作業
1 着桟後の積荷準備作業
2 前尺
3 基地との接続部分の冷却;アームクールダウン
4 積荷
5 積込流量の増加;レートアップ
6 定常荷役
7 積込流量の減少;レートダウン
8 積切り
9 荷役後手仕舞い
10 後尺
11 荷役後ミーティング
2.3.4 積荷航海
1 液温管理
2 揚地入港前準備作業
3 配管装置の冷却;ラインクールダウン
2.3.5 揚荷作業
1 着桟後の揚荷準備作業
2 前尺
3 基地との接続部分の冷却;アームクールダウン
4 揚荷
5 揚荷流量の増加;レートアップ
6 定常荷役
7 揚荷流量の減少;レートダウン
8 揚切り
9 荷役後手仕舞い
10 後尺
11 荷役後ミーティング
2.3.6 メンブレン船における荷役オペレーション
1 タンクの冷却作業
2 コファダムのヒーティング
3 タンク防熱部へのN2供給
4 入渠前の揚切り作業
2.3.7 入渠前作業
1 残りのLNG を引き出す;ストリッピング
2 加熱する;ウォーミング
3 爆発防止のイナートガス注入;イナーティング
4 空気を送り込む;エアレーティング
5 ガス検査
2.3.8 出渠後作業
1 除湿する;ドライング
2 爆発防止のイナートガス注入;イナーティング
3 LNG でイナートガスを排出する;パージング
4 冷却する;クールダウン
2-4 LNG 船固有の特殊作業(緊急対応作業)
2.4.1 ワンタンクガスフリー作業
2.4.2 圧力揚荷
2.4.3 非常用カーゴポンプ設置
2.4.4 船舶間移送
2.4.5 LNG の非常排出
2-5 入渠の手順と工程
2.5.1 入渠準備
1 メンテナンス・マニュアルと工事内容
2 修繕注文書作成
3 入渠準備
4 入渠中の安全対策
5 入渠工事に関する注意事項
6 海外の造船所への入渠
2.5.2 入渠地選定
1 入渠仕様書の作成
2 入渠工事見積り依頼
3 船主手配工事および部品の見積り依頼
4 造船所の選定
2.5.3 工事実施計画
1 工事計画の策定
2 本船との最終確認
2.5.4 入渠工事内容
1 工程表
2 入渠工事の流れ
2.5.5 検査及び関係規則
1 証書の種類
2 検査の種類と時期
3 税関検査について
2.5.6 出渠
1 工程管理
2 最終船底検査
3 ドライドックへの漲水
4 プラントアップ開始
5 主機係留運転・海上運転
第3章 LNG船の安全管理と船員育成Chapter3 Safety Management&Personnel
3-1 安全管理
3.1.1 船舶管理とISM コード
1 ISO9000シリーズ
2 海運業界の動き
3 ISM コードの採択
4 ISM コード
5 SMS マニュアル
6 管理会社の組織例
7 会社監督の役割
8 リスクアセスメント
3.1.2 船舶保安と国際保安規則ISPS コード
1 ISPS コード新設
2 日本の動き
3 船舶・港湾施設の対応
4 海運会社の対応
3.1.3 荷役作業における安全管理
1 荷役諸規定
2 船陸間のインターフェイス
3 係留力計算
4 安全荷役のマネジメント;CCR−TM
3.1.4 航海における安全管理
1 電子海図情報表示装置
2 航海計画
3 航海当直
4 特殊航海
5 操練
3.1.5 LNG 船の地震・津波対策
3-2 LNG 船員の育成
3.2.1 LNG 船員
1 世界のLNG 船員
2 LNG 船員のグローバル化
3 クルーマトリックス
3.2.2 教育訓練
1 操船シミュレーターによる訓練
2 荷役シミュレーター訓練
3 LNG 船タービンプラント研修
4 基本教育習熟訓練
5 海上防災センターでの消火訓練
3.2.3 海上労働条約
3-3 LNG 船と海難
3.3.1 LNG 船の海難事故
3.3.2 LNG の流出特性
1 陸上での流出
2 海上への流出
3 ガスの拡散
4 燃焼(火災)
3.3.3 Sandia Report
1 Sandia Report とは
2 目的と評価
3 安全性分析
4 LNG 貨物タンク損傷分析
5 LNG 漏洩と燃焼・拡散に関する分析
6 リスクマネジメントガイドライン
7 安全性分析の結論
第4章 LNG船の将来Chapter4 LNG Ships in the Future
4-1 LNG マーケット
4.1.1 LNG の需給バランス
4.1.2 LNG 基地の今後
1 LNG 液化基地
2 LNG 受入基地
3 洋上施設
4 1トレーンあたりの生産能力の拡大
4.1.3 新造LNG 船の急増
4-2 LNG ビジネスの動向
4.2.1 LNG 取引の変化
4.2.2 LNG 船の運用形態の変化
4.2.3 日本における輸送契約とユーティリティ企業(電力,ガス会社)
4.2.4 日本のLNG 船運航規模
4-3 次世代のLNG 船
4.3.1 今後の推進機関
1 DFD 機関
2 ディーゼル機関+再液化装置
3 ガスタービン
4 高効率蒸気タービン
5 再熱サイクル蒸気タービン(リヒートタービン)
6 低速ガス焚きディーゼル機関(ME−GI)
7 蒸気タービンとガス機関の併用(STaGE)
4.3.2 今後の貨物格納システム
1 モス球形ストレッチタンクシステム
2 KOGAS システム
4.3.3 氷海対応
1 耐氷構造
2 寒冷地仕様
4.3.4 LNG 船の未来
第5章 LNGで走る「LNG 燃料船」Chapter5 LNG Fuelled Ship
5-1 LNG 燃料船の出現
5.1.1 環境問題
5.1.2 LNG 燃料船の台頭
5-2 LNG 燃料船の現状
5.2.1 世界の現状
5.2.2 国内の現状
1 日本の取組み
2 日本のLNG 燃料船
5-3 LNG バンカリング
5.3.1 LNG バンカリングの方法
5.3.2 LNG バンカリング方式毎の特徴
1 Ship to Ship 方式LNG バンカリング
2 Shore to Ship 方式LNG バンカリング
3 Truck to Ship 方式LNG バンカリング
4 Potable Tank 方式LNG バンカリング
5.3.3 LNG バンカリングの基準等
5-4 LNG 燃料船の普及に向けた課題
5.4.1 LNG 燃料化の経済性
5.4.2 LNG 燃料供給インフラ
5.4.3 LNG 燃料船に乗り組む船員
5.4.4 LNG 燃料機関からのメタンスリップ
カテゴリー: