気象・海洋の書籍紹介

氷海に閉ざされた1296時間−第12次南極越冬隊の記録− 極地研ライブラリー

山田知充 編

第12次隊を乗せた観測船「ふじ」は、往路40日間、復路14日間にわたり、氷海に閉じ込められた状態・ビセットを経験。これは、歴代の南極観測隊の中で最も長い時間、氷海に閉じ込められた記録となっており、それによって昭和基地に滞在できた日数は1年にも満たなかった。また、氷情が悪く「ふじ」は昭和基地沿岸まで辿り着けず、接岸することができなかったため、大型の観測機器等を輸送することができず、隊員たちは最低限の物資で基地の建設や観測、調査を行わなければならなかった。本書は、このような特異な体験をした第12次観測隊の越冬記録である。 【序文】 ……

酸性雨から越境大気汚染へ 気象ブックス036

藤田慎一 著

 酸性雨は古くて新しい環境問題。100年以上前にヨーロッパの工業都市で見つかったこの問題は、やがて国内にとどまらず、欧米では国境を越えた環境問題として認識されるようになりました。  日本の酸性雨も例外ではありません。世界の関心は現在、生産活動の進展が著しい東アジアの越境大気汚染に集まっています。本書では、酸性雨100年の歴史を振り返り、日本と東アジアの現況を分析するとともに、将来のあり方について述べています。 【はじめに】  1970年代から1990年代にかけて、「酸性雨」という用語が日本のマスメディアを賑わした。  レモ……

日本南極探検隊長 白瀬矗 極地研ライブラリー

井上正鉄 著

鎖国の閉塞した時代醒めやまない明治初頭。齢11の少年が未知の世界への探検を志した。その夢を50歳でかなえた。しかも世界的な探検である。この探検の成功が日本南極地域観測隊の礎となった。 本書は白瀬の生い立ちから南極探検を成し遂げるまで、そしてその探検の成果、今に続く白瀬の功績をまとめています。 【はじめに】より  今から100年前の明治43(1910)年11月28日、大隈重信南極探検後援会長をはじめ、大勢の民衆の手で盛大な送別式が挙行され、一隻の小さな機帆船が東京芝浦埠頭を離れた。船の名前は「開南丸」、白瀬矗(しらせ・のぶ)を……

バイオロギング−「ペンギン目線」の動物行動学− 極地研ライブラリー

内藤靖彦・佐藤克文・高橋晃周・渡辺佑基 共著

動物たちは水の中で何をしているのだろう? 動物たちに超小型の記録計を取り付けて、画像や動物たちの体の動きをとらえることで、動物たちの日常が見えてくる! ■これってホント?  ペンギンやアザラシも泳ぎの燃費を気にしていた!  アザラシの親は、子どもに泳ぎを教えていた!  アザラシは、息を吐いてから海に潜っていた!  ペンギンは海の中を滑空していた!  浮かぶペンギン、沈むアザラシ、では魚は? さぁ、動物たちの背中に乗って、海の中をのぞいてみよう! ※「バイオロギング」とは、動物に計測器を装着して遠隔観測を行うこ……

未踏の南極ドームを探る−内陸雪原の13カ月− 極地研ライブラリー

上田(あげた) 豊 著

最低気温・氷点下60℃の雪中基地「みずほ」での冬ごもり、未踏のドーム頂上の発見、4000キロの探査行。知られざる南極大陸最前線のドラマを克明に描き、極地ならではのロマンをさわやかに伝える。 1984年11月から1986年3月まで、第26次南極観測越冬隊に参加した著者の、13ヵ月にわたる南極滞在中の詳細な活動記録。一か所に留まるのではなく、内陸の前進拠点を作りながら「みずほ基地」で5名だけの5ヵ月の越冬をし、これまで未踏だった南極で2番目に高いドームを探し出した後、新たなルートで帰還するまでを紹介。 【著者からのことば】 ……

南極で隕石をさがす 極地研ライブラリー

小島秀康 著

日本は世界一、二を争う南極隕石の保有大国であり、そのほとんどを国立極地研究所が保管している。本書は、極地研の隕石担当責任者、言うなれば日本を代表する隕石研究者が、自分の同行した南極観測を中心に隕石探査活動の記録をまとめている。 【はじめに】より  日本の南極観測隊が南極で発見した隕石の数は、これまでにおよそ1万6800個である。米国、中国など外国隊の成果を合わせると、南極で発見された隕石の数は、4万8000個に及ぶ。これらを南極隕石と呼ぶ。南極以外の場所で発見された隕石数が約1万2000個であることを考えると、いかに多くの隕石……

アイスコア−地球環境のタイムカプセル− 極地研ライブラリー

藤井理行・本山秀明 編著

古きをたずね新しきを知る。 地球環境の将来を予測する上で、古気候古環境の情報は、極めて重要である。 極地の氷床(アイスコア)は、時間分解能が高いこと、過去数十万年前以前まで連続して遡れること、昔の空気そのものを含む環境シグナルを保存していることなどから、地球環境のタイムカプセルとも言える優れた記録媒体である。 本書は、気鋭の研究者達が、我が国のアイスコア研究の成果を分かりやすくまとめた最初の書物である。 【はじめに】より  温故知新。地球環境の将来を予測する上で、古気候古環境の情報は、極めて重要である。人工衛星を含む観測……

フィールドで学ぶ気象学 気象ブックス034

土器屋 由紀子・森島 済 共著

 屋外での気象の観測を通じて、フィールドワークの魅力を伝える一冊。事例として、大学の社会学部の授業で行った、千葉県流山市のヒートアイランド調査と富士登山実習の様子を紹介。  必ずしも気象を専門としない学生たちが、フィールド調査の手法を身につけていく過程が臨場感たっぷりに生き生きと描かれています。また、豊富に収録されている写真からはフィールド調査の楽しさを感じることができます。現場に出て自ら体験することの大切さは、折に触れて言われることだが、本書はそれを改めて認識させてくれます。学生や学校の先生はもとより、自治体や企業など何らかの形で……

地球温暖化時代の異常気象 気象ブックス033

吉野正敏

記録的な猛暑、厳しい寒波・頻発する集中豪雨。温暖化により異常気象は増えるのか?世界の異常気象を原因・被害・対策を含め完全網羅。  ・異常気象を、人間とのかかわりの視点からまとめたもの。  ・これまでに世界で起きた人間社会に関係のある異常気象を網羅。  ・単なる報告にとどまらず、世界を舞台に活躍してきた著者ならではの独自の分析が加えてある。  ・日本ではあまり知られていない地域(外国)の異常気象も紹介。  ・これ一冊で異常気象のすべてが分かる内容。教科書・副読本としても使えるよう体系だてている。 【まえがき】より 20……

地表面の熱収支

ミハイル・イ・ブディコ 著/内嶋 善兵衛 訳

地球気候を決める最も大きな因子である太陽エネルギーについて、地球の表面における熱収支を計算しています。それまで定性的に扱っていた気候学を定量的な物理気候学へと変革した最初の書。 地球に届く太陽エネルギーをどのように計算したらよいか、そしてそれが気候とどのような関係にあるかを、簡単な数式を交えて説明。 【本書の詳しい内容】  地球に入射する太陽エネルギーは、地球上の自然現象および人間活動を支える最も重要なエネルギー源です。それゆえ、地球表面での太陽エネルギーの動きは、気象学から始まって地理学・海洋学・生物学・農学そしてエネルギ……
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