成山堂書店の書籍紹介
捕鯨の文化人類学
岸上伸啓 著
クジラは食料資源か聖獣か。日本と世界各地の捕鯨や捕鯨文化の歴史と現状を、19人のスペシャリストがさまざまな視点から比較検討する。
【はじめに】より
クジラは日本人にとって食料資源であり、産業資源であった。正確には、現在でもそうである。しかし、日本では商業捕鯨モラトリアム(一時中止)が始まった1988年以降、国内における鯨肉など鯨産物の流通量が低下し、価格も上昇したため、消費量が激減した。さらに、捕鯨を担う砲手や解体者の数も減り、その存続が危ぶまれている。現在では、イルカやクジラは、水族館や近海での鑑賞の対象になりつつある。わ……
酸性雨から越境大気汚染へ 気象ブックス036
藤田慎一 著
酸性雨は古くて新しい環境問題。100年以上前にヨーロッパの工業都市で見つかったこの問題は、やがて国内にとどまらず、欧米では国境を越えた環境問題として認識されるようになりました。
日本の酸性雨も例外ではありません。世界の関心は現在、生産活動の進展が著しい東アジアの越境大気汚染に集まっています。本書では、酸性雨100年の歴史を振り返り、日本と東アジアの現況を分析するとともに、将来のあり方について述べています。
【はじめに】
1970年代から1990年代にかけて、「酸性雨」という用語が日本のマスメディアを賑わした。
レモ……
LCCが拓く航空市場−格安航空会社の成長戦略−
杉山純子 著/松前真二 監修
なぜ海外においてLCCが成長しているのか、日本ではなぜ新規航空会社が成長できずにいたのかについてその要因を考察し、今後我が国で海外のようにLCCが成長する可能性やそのために必要な要件を探る。
【はじめに】より 980円、780円、250円。 2011年後半から2012年にかけて販売された国内航空券の片道運賃である。座席数限定のキャンペーン運賃ではあるものの、低運賃を武器にした国産のLCC(Low Cost Carrier:格安航空会社)の設立が相次ぎ、いよいよLCC後進国といわれた日本におけるLCC時代の到来を感じる。日本の空が大き……
日本南極探検隊長 白瀬矗 極地研ライブラリー
井上正鉄 著
鎖国の閉塞した時代醒めやまない明治初頭。齢11の少年が未知の世界への探検を志した。その夢を50歳でかなえた。しかも世界的な探検である。この探検の成功が日本南極地域観測隊の礎となった。
本書は白瀬の生い立ちから南極探検を成し遂げるまで、そしてその探検の成果、今に続く白瀬の功績をまとめています。
【はじめに】より
今から100年前の明治43(1910)年11月28日、大隈重信南極探検後援会長をはじめ、大勢の民衆の手で盛大な送別式が挙行され、一隻の小さな機帆船が東京芝浦埠頭を離れた。船の名前は「開南丸」、白瀬矗(しらせ・のぶ)を……
バイオロギング−「ペンギン目線」の動物行動学− 極地研ライブラリー
内藤靖彦・佐藤克文・高橋晃周・渡辺佑基 共著
動物たちは水の中で何をしているのだろう?
動物たちに超小型の記録計を取り付けて、画像や動物たちの体の動きをとらえることで、動物たちの日常が見えてくる!
■これってホント?
ペンギンやアザラシも泳ぎの燃費を気にしていた!
アザラシの親は、子どもに泳ぎを教えていた!
アザラシは、息を吐いてから海に潜っていた!
ペンギンは海の中を滑空していた!
浮かぶペンギン、沈むアザラシ、では魚は?
さぁ、動物たちの背中に乗って、海の中をのぞいてみよう!
※「バイオロギング」とは、動物に計測器を装着して遠隔観測を行うこ……
船体抵抗と推進 船舶海洋工学シリーズ2
鈴木和夫・川村隆文・佐々木 紀幸 共著
船体に働く流体抵抗とそれに打ち勝って進むための推進性能についてわかりやすく解説。基礎知識に関するコラムや例題を多く収録。
【船舶海洋工学シリーズとは】
船舶海洋技術に関わる科目ごとに、技術者が基本的に学んでおく必要がある事柄を記した基本図書。
公益社団法人 日本船舶海洋工学会能力開発センター教科書編纂委員会 監修 全12巻発行予定。
【まえがき】より
本書は、船体に働く流体抵抗とそれに打ち勝って進むために必要な船舶の推進性能に関するテキストです。船舶について学ぶ学部学生や大学院生、あるいは海事関係企業で船舶の性能設計や基本設計に……
船舶算法と復原性 船舶海洋工学シリーズ1
池田良穂・古川芳孝・片山 徹・勝井辰博・村井基彦・山口 悟 共著
船舶の基本設計や性能設計に関する定義や用語を丁寧に紹介し、基本的な計算方法を多くの例題と演習を交え解説。
【船舶海洋工学シリーズとは】
船舶海洋技術に関わる科目ごとに、技術者が基本的に学んでおく必要がある事柄を記した基本図書。
公益社団法人 日本船舶海洋工学会能力開発センター教科書編纂委員会 監修 全12巻発行予定。
【まえがき】より
船は巨大で複雑なシステムで、それを構成する部品点数は10万を下らないといわれている。自動車の約3万点に比べても、その多さが際立っている。こうした複雑なシステムが、海に浮き、たとえ大荒……
さけ・ますふ化場−15年間の体験記−
田中哲彦 著
さけ・ますふ化事業黎明期の貴重な体験をまとめた書!
戦後日本の水産業を支えてきたさけ・ますふ化放流事業。第一線の現場で試行錯誤してきた著者による、ふ化場全盛期の貴重な体験記録。
【プロローグ】より
私がさけ・ますふ化場に入った昭和38年(1963年)は、北海道でサケ・マスのふ化放流事業が本格的に始まった年(明治21年)から数えて75年目に当たっていた。また、国が法律に基づいて自らふ化放流事業を行うことになった昭和27年から10年が過ぎた年であった。この長い歴史に加え、国が実施した新体制も整い、また、高度経済成長を背景とした予算措置の……
東日本大震災 そのとき海上保安官は
(財)海上保安協会 編著/海上保安庁 協力
【東日本大震災対応10ヵ月の記録】
昨年3月11日の大震災発生から今年1月11日までの10ヵ月に海上保安庁が投入した巡視船艇は1万1634隻、航空機3628機、特殊救難隊員1256人、機動救難士826人、機動防除隊は410人(いずれも延べ人数)。
漂流船艇や孤立家屋などから救助したのは360人(ヘリコプターによる吊り上げ279人、巡視艇など81人)。行方不明者捜索では391遺体を揚収。うち潜水捜索にには延べ5266人の潜水士などを投入、延べ936回(891ヵ所)で潜水し50体を揚収した。漂流船は506隻を発見して生存者の有無を確認……
世界鉄道探検記3−辺境をたずねて−
秋山芳弘 著
ラオス、イスラムの古都バクー(アゼルバイジャン)、リトアニア、エジプトなど、各国の鉄道事情などを専門家ならではの視点で紹介。鉄道旅行の醍醐味である、現地の雰囲気や人とのふれあいを、様々なエピソードを交えて綴る。
【まえがきー辺境鉄道の魅力ー】より
21世紀に入り、世界的な環境意識の高まりとともに、大量・高速輸送が可能で、環境負荷とエネルギー消費が少ない特性を持つ鉄道が、再び脚光を浴びています。つまり、「鉄道復権」(鉄道ルネッサンス)の時代の到来とも言えます。その背景には、化石エネルギーの使用料節減や都市交通環境の改善、大都市間……