タグ「気象ブックス」 一覧
酸性雨から越境大気汚染へ 気象ブックス036
酸性雨は古くて新しい環境問題。100年以上前にヨーロッパの工業都市で見つかったこの問題は、やがて国内にとどまらず、欧米では国境を越えた環境問題として認識されるようになりました。
日本の酸性雨も例外ではありません。世界の関心は現在、生産活動の進展が著しい東アジアの越境大気汚染に集まっています。本書では、酸性雨100年の歴史を振り返り、日本と東アジアの現況を分析するとともに、将来のあり方について述べています。
【はじめに】
1970年代から1990年代にかけて、「酸性雨」という用語が日本のマスメディアを賑わした。
レモンのように酸っぱい雨が降ると、眼がチカチカする。ナイロンストッキングに穴があく。アサガオが脱色する。スギが枯れる。コンクリートが危ない。頭髪は? このような日常生活に密着した説明が頻繁に聞かれた。中国では空中塊とよばれることも伝えられた。だが2000年代になる……
フィールドで学ぶ気象学 気象ブックス034
屋外での気象の観測を通じて、フィールドワークの魅力を伝える一冊。事例として、大学の社会学部の授業で行った、千葉県流山市のヒートアイランド調査と富士登山実習の様子を紹介。
必ずしも気象を専門としない学生たちが、フィールド調査の手法を身につけていく過程が臨場感たっぷりに生き生きと描かれています。また、豊富に収録されている写真からはフィールド調査の楽しさを感じることができます。現場に出て自ら体験することの大切さは、折に触れて言われることだが、本書はそれを改めて認識させてくれます。学生や学校の先生はもとより、自治体や企業など何らかの形でフィールド調査にかかわる人にお薦めの内容です。
【目次】
第1章 地域環境調査と熱環境観測
1 地域環境マップを作ろう
(1)環境と教育の方向性
(2)沿線開発と失われる緑
(3)環境情報を取得する
a 流域で考えてみよ……
地球温暖化時代の異常気象 気象ブックス033
記録的な猛暑、厳しい寒波・頻発する集中豪雨。温暖化により異常気象は増えるのか?世界の異常気象を原因・被害・対策を含め完全網羅。
・異常気象を、人間とのかかわりの視点からまとめたもの。
・これまでに世界で起きた人間社会に関係のある異常気象を網羅。
・単なる報告にとどまらず、世界を舞台に活躍してきた著者ならではの独自の分析が加えてある。
・日本ではあまり知られていない地域(外国)の異常気象も紹介。
・これ一冊で異常気象のすべてが分かる内容。教科書・副読本としても使えるよう体系だてている。
【まえがき】より
2010年の夏、世界各地は猛暑に見舞われた。日本ばかりでなく、中国でも、ヨーロッパの諸国でも、5月ころから、その兆しがあり、6月には記録的な高温が東ヨーロッパの国ぐにを襲った。テレビ・ラジオ・新聞は異常な暑さの写真や記事を連日、報道した。その内容は数年前と比較する……
飛行機と気象 気象ブックス035
現在の進化したジェット旅客機は、飛行の障害になる現象でも「強の領域」さえ回避していれば安全です。ところが、この領域はごく小さいので、飛行前にこの場所を予報することはできないから飛行中に回避するしかない。もちろん、飛行計画の段階では、気象庁の作成した予想天気図を用いて障害現象に遭遇する確率の小さいコースを選定していますが、それから後の飛行中の回避はパイロットに任されています。
本書は航空気象の経験が長く、航空事故調査委員会での気象解析に携わってきた著者が、ジェット旅客機にとって障害になる現象を解説したものです。これらは一般の人が悪い天気と感じるものとはかなり異なっています。たとえば、低高度でごく短い時間に飛行機の受ける風(ベクトル)が急変すると揚力の急変となり、墜落事故も起きています。これはウインドシヤーと呼ばれ最も恐ろしいものの一つです。障害現象を回避する技術は数値予報の精度が向上した……
海洋気象台と神戸コレクション−歴史を生き抜いた海洋観測資料− 気象ブックス031
幕末動乱期?
それは、今日の海洋気象業務の礎が築かれた時代でもあった。
幕末の箱館戦争では、無敵をほこっていた幕府艦隊が自然の猛威の前に、闘わずして敗れ去りました。自然の恐ろしさを知り、海洋観測の必要性を痛感した勝海舟は、船舶からの海上気象観測の報告を義務づけました。
明治期には、中央気象台(現在の気象庁)で行われていました。気象観測データ収集・調査業務は、大正期には神戸海洋気象台にすべての業務が集約され、中央気象台保管の膨大なデータも神戸海洋気象台に集められていました。
関東大震災や神戸空襲など、焼失の危険にさらされながらも、生き抜いてきた海洋観測資料「神戸コレクション」は、他国には類を見ない、長期間にわたる海洋観測の集大成です。近年、地球温暖化研究の基礎資料として活用されており、その価値はさらに高まっています。
本書は、海洋気象台がどのように生まれ育ち、「神戸コレクショ……
畜産と気象 気象ブックス030
日本人は、平均すると1人あたり卵を年間330個消費しています。この数はアメリカ人やフランス人より50個以上多く、日本は世界でも有数の卵消費大国であるといいます。ウシ、ブタ、ニワトリといった肉類の消費も増加傾向にあり、今や私たちの食卓に欠かせないものとなっています。
しかし、家畜の多くは、比較的冷涼で乾燥した西洋の風土ではぐくまれたもので、高温多湿な日本で飼育するためには、気象条件の面で、さまざまな問題がありました。
この本は、多くの気象要素のなかでも最も基本的な感覚である暑さ寒さに、家畜がどう対応し、行動しているのかをまとめたものです。私たちヒトと類似する点があり、また異なっている点もあり、たいへん興味深い内容です。
近年話題になっている家畜と地球温暖化との関係についても触れられています。一般にはあまりよく知られていない、暑さ寒さに対する家畜の本音を知ることができる一冊です。
……
ココが知りたい地球温暖化2 気象ブックス032
大好評「気象ブックス026 ココが知りたい地球温暖化」の第2弾。温暖化の科学・影響・対策についての25の質問に、専門家がわかりやすく答えています。地球温暖化の謎を解くカギがこの本の中にあります。
【はじめに】より
情報が多く出回っていれば、それでものごとがよくわかるというものではありません。たとえば、地球温暖化をめぐる問題がそうです。テレビや新聞の報道、書店の店頭で見かける温暖化関連の書籍の数は、いまやかなりの数に上っています。それらの中には「進行する温暖化の危機」といったものがあるかと思えば、「二酸化炭素温暖化説は間違い」といった調子のものもあります。いったいどれが本当なのかわからなくなってしまいます。
私たちは国立環境研究所で地球温暖化に関する研究に携わっていますが、2006年11月に、毎月発行しているニュースレター「地球環境研究センター」で、Q&A「ココが知りたい温暖化……
ヒートアイランドと都市緑化 気象ブックス029
本書は、日本の首都であり、最大の都市である東京を舞台に気象環境の実態、みどりによる環境改善効果、そしてみどり以外の様々な技術も含めた都市環境改善手法について、東京都の環境局職員として現役で活躍する著者が観測経験に基づきわかりやすくまとめたものです。
第1章では、東京におけるヒートアイランドの現状・原因・影響・行政による取組を紹介、第2章では、ヒートアイランド対策の柱である都市緑化とその効果について気象学の観点から解説、第3章では、その他の対策メニューについて紹介しています。
市区町村などの行政レベルのものから、自宅でもできる簡単な緑化まで、幅広い対策法を示した本書をぜひお勧めしたい1冊です。きっとみなさんも、手始めに身近な「ベランダ緑化」に取り組みたくなることでしょう。
【はしがき】より
「みどり」という言葉から何を連想するでしょうか。大自然のみどり、里山のみどり、街中の……
雪と雷の世界−雨冠の気象の科学2− 気象ブックス028
気象学の専門家が、私たちにとって身近な気象現象である雪と雷について一般向けに語った本。雲、霧、雨、雪、雷などといった気象現象は,専門的には雲物理学という学問分野に含まれるものですが、著者はこれを一般向けにも分かりやすいように「雨冠の気象学」と呼んでいます。本書を読めば一見全く異なる現象のように見える雪と雷も、実は深いつながりがあることが分かってきます。
雪の話では、結晶の観察から、雪の博士・中谷宇吉郎の人工雪の実験、降雪と交通事故災害、北海道や日本海沿岸、北極・南極といった極地での降雪現象の観測を中心にまとめられています。さらに、従来あまり注目されることのなかった、露(つゆ)、霜(しも)、霰(あられ)、雹(ひょう)、霙(みぞれ)といった現象も詳しく紹介しているのが特徴です。
雷では、その発生機構に始まり、積乱雲からの宇宙空間への放電現象など、技術の進歩により観測されるようになった、……
南極・北極の気象と気候 気象ブックス027
海氷域の急減など激しい温暖化の脅威にさらされている北極、オゾンホールの発達する南極、地球温暖化の結果、北極・南極の氷が融けて海面水位が上昇するのではないかと心配されている。地球規模の気候変化の中で、極域がどのように振る舞うのかは、たいへん注目されるところである。地球規模変化が極域には増幅して現れるといわれているとともに、極域は地球規模の気候をかたちづくる要因をもっている。また、極域には過去の地球環境が記録されている。
一方、極域にはさまざまな特異な気象現象があり、気候を特徴づけている。地球の極であるが故の力学的問題、放射場の影響、カタバ風、ダイアモンドダストに成層圏突然昇温などなど。そして、極域科学は単なる探検でないだけでなく、局地科学だけでもなく、グローバルなサイエンスである。今、国際極年(IPY)20072008といって、極域に関する国際的な共同研究が精力的に行われているさなかであ……