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ズワイガニの漁業管理と世界市場
TAC(総漁獲可能量)による漁業管理が行われているズワイガニ。漁獲、加工、漁業管理など実態に基づき分析するとともに、その世界市場の構図を鳥瞰する。果たして、個別割当制度は機能するのか。海外事例の緻密な分析により検証する。
【はじめに】より
今日、世界における水産資源の利用は、ローカルとグローバルの両面を持って展開している。すなわち、海洋生物資源の多くは排他的経済水域(以下、EEZ:Exclusive Economic Zone)の設定により、沿岸国に囲い込まれてしまった。そして、沿岸国による資源の合理的利用、すなわち漁業の望ましいあり方が模索されている(ローカルな側面)。一方で、水産物は国家の境界を超えて流通するようになり、生産(漁獲)から国を超えた加工や消費といった世界的なフードシステムの視点で理解することが必要になっている(グローバルな側面)。
本書で紹介する一連の研究は、著……
それゆけ、水産高校!−驚きの学校生活と被災の記録−
水産にかかわった事のない普通の国語教師が、新たに着任した水産高校での生活を写真と文章で綴ったも内容。もともとは、自身が着任当時(平成22年)からスタートした、ブログ「水産高校だより」がベースになっている。独特な授業内容や施設、純朴な生徒や熱意ある教員との接触など、水産高校のもつ魅力が描かれている。題材は、著者の好奇心のままに選ばれているものの、観察と記述には自身の興味と学校や生徒への愛着が素直に描かれている。本書を読めば、あまり知られていない水産高校の魅力を知ることができる。付録として「東日本大震災 被災の記録」を掲載している。
【はじめに】
私は平成元年に宮城県の高校で「国語」の教諭となりました。その後、普通科の高校で、22年間にわたって勤務しましたが、そのうちの多くを、「進学校」と言われる比較的成績のいい生徒が集まる高校で過ごしました。
最初は、生徒たちの受験勉強につきあうのも自分の……
魚の発酵食品 ベルソーブックス003
塩辛、かつお節、くさや、味噌漬けなど、発酵食品の旨さの秘密に迫る。微生物や酵素を巧みに生かす、伝統的な手作りの面白さを紹介。
【はじめに】
魚の発酵食品は? と聞かれて3つ以上思いつく人は少ないのではないかと思う。水産物にも様々な発酵食品があり、しかもそこには、農産や畜産の発酵食品とはまた違った巧みな微生物・酵素利用の知恵が隠されているのに意外と知られていない。筆者は日頃そのような水産発酵食品の意義を少しでも多くの人に知ってもらいたいと考えており、先に『塩辛・くさや・かつお節ー水産発酵食品の製法と旨みー』(恒星社厚生閣、1992年)を上梓したことがある。それまでこの方面の成書は少なかったこともあり、幸い好評を得たが、大学での授業の参考書として企画したため、内容的にやや難しい点があり、その後の知見も整理し、もう少し気軽な、通勤や通学の車内でも読めるようなものをまとめたいと考えていた。……
カツオの産業と文化 ベルソーブックス018
初ガツオ、カツオのタタキ、かつお節と食卓でおなじみの魚、カツオ。でも食べるだけじゃ物足りない!
生態から一本釣りの現場、かつお節の製造法、地域おこしまで、カツオと人のつながりを広く紹介。
【はじめに】より
「毎年、買っているのよ。本場のタタキは、やっぱり良いわ」と嬉しそうに、ご年配の女性が声をかけてきた。
「一節1,600円です。ありがとうございました」
カツオのタタキを手渡す水産商工課の女性職員と私。テントの前で別の男性職員と商工会メンバーが息の合ったワラ焼きタタキを実演し、その裏では水産商工課長が自慢の包丁でカツオをおろしている。町長と総務課長はご満悦のようす。
これは2002年11月24日に岡山県有漢町で開催された「風ぐるまフェスタ2002inうかん」というイベントでの一コマである。高知県中土佐町では、「カツオの町」のPRのために役場職員や商工会メンバーなどで「カツ……